「ChatGPTを使って講義」大学でついに実用化--バーチャル「TA」が授業進行をサポート

 日本経済大学とWHITEは、OpenAIの生成AI「ChatGPT」を搭載したバーチャルアシスタントを、授業中の「TA」(Teaching Assistant:教員助手)として活用する実証実験を開始した。教員不足が叫ばれるなか、AIによって授業の質の向上と教員の労働負担の軽減をめざす。


左から日本経済大学で学長を務める都築明寿香氏、WHITEで代表取締役を務める横山隆氏

 WHITEが開発した「T-AI」は、OpenAIのGPT-4で駆動するバーチャルアシスタントだ。教授が話した授業の内容を記録して要約したり、生徒からの質問に対して回答したりできる。口頭による指示と応答にも対応する。T-AIはプロジェクターで教室の前面に映し出される。

教室の前面に投影された「T-AI」
教室の前面に投影された「T-AI」

 日本経済大学が4月に実施したデモ授業では、教授がマーケティングの講義の題材とする「架空の企業」の生成をT-AIに依頼するため、次のように口頭で指示した。

 「マーケティングのキャンペーンについて検討するため、直販を行う企業を想定したいと思っている。アウトプットは箇条書きではなくストーリー仕立てで、300文字程前後で生成してほしい」

 すると、T-AIは指示に従ってモデル企業を生成。同企業に最適なマーケティング戦略について、生徒同士のグループディスカッションをすぐに開始できた。


講義の題材にする「架空の企業」の設定をT-AIが生成
講義の題材にする「架空の企業」の設定をT-AIが生成

T-AIの生成内容にもとづいて生徒がグループディスカッション
T-AIの生成内容にもとづいて生徒がグループディスカッション

 また、生徒1人1人のスマートフォンやPCからも、テキストチャット経由でT-AIにアクセス可能。授業中に感じた疑問をテキストで送ると、その回答を得られる。

授業の疑問点をスマートフォンやPCでT-AIに尋ねられる
授業の疑問点をスマートフォンやPCでT-AIに尋ねられる

 さらに教授が「生徒からの疑問をまとめたサマリーを作って」とバーチャルアシスタントに指示すると、生徒が疑問に感じた内容のサマリーをT-AIが生成する。それに対して教授が説明を加えるなど、授業の質の向上に繋がるという。さらに、授業中に「確認テスト」の生成をT-AIに指示することも可能だ。

T-AIが生成した確認テスト
T-AIが生成した確認テスト

 なお、デモ授業中は、教授の指示を受けてから応答を生成するまでにやや時間がかかる場面もあった。一方、OpenAIは日本語に特化したGPT-4の提供を表明しており、これを採用すればより精度の高い授業が実現できる可能性もあるとしている。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]