アクセスポイント(AP)GW-AP110とLANカードGW-NS110PXをまとめてレビューしま
す。また、OEM元が同じと思われるElecom LD-WL11/APとLD-WL11/PCCについても
触れます。どちらもインフラストラクチャモードで使っています。

●設定

カードの設定は専用設定ツールで行います(Windows XPならOS自身で設定できる
はずですが、未確認です)。「省電力」を有効にするとスループットが極端に低
下しますので無効にします。なお、設定ツールが動いているとサスペンドやハイ
バネーションができません。

APの設定方法は、専用設定ツール・webアクセス・TELNET・シリアルの4通りあり
ますが、設定ツールはAPの検索やログインに失敗することが多く、あまりあてに
なりません。また、設定は無線経由では行わない方が無難です。

接続がうまくいかない場合は、APとのループバックテストを行って無線区間の接
続を確認しましょう(ループバックテストは、カードとAPのメーカーが同じでな
いと使えないことがあります)。

●スループット

FTPの実効スループットはWEP有効時で2.5〜3.2Mbps程度で、Ethernetと比べると
かなり力不足です。インターネットアクセスでも、8M ADSLなどでは無線LANがボ
トルネックになる例も出てきています。

●セキュリティ

標準的な40(64)ビットWEPとMACアドレス制限を備えています(ESS IDは簡単に知
ることができるので、セキュリティ機能とはいえません)。WEPキーはASCII5文字
と16進数10桁のどちらでも設定できます。

しかし、40ビットWEPはすでに脆弱性が指摘されており、かなり不安があります。
後継製品のGW-AP11S/NS11Sは128ビットWEPに対応していますが、GW-AP110/NS110
の対応予定はないということです。

なお、Elecom LD-WL11はカードのみ128ビットWEP対応可能ですが、アドホックモ
ードならともかく、インフラストラクチャモードで使うにはAPも対応しないとい
けないので、あまり意味がありません。

●相互接続性

当然ながらPLANEXとElecomの間では問題ありません(ただし、設定ツールは流用
できません)。また、都内のモスバーガーなどで行われているハイファイブ無線
LAN実験(APは多分ORiNOCO)でも、WEPで問題なく使えました。ただし、ThinkPad
s30内蔵無線LANのアドホックモードとは接続できません。s30の802.11bアドホッ
クモードは、他の製品のLucent独自仕様アドホックモードとは異なるためです。

●AP間通信

当方では、通常の無線LANとしての利用の他に、ビル間接続にGW-AP110のAP間通
信を使っています。AP間通信とは、離れた2地点のLANを、AP間の無線通信により
相互接続するものです。この場合、APは専用のモードで動作させるので、普通の
無線LANの基地局としては使えません(AP間通信に加えて2地点でそれぞれ無線LAN
を使う場合、APが全部で4つ必要になります)。

設定の詳細はマニュアル等にもあまり書いてありません。重要なのはMACアドレ
ス制限で、例えばA地点とB地点をAP間通信で接続する場合、A地点のAPにB地点の
PC等のMACアドレスを登録し、逆も同様にします。両方で使うノートPCなどは両
方に登録します。対地のAPをリモート管理する場合は、APのMACアドレスも登録
します。

スループットは当方の環境(ガラスごしに距離15m)で4〜5Mbpsいきます。つまり、
無線LANと併用した場合、AP間通信よりも手元の無線LAN区間の方がボトルネック
になります。

AP間通信はファームウェア更新で使えるようになりますが、まだ十分こなれてい
ないのか、たまに原因不明で通信できなくなることがあります。また、AP間通信
モードのAPに対して、AP設定ツールでのログインはほぼ確実に失敗します。

●まとめ

802.11b無線LAN製品としてはごく標準的なものだと思います。AP間通信やステー
ションモードといった拡張機能も特に珍しいものではありません。ただ、AP設定
ツールには改善の余地があります。また、128ビットWEPに対応しない点は問題で
す。これから買うなら128ビットWEP対応の製品を選ぶべきでしょう。