2023年 中堅・中小向け生産管理システムにおける運用形態や課題の変化

ノークリサーチは中堅・中小向けの生産管理システム市場で起きている運用形態や課題の変化に関する調査を行い、その結果を発表した。

<円安や国際情勢などの影響を受けて変化する生産管理システムの課題を常に捉えておくことが重要>
■ERP/基幹系、販売管理、独自開発からの移行提案においては的確な優先度付けが大切
■SaaS形態の生産管理はパッケージ導入の布石とはならず、継続的な強化や改善が必要
■重要課題は原価管理、生産スケジューラ連携を経て、販売管理やBOMとの連携へと推移

PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2023年10月24日

2023年 中堅・中小向け生産管理システムにおける運用形態や課題の変化

調査設計/分析/執筆:岩上由高


ノークリサーチ(本社〒160-0022東京都新宿区新宿2-13-10武蔵野ビル5階23号室 代表:伊嶋謙ニ TEL:03-5361-7880URL:http//www.norkresearch.co.jp)は中堅・中小向けの生産管理システム市場で起きている運用形態や課題の変化に関する調査を行い、その結果を発表した。本リリースは「2023年版 中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」内の生産管理に関するサンプル/ダイジェストである。

<円安や国際情勢などの影響を受けて変化する生産管理システムの課題を常に捉えておくことが重要>
■ERP/基幹系、販売管理、独自開発からの移行提案においては的確な優先度付けが大切
■SaaS形態の生産管理はパッケージ導入の布石とはならず、継続的な強化や改善が必要
■重要課題は原価管理、生産スケジューラ連携を経て、販売管理やBOMとの連携へと推移


対象企業: 年商500億円未満の中堅・中小企業1300社(日本全国、全業種)(有効回答件数)
対象職責: 情報システムの導入や運用/管理または製品/サービスの選定/決済の権限を有する職責
※調査対象の詳しい情報については右記URLを参照 リンク


■ERP/基幹系、販売管理、独自開発からの移行提案においては的確な優先度付けが大切
以下のグラフは、本リリースの元となる調査レポート「2023年版 中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」の中から、導入済みの最も主要な「生産管理」製品/サービス(単一回答)を尋ねた結果を年商500億円未満の中堅・中小企業全体で集計したものだ。生産管理は他の業務アプリケーション分野と比較してシステム寿命が長く、また同一ベンダの中でも、新旧の様々なラインアップの製品/サービスが導入されている。そこで、主要なベンダについては現時点での主力となっている製品/サービスとその他の製品/サービスに選択肢を分けている。 「生産革新」(OSK(大塚商会))が首位、「EXPLANNER」(NEC)と「GLOVIA」(富士通)が僅差で2位および3位となり、4位以降は多くの製品/サービスが少しずつ社数シェアを分け合う状態となっている。ただし、「ERP/基幹系システムの一機能として利用」、「販売管理システムを利用」、「独自開発システム」の割合も無視できない。生産管理の製品/サービスを開発するベンダとしては「今後伸びる競合ベンダはどこか?」や「ERP/基幹系システムの一機能、販売管理システム、独自開発のうち、今後はどの形態からの移行提案に注力すべきか?」といった攻め所の見極めが重要となってくる。本リリースの元となる調査レポートでは、導入済みと新規予定(導入予定)の社数シェアを比較することで、上記に述べた動向の分析/提言を述べている。次頁以降では運用形態と課題の観点から、中堅・中小向けの生産管理システムにおける変化について分析した結果の一部を紹介している。


■SaaS形態の生産管理はパッケージ導入の布石とはならず、継続的な強化や改善が必要
本リリースの元となる調査レポートでは中堅・中小向け生産管理システムの運用形態および端末環境についても詳細な集計/分析を行っている。以下のグラフは最も主要な「生産管理」製品/サービスの運用形態を「導入済み」と「新規予定(導入予定)」で比較したものだ。(選択肢の詳細は右記の調査レポート案内を参照 リンク) 「新規予定(導入予定)」から「導入済み」を差し引いた値を見ると、いずれの項目も減少または横ばいとなっている。運用形態を尋ねた設問は複数回答設問であるので、上記の結果は複数の運用形態を併用するケースが今後は減る傾向にあることを示している。その詳細を確かめるために、「導入済み」と「新規予定(導入予定)」の各々について、「パッケージ」と「SaaS利用」の場合に他の運用形態を併用している割合を集計したものが以下の数表だ。
「パッケージ」において「SaaS利用」を併用する割合(赤点線枠)、「SaaS利用」において「パッケージ」を併用する割合(青点線枠)のいずれに関しても、「導入済み」と比べて「新規予定」の方が同程度もしくは低い値を示していることがわかる。昨今ではSaaS形態の生産管理も登場してきているが、現段階ではパッケージとSaaSの併用が拡大する兆候は見られず、「SaaS利用」の場合にはパッケージ導入の初期段階としてではなく、当面はSaaSを継続する意向を持つユーザ企業が少なくないと考えられる。
したがって、「生産管理」製品/サービスを開発するベンダが今後新たにSaaS形態の展開/強化を図る際は、SaaSをパッケージ導入の呼び水として位置付けるのではなく、パッケージとSaaSの双方でユーザ企業の課題/ニーズに応じた改善を続けていくことが重要となってくる。

■重要課題は原価管理、生産スケジューラ連携を経て、販売管理やBOMとの連携へと推移
さらに、本リリースの元となる調査レポートでは生産管理システムの課題やニーズについても詳細な分析を行っている。以下はその中から導入済みの最も主要な「生産管理」製品/サービスにおける現状の課題を尋ねた選択肢を一覧にしたものだ。

導入済みの最も主要な「生産管理」製品/サービスにおける課題
<<他のシステムやサービスとの連携に関する項目>>
・取引先と個別に行う受発注処理が非効率である
・生産部門と販売部門の業務が連携できていない(※1)
・部品管理の機能が十分でないため、精度が低い(※2)
・IoTセンサを活用したいが実現方法が分からない
・AIツールやデータ分析の活用方法が分からない
・工程管理の機能が十分でないため、精度が低い
・倉庫管理の機能が十分でなく、配送効率が悪い
<<システム形態(クラウドやカスタマイズ)に関連する項目>>
・自社向けにプログラムを改変することができない
・プログラムを改変しないと個別要件を満たせない
・SaaSのみでは要件を全て満たすことができない
・パッケージをIaaS/ホスティングで利用できない
・パッケージとSaaSを選択/併用できない
・自社の業態に適したラインアップがない
・テンプレートがない、または種類が少ない
<<DXやスマートファクトリーに関する項目>>
・他社の工場とも連携したいが、方法が分からない
・複数の自社工場を連携させる方法が分からない
・共同受注を始めたいが手続きや調整が難しい
・部品や資材の調達/見積が煩雑で負担である
・原材料や部品をトレースすることができない
・技術継承を進めたいが、有効な手段がない
<<原価管理や生産計画に関連する項目>>
・原価管理の精度が低く、収益確保が難しい(※3)
・需要や資材の変動で生産計画が安定しない(※4)
<<その他>>
・その他:
・課題は全くない(排他)
調査レポートでは上記に列挙された様々な課題の回答割合を比較し、ベンダや販社/SIerが強化/改善すべき機能ポイントは何か?を提言している。以下のグラフは、その中から※1~※4の結果を抜粋したものだ。
長らく、中堅・中小向けの生産管理システムでは原価管理が大きな課題となっていたが、ベンダ各社が機能を充実させたこともあり、課題の優先度は以前と比べると下がってきている(※3)。近年では円安、コロナ禍、国際情勢の緊迫化などによって生産計画が定まりにくい状況が続いているが、これも生産スケジューラ連携などの対処が講じられてきている(※4)。そして、長期化する生産コストの高止まりを受けて、直近で大きな課題となっているのが、「生産部門と販売部門の連携」(※1)や「部品管理の精度」(※2)といった課題だ。つまり、販売管理や部品管理(BOM)との連携を強化することが今後の課題解決において重要な取り組みになると考えられる。ここでは課題の観点からの分析結果の一部を抜粋しているが、調査レポートでは今後のニーズ傾向も加味した更に詳細な分析を行っている。

補記:社数シェア集計/分析の対象となっている「生産管理」製品/サービスの一覧

本調査において選択肢に記載した「生産管理」製品/サービスの一覧は以下の通りである。選択肢として掲載される製品/サービスは過去の調査結果や最新の市場状況などを踏まえた上で選定される。自由回答の中から多く挙げられたものは選択肢として新たに取り上げ、逆に一定期間以上シェア数値がないものは割愛する方針で年毎に調整を行っている。
製品/サービス毎の評価や導入費用の集計/分析はサンプル件数が一定以上の条件(件数が少ない場合は参考値扱いとなるケースもある)を満たした(※)のみが対象となる。

生産革新シリーズ(Fu-jin/Raijin/Ryu-jin/Wun-jinなど): OSK(大塚商会) (※)
OSK(大塚商会)製のその他の生産管理システム: OSK(大塚商会) (※)
Factory-ONE電脳工場: エクス、NEC (※)
EXPLANNER/J,Z: NEC (※)
FlexProcess: NEC (※)
NEC製のその他の生産管理システム: NEC (※)
GLOVIA iZ生産/smart製造(PRONES/MES/PROFOURS): 富士通 (※)
富士通製のその他の生産管理システム: 富士通 (※)
glovia G2(glovia.comを含む): グロービアインターナショナル (※)
ビズインテグラル(SCAWを含む): NTTデータ・ビズインテグラル (※)
mcframeシリーズ: ビジネスエンジニアリング(B-EN-G) (※)
OBIC7生産情報システム: オービック (※)
FutureStage(TENSUITE for Fabrication): 日立システムズ (※)
GEN(ジェン): GEN(ジェン)
スマートF: ネクスタ (※)
Cloud2Mfg: Cloud2works
CORE Plus NEOシリーズ: 日本事務器
DS-mart ERP 生産販売システム: 電算システム
GEMPLANET: 日立製作所 (※)
R-PiCS: JBアドバンスト・テクノロジー(リードレックス) (※)
MAPS: システム技研
TPiCS: ティーピクス研究所
TECHS: テクノア
i-PROW(アイプロダブル): Digit Works
ATOMS QUBE: クオリカ
rBOM: 大興電子通信
UNIMEX II/Quickシリーズ: オープンストリーム(ニュートラル)
AMMIC: アミック (※)
WorkGear: モリックス
ASPAC-生産管理: アスコット
FLEXSCHE: フレクシェ
Asprova: アスプローバ
最適ワークス: スカイディスク (※)
ADAP: 構造計画研究所
iSeries Site(GUI-PACK): 日本IBM (※)
日本IBM製のその他の生産管理システム: 日本IBM (※)
その他の製品/サービス:
ERP/基幹系システムの一機能として利用
販売管理システムを利用
独自開発システム


本リリースの元となる調査レポート

『2023年版 中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート』

10分野に渡る業務アプリケーションの導入済み/導入予定の社数シェア、運用形態(オンプレミス/クラウド)、端末形態、導入年、導入費用、課題、ニーズを全て網羅した中堅・中小市場のIT活用提案における必携書

【対象企業属性】(有効回答件数:1300社)
年商: 5億円未満 / 5億円以上~10億円未満 / 10億円以上~20億円未満 / 20億円以上~50億円未満 /50億円以上~100億円未満 / 100億円以上~300億円未満 / 300億円以上~500億円未満
従業員数: 10人未満 / 10人以上~20人未満 / 20人以上~50人未満 / 50人以上~100人未満 /100人以上~300人未満 / 300人以上~500人未満/ 500人以上~1,000人未満 /1,000人以上~3,000人未満 / 3,000人以上~5,000人未満 / 5,000人以上
業種: 組立製造業 / 加工製造業 / 建設業 / 卸売業 / 小売業 / 流通業(運輸業) /IT関連サービス業 / 一般サービス業 / その他:
地域: 北海道地方 / 東北地方 / 関東地方 / 北陸地方 / 中部地方 / 近畿地方 / 中国地方 /四国地方 / 九州・沖縄地方
その他の属性: 「IT管理/運用の人員規模」(12区分)、「ビジネス拠点の状況」(5区分)
【全体の構成】
有効回答件数1300社の中堅・中小企業に対して、まず最初に以下に列挙した10分野の業務アプリケーションのうちで 導入済み/導入予定の分野を尋ねる。その後、「導入済み/導入予定」と回答した分野について、製品/サービス名称を列挙した社数シェア、運用形態、端末形態、導入年、導入費用、課題とニーズ(分野によって選択肢は異なる)を尋ねた結果を集計/分析している。
また、業務アプリケーションの導入/更新に関する全般的な方針についても尋ねている。
P1. ERP
P2. 生産管理
P3. 会計管理
P4. 販売・仕入・在庫管理
P5. 給与・人事・勤怠・就業管理
P6. ワークフロー・ビジネスプロセス管理
P7. コラボレーション(グループウェア/ビジネスチャット/Web会議)
P8. CRM
P9. BI
P10. 文書管理・オンラインストレージサービス
【分析サマリ(調査結果の重要ポイントを述べたPDFドキュメント)の概要】
各分野について10~20ページからなる分析サマリが計10ファイル、「業務アプリケーションの導入/更新に関する方針」をまとめた分析サマリが1ファイル、さらに全分野を横断する形で法制度対応およびデータ分析/生成AIに着目した分析サマリが2ファイルの計13ファイルのPDFドキュメントが収録されている。P1~P10の10分野の分析サマリは以下の章構成となっている。(章構成は共通だが、分析/提言の内容は各分野の傾向や特性に応じて大きく異なる)
第1章:製品/サービスの導入状況とシェア動向
製品/サービスの「導入状況」、「製品/サービスの導入社数シェア」、最も主要な製品/サービスの「導入年」、「導入元」、「評価概況」といったデータの中から、分野毎に重要なポイントを分析している。
第2章:運用形態と端末環境
最も主要な製品/サービスにおける「運用形態」と「端末環境」に着目し、クラウド移行の状況や端末環境の多様化などについて分野毎の傾向を分析している。
第3章:製品/サービスの評価、課題、ニーズ
最も主要な製品/サービスに関して「評価/満足している機能や特徴」「現時点で抱えている課題」「今後持つべきと考える機能や特徴」を尋ねた結果を分析している。
付表:選択肢として記載した製品/サービス一覧
本調査において選択肢に記載された製品/サービスの一覧を掲載している。選択肢に掲載される製品/サービスは過去の調査結果や最新の市場状況を踏まえて選定され、自由回答の中から多く挙げられたものは選択肢として新たに取り上げ、逆に一定期間以上シェア数値がないものは割愛するといった形で年毎に調整を行っている。
【レポート案内(設問項目、試読版など)】 リンク
【発刊日】 2023年10月20日 【価格】 180,000円(税別) 特定分野のみの個別販売は行っておりません

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当調査データに関するお問い合わせ

株式会社 ノークリサーチ 担当:岩上 由高

〒160-0022 東京都新宿区新宿2-13-10 武蔵野ビル5階23号室
TEL 03-5361-7880 FAX 03-5361-7881
Mail: inform@norkresearch.co.jp
Web: www.norkresearch.co.jp

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