中堅・中小企業におけるノーコード/ローコード開発ツールの活用実態およびRPAとの関係

ノークリサーチは中堅・中小企業におけるノーコード/ローコード開発ツールの導入状況、課題、ニーズなどに関する調査を行い、その結果を発表した。

<要件や場面に応じて適切なツールを選ぶことがノーコード/ローコード開発提案の最重要ポイント>
■ノーコード/ローコード開発ツールは異なる動向を示す6つのグループに分けて捉えるべき
■ソースコード生成型と非生成型は適材適所が大切、今後はSIer主導のPaaS活用にも注目
■RPAとの使い分けを判断する基準の一つは「新たなデータベースを作る必要があるか?」

PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2022年1月26日

中堅・中小企業におけるノーコード/ローコード開発ツールの活用実態およびRPAとの関係

調査設計/分析/執筆: 岩上由高


ノークリサーチ(本社: 〒160-0022東京都新宿区新宿2-13-10武蔵野ビル5階23号室:代表:伊嶋謙ニ TEL:03-5361-7880URL:http//www.norkresearch.co.jp)は中堅・中小企業におけるノーコード/ローコード開発ツールの導入状況、課題、ニーズなどに関する調査を行い、その結果を発表した。本リリースは「2021年版 中堅・中小企業におけるRPAおよびノーコード/ローコード開発ツールの活用実態レポート」のサンプル/ダイジェストである。


<要件や場面に応じて適切なツールを選ぶことがノーコード/ローコード開発提案の最重要ポイント>
■ノーコード/ローコード開発ツールは異なる動向を示す6つのグループに分けて捉えるべき
■ソースコード生成型と非生成型は適材適所が大切、今後はSIer主導のPaaS活用にも注目
■RPAとの使い分けを判断する基準の一つは「新たなデータベースを作る必要があるか?」

調査対象企業: 年商500億円未満の中堅・中小企業1300社(日本全国、全業種)(有効回答件数)
調査対象職責: 情報システムの導入や運用/管理または製品/サービスの選定/決済の権限を有する職責
調査実施時期: 2021年6月~7月
※調査対象の詳細は本リリース末尾を参照


■ノーコード/ローコード開発ツールは異なる動向を示す6つのグループに分けて捉えるべき
ノークリサーチでは「ノーコード/ローコード開発ツール」を 『プログラミングが不要(ノーコード)もしくは簡易なプログラミング(ローコード)によって業務をシステム化できる開発ツール』 と定義し、以下の6つのグループに整理して導入状況や課題/ニーズなどを調査している。(各グループに属する具体的な製品/サービスの一覧は本リリースの4頁を参照)
超高速開発ツール: データ構図や画面レイアウトなどをツール上で設計/指定することで、プログラムを自動生成するもの
PaaSとして提供されているもの: クラウド上に開発環境と実行環境が配備されており、月額/年額のサービスとして提供されているもの
カジュアルデータベース: Microsoft Accessのようにデータ構造を定義し、部品を組み合わせて操作/表示の画面を作成するもの
グループウェアと関係が深いもの: グループウェアベンダによって提供され、独自のアプリケーションを作成できる仕組みを備えたもの
CRMと関係が深いもの: CRMの一環として導入されることが多く、独自のアプリケーションを作成できる仕組みを備えたもの
データ連携を重視したもの: 複数のクラウドサービス間を連携することに重点を置いたもの
ノーコード/ローコード開発ツールという用語が指し示す範囲は広いため、上記に列挙したグループ毎の動向を理解した上で訴求に取り組むことが重要となってくる。以下のグラフは1300社の中堅・中小企業に対して、「超高速開発ツール」と「PaaSとして提供されているもの」の導入状況を尋ねた結果を本リリースの元となる調査レポートから抜粋したものだ。次頁以降では以下のグラフを踏まえたノーコード/ローコード開発ツールの導入状況やRPAとの使い分けにおける留意点などを述べている。


■ソースコード生成型と非生成型は適材適所が大切、今後はSIer主導のPaaS活用にも注目
前頁で述べたように、本リリースの元となる調査レポートではノーコード/ローコード開発ツールを6つのグループに整理した上で、それぞれの動向を分析している。以下では調査レポートの中から、前頁にグラフを掲載した「超高速開発ツール」と「PaaSとして提供されているもの」の導入状況を踏まえた今後の留意点を述べた箇所をサンプル/ダイジェストとして紹介している。
「超高速開発ツール」の動向
前頁のグラフが示すように、「導入済み」の割合が最も高いのは「GeneXus」である。同ツールの導入状況を年商別に集計した以下のグラフを見ると、「GeneXus」は年商50~500億円の中堅企業層における「導入済み」の割合が相対的に高い。同ツールは超高速開発ツールの中でも日本国内の導入時期が比較的早く、年商規模の大きな企業層におけるCOBOL環境などからのレガシーマイグレーションの手段としても多く用いられたことが背景にあると考えられる。 だが、昨今は超高速開発ツールの用途がレガシーマイグレーション以外にも拡大し、クラウドを前提とした開発プラットフォームとして超高速開発ツールを展開するケースも目立つようになってきだ。こうした多様化を受けて、「GeneXus」以外の超高速開発ツールではいずれも「導入予定」の割合が「導入済み」を上回っている。その中で「導入予定」が8%台の比較的高い値を示しているのが、「Web Performer」と「AppSQUARE」だ。前者はWebアプリケーションを対象とし、最終的にJavaのソースコードを出力するソースコード生成型のツール、後者はソースコード非生成型のツールであり、コーディングを意識せずにWYSIWYG形式によって業務システムを構築していくツールである。ソースコード生成型と非生成型は一方が他方よりも優れているということではなく、業務システムの現状や要件、ユーザ企業とSIerの関係性や各々の役割/スキルによって適切な選択を行うことが大切だ。
「PaaSとして提供されているもの」の動向
前頁のグラフが示すように、PaaSとして提供されるノーコード/ローコード開発ツールでは「kintone」が「導入済み」と「導入予定」の双方で最も高い値を示している。ただし、「kintone」では「導入予定」の値が「導入済み」を下回っている一方で、「LightningPlatform」や「Microsoft Power Apps」では「導入予定」が「導入済み」を上回っており、今後の動向を注視していく必要がある。
また、ノーコード/ローコード開発ツールを用いて業務システムを開発/作成する主体としてSIerとユーザ企業のどちらが多いか?を事例などを元に俯瞰すると、「Lightning Platform」は「kintone」および「Microsoft Power Apps」と比べてややSIer寄りの傾向が見られる。「Lightning Platform」は「導入済み」と比べて「導入予定」の増加幅が相対的に大きいことから、今後はSIerの主導によるPaaS活用が盛んになる可能性もある。
次頁ではユーザ企業が考える「ノーコード/ローコード開発ツールの利点」を元に、ノーコード/ローコード開発ツールとRPAの使い分けなどについて述べていく。

■RPAとの使い分けを判断する基準の一つは「新たなデータベースを作る必要があるか?」 さらに本リリースの元となる調査レポートでは次頁に掲載した選択肢を列挙して、ノーコード/ローコード開発ツールの利点や課題について尋ねている。以下のグラフはノーコード/ローコード開発ツールの利点の中から「ユーザの要件に関連する項目」を尋ねた結果をツールを「導入済み」および「導入予定」の場合に分けて集計したものだ。
ある程度のスキルを持ったユーザ企業であれば、ノーコード/ローコード開発ツールを用いて自ら業務システムを開発/作成することも不可能ではない。そのためノーコード/ローコード開発ツールは旧来のエンドユーザコンピューティング(EUC)と比較されることも多い。
だが、上記のグラフにおいて「導入済み」と比較した時の「導入予定」の増減幅が比較的大きい項目を見てみると、「ユーザがアプリケーションを作成できる」が5ポイント超の減少となっている一方、「幅広い業務内容や用途に適用できる」が5ポイント弱の増加となっている。そのため、ノーコード/ローコード開発ツールによってユーザ企業が自ら業務システムを開発/作成するという意味でのエンドユーザコンピューティングの機運が再び高まる兆候は少なくとも現時点では見られない。
その一方で、今後の増加が予想される「幅広い業務内容や用途に適用できる」という利点が示す内容には基幹系/情報系などの既存の業務システムの範疇に属さず、さらにRPAによって手作業を自動化するだけではカバーできない業務も含まれている。例えば、「まだCRMを新たに導入する段階には至っていないが、Webサイトや店舗を通じて収集した顧客情報を統合管理する仕組みが必要」といったケースだ。この場合、顧客データを格納する場所が新たに必要となるため、手作業を自動化するRPAだけでは解決できない。販売管理システムの顧客データは見積書/発注書と紐づいているので、Webサイト上の様々な販促を通じて得た顧客データを無理に追加すると業務が混乱する恐れがある。こうしたケースでは新たな顧客データ管理の仕組みを迅速に構築できるノーコード/ローコード開発ツールが有効な選択肢の一つとなってくる。つまり、RPAとの使い分けという点では要件を満たすために「新たなデータベースを作る必要があるか?」が一つの判断基準になると考えられる。
ここでは「ノーコード/ローコード開発ツールの利点」に関する分析結果の一部を紹介したが、本リリースの元となる調査レポートではノーコード/ローコード開発ツールを導入済み/導入予定であるユーザ企業の何割がRPAを導入済み/導入予定であるか?といった定量的な活用実態、ならびに次頁に掲載した「ノーコード/ローコード開発ツールの課題」についても詳細な集計/分析を行い、ベンダや販社/SIerが今後ノーコード/ローコード開発ツールを訴求する際に留意すべき事項を提言している。

補記:本リリースの元となる調査レポートにおける重要な設問の選択肢一覧

「G1.ノーコード/ローコードの導入状況」の選択肢
本リリースの1~2頁で述べたように、本リリースの元となる調査レポートではノーコード/ローコード開発ツールを6つのグループに整理し、以下のような製品/サービスを選択肢に列挙して導入状況を尋ねている。(選択肢に挙げる製品/サービスは前回の調査結果で自由回答が多かったものを追加するなど、昨今の様々な動向を踏まえて選定している)

<<超高速開発ツール>>
1 GeneXus ジェネクサス・ジャパン
2 OutSystems OutSystems
3 Magic xpa(dbMagic) マジックソフトウェア・ジャパン
4 Web Performer キヤノンITソリューションズ
5 AppSQUARE 日立ソリューションズ東日本
6 楽々Framework3 住友電工情報システム
7 Sapiens eMerge サピエンステクノロジー・ジャパン
<<PaaSとして提供されているもの>>
8 Lightning Platform(Force.com) セールスフォース・ドットコム
9 kintone サイボウズ
10 Microsoft Power Apps 日本マイクロソフト
<<カジュアルデータベース>>
11 File Maker Apple Japan(クラリス・ジャパン)
12 UnitBase ジャストシステム
13 Zoho Creator ゾーホージャパン
14 コンテキサー アプストウェブ
<<グループウェアと関連が深いもの>>
15 AppSuite ネオジャパン
16 SmartDB ドリーム・アーツ
17 POWER EGG Webデータベース ディサークル
18 サイボウズデヂエ サイボウズ
<<CRMや基幹系システムと関連が深いもの>>
19 SMILE V Custom AP Builder OSK(大塚商会)
20 SMILE V CRM Quick Creator OSK(大塚商会)
21 SPIRAL パイプドビッツ
<<データ連携を重視したもの(iPaaS)>>
22 Microsoft Power Automate 日本マイクロソフト
23 Dell Boomi デル・テクノロジーズ
24 IFTTT IFTTT
25 Zapier Zapier
26 Anyflow Anyflow

「G2.ノーコード/ローコード開発ツールの利点」の選択肢
ノーコード/ローコード開発ツールの利点と考えられる事柄を以下の選択肢を列挙して複数回答形式で尋ねている。
<<ユーザの要件に関連する項目>>
ユーザがアプリケーションを作成できる
ユーザの要求仕様を自由に反映できる
ユーザの都合に合わせて改変できる
幅広い業務内容や用途に適用できる
自社固有の業務ルールを反映できる
<<費用や作業の負担に関連する項目>>
アプリケーションを短期間で作成できる
アプリケーションを安価に作成できる
セキュリティ対策の負担が軽減される
アプリケーションの不具合を減らせる
運用/保守の費用が安価になる
運用/保守の作業が手軽になる
<<他システムとの兼ね合いに関する項目>>
レガシーシステムの移行に有効である
他のクラウドサービスと連携しやすい
RPAによる自動化の代替手段となる
Microsoft Excelの代替手段となる
モバイル対応も同時に実現できる
<<その他>>
その他:
利点は全くない(排他)


「G3.ノーコード/ローコード開発ツールの課題」の選択肢
ノーコード/ローコード開発ツールの課題と考えられる事柄を以下の選択肢を列挙して複数回答形式で尋ねている。
<<アプリケーションの作成における課題>>
開発ツール固有のスキルが必要になる
複雑な処理はプログラムが必要になる
実現できる機能や性能に制限がある
既存の業務システムと連携できない
<<アプリケーションの管理における課題>>
アプリケーションの仕様が不明確になる
アプリケーションの中身が見えなくなる
部署毎にアプリケーションが乱立する
アプリケーションが管理できなくなる
設置場所としてクラウドを選択できない
設置場所として自社内を選択できない
<<開発ツールに起因する課題>>
開発ツールの更新/刷新が負担となる
開発ツールの存続が不明確である
適切な開発ツールを選択できない
<<その他>>
その他:
課題は全くない(排他)


本リリースの元となる調査レポート

『2021年版 中堅・中小企業におけるRPAおよびノーコード/ローコード開発ツールの活用実態レポート』

コロナ禍で停滞したRPAやノーコード/ローコード開発ツールの導入提案を再び加速させるために必要な施策とは何か?

サンプル属性
有効サンプル数: 1300社(有効回答件数)
A1.年商区分: 5億円未満(200社) / 5億円以上~10億円未満(200社) / 10億円以上~20億円未満(200社) /20億円以上~ 50億円未満(200社) / 50億円以上~ 100億円未満(200社) /100億円以上~ 300億円未満(200社) / 300億円以上~ 500億円未満(100社)
A2.職責区分: 情報システムの導入や運用/管理または製品/サービスの選定/決済の権限を有する職責
A3.従業員数区分: 10人未満 / 10人以上~20人未満 / 20人以上~50人未満 / 50人以上~100人未満 /100人以上~300人未満 / 300人以上~500人未満 / 500人以上~1000人未満 /1000人以上~3000人未満 / 3000人以上~5000人未満 / 5000人以上
A4.業種区分: 組立製造業 / 加工製造業 / 建設業 / 卸売業 / 小売業 / 流通業(運輸業) /IT関連サービス業 / 一般サービス業 / その他
A5.所在地区分: 北海道地方 / 東北地方 / 関東地方 / 北陸地方 / 中部地方 / 近畿地方 / 中国地方 /四国地方 / 九州・沖縄地方
調査実施時期: 2021年6月~7月
上記に加えて、「A6.IT管理/運用の人員規模」(IT管理/運用を担う人材は専任/兼任のいずれか?人数は1名/2~5名/6~9名/10名以上のどれに当てはまるか?)および「A7.ビジネス拠点の状況」(オフィス、営業所、工場などの数は1ヶ所/2~5ヶ所/6ヶ所以上のいずれか?ITインフラ管理は個別/統一管理のどちらか?)といった属性についても尋ねている。
分析サマリの章構成
第1章:RPAの導入状況と用途
第2章:RPA活用における課題とニーズ
第3章:RPAツールの導入社数シェアと導入費用
第4章:RPAと既存の業務システムとの関連
第5章:ノーコード/ローコード開発ツールの導入状況
第6章:ノーコード/ローコード開発ツールの利点と課題

価格: 180,000円(税別)
発刊日: 2021年1月27日
設問項目、分析サマリ試読版、集計データ例などの詳細については以下のレポート案内をご参照ください
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当調査データに関するお問い合わせ

株式会社 ノークリサーチ 担当:岩上 由高
〒160-0022 東京都新宿区新宿2-13-10 武蔵野ビル5階23号室
TEL 03-5361-7880 FAX 03-5361-7881
Mail: inform@norkresearch.co.jp
Web: www.norkresearch.co.jp

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