2000年10月08日 00時00分
デジタルカメラに何を求めるかは人によって違う。上記の評点は低いものになったが、もしあなたが以下のものに興味を引かれるなら、実売価格が4万円代前半まで落ち込んだ2000年10月現在、このカメラは悪くない選択肢となるだろう。
1)30mmというデジタルカメラの中では1〜2を争う広角レンズ
2)レタッチいらずの鮮やかなカラー
3)歪曲収差の少ないスクエアな画像
しかし、この機種には大きな欠点も多く存在する。デザインはあか抜けていないうえに大きすぎる。ズームが2倍しかない。レンズカバーの要らない沈胴式レンズは便利だが、データを書き込んでいる間はスイッチを切ってもレンズが沈み込まず数十秒から1分ほど待たされてしまう。データ書き込みが遅く、バッファのある4枚分しか連写が利かないし、それも連写と呼べるほどの速度ではない。各種設定がメニュー方式のため、とっさに露光を変えたいなど凝った操作をする際に手間取る。etc。
したがって、先に挙げた3点が、それ以外の欠点を補うに足りるほど自分の求めているものであるかどうかが、この機種の評価を決める。
私の場合、主に建物を撮っていたので、広角側が広ければ広いほどありがたかった。デジカメで多い35mmや40mmというの広角端では使い物にならない。また、樽形歪み直線部の多い建物を撮るときわめて目立つので、歪曲収差のほとんどないスクエアな画像は非常にありがたかった。また、カラーのレタッチが苦手なので、一発で鮮やかな赤や緑のでるコダックの色も魅力的だった。さらに、基本的に動かない被写体を相手にしていたから、連写が利かないとか、凝ったことをする際に操作に手間取るといったマイナスは、さほど苦にならなかった。とにかく、何も考えずに構図だけ決めてシャッターを押せばいいのだ。したがって、評点こそ低いが、私の総合評価は4/5といったところだ。
しかし、広角を重視しない一般ユーザーにとっては、わずか60mmの望遠端、面倒な操作、利かない連写など、マイナス面だけが目立つ機種となっている。運動会での我が子を撮る、などという際にはまったく役に立たないのだから。
繰り返しになるが、最初に述べた3点をどう評価するかによって、この機種の評価は大きく変わる。もっとも後継機種のDC4800が出た現在では、お勧めしづらい機種でもある。だが、発色の美しさだけでも、現在の4万円そこそこのお値段なら、最初の一台として買う価値のある機種だと思う。