“原音探究”の理念を掲げて、アーティストがレコーディングスタジオで記録したマスターテープの音(=原音)に込めた想いをより忠実に伝え続けるビクター。そのたゆまぬ尽力がひとつの完成形として結実したのが、密閉型インナーイヤーヘッドホン「HA-FXC71」と「HA-FXC51」だ。それぞれ6千円前後、4千円前後というコストパフォーマンスの高い実勢価格ながら、“5ケタ”並みの音質を実現。その高音質を生み出したのは、2つの画期的な構造と素材だった。開発にたずさわったAVコミュニケーション統括部 技術部 第1設計グループの田村信司氏に開発についての話を聞いた。

日本ビクター株式会社AVコミュニケーション統括部 技術部 第1設計グループの田村信司氏日本ビクター株式会社AVコミュニケーション統括部 技術部 第1設計グループの田村信司氏

まず、「HA-FXC71」と「HA-FXC51」の開発コンセプトから聞かせてください。

前モデルにあたる「HP-FXC70」と「HP-FXC50」でこのシリーズの最大の特長「トップマウント構造」を採用しました。音筒部の先端に、大幅に小型化させたドライバーユニット「マイクロHDユニット」を配置したことで、より耳穴深く、鼓膜の近くで音を響かせることが可能になり、高解像なサウンドと高遮音性を実現しているのですが、その「トップマウント構造」を継承しつつも、「HA-FXC71」と「HA-FXC51」ではより低域をダイナミックに伝えながら、さらに高解像度の音質再生を目指したんです。さらに高音質で、さらに迫力のある音を楽しみたいというお客様の声もいただいていましたので、開発にも力が入りました。

画像 「HA-FXC71」のブラック。色はホワイトとの2色展開
画像 「HA-FXC51」のレッド。色はブラック、ホワイトの3色展開

「トップマウント構造」が生まれたきっかけについて教えてください。

 これもお客様の声がきっかけでした。外部音を遮音しつつ、高音質で音楽を楽しみたいというご要望を実現するために考えた結果の形状なんです。密閉型インナーイヤーヘッドホンにおける高解像度サウンドの追求と外部遮音性のUPを考えた結果、そのふたつを両立させるには伝送ロスを低減しなくてはいけない。その実現にはより耳穴深くで音を響かせ、にごりなく鼓膜へ伝えることで可能になるということがわかりました。

大口径のドライバーユニットがトレンドとなっているという声を多数聞かれますが、「トップマウント構造」ですと、そのドライバユニットや振動版を通常よりもかなり小さくしなくては耳穴には入りません。通常、口径が大きれば大きいほど臨場感のある音が得られると思いますが、小型化して同様の音質を実現させるというのはまさに逆転の発想でしたね。

画像 トップマウント構造と従来方式のイメージ図。より耳穴深くで音を響かせることができるような形状となっている。

 音質を追求しながらも、競合他社にはないオリジナルの商品を作ってみたいという意欲から生まれた発想と言っていいでしょうね。確かにドライバーユニットや振動板が大きければダイナミックな音が得られます。でも、振動板を小さくして、耳の中に入れて鼓膜に近い位置で音を鳴らすことができれば更にリアリティのある音を再生できるはずだと考えました。振動板から発せられた音が鼓膜に達するまでの距離が長ければ長いほど伝送ロスが増えますが、トップマウント構造ですとその距離が近づくわけですので、ロスを減らしてダイナミックな音を導き出すことができました。低域も明確な輪郭を描いていて、確かな存在感を打ち出すことができたと思います。

製品スペック紹介
HA-FXC71

再生周波数帯域:8Hz〜25,000Hz
質量:6.2g(コード含まず)
コード:1.2m(Y型)、φ3.5mm 24金メッキステレオミニプラグ付
付属品:シリコンイヤーピースS、M、L 各2個、 コードキーパー、クリップ、キャリングポーチ

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HA-FXC51

再生周波数帯域:10Hz〜24,000Hz
質量:4.4g(コード含まず)
コード:1.2m(Y型)、φ3.5mm 24金メッキステレオミニプラグ付
付属品:シリコンイヤーピースS、M、L 各2個、 コードキーパー、クリップ、キャリングポーチ

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著者プロフィール
油納将志

洋楽を中心に執筆している音楽ライター。音を聴くという仕事柄、ヘッドホンをはじめとするオーディオ機器にも関心が深く、デジタルグッズ系雑誌でオーディオに関する記事も書いている。

提供:日本ビクター株式会社
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