2021年 中堅・中小企業のRPA導入提案で「有効な用途」と「解決すべき課題」

ノークリサーチは中堅・中小企業向けのRPA導入提案において有効な用途や解決すべき課題に関する調査を行い、その結果を発表した。

<月単位の課金や複数端末に渡るライセンス共有など、市場の再活性化には新しい発想が大切>
■導入済みと導入予定の割合は横ばいだが、「用途数」は今後増加していく兆候が見られる
■RPAの用途では業務負担が「数量」と「複雑さ」のどちらに起因するか?の見極めが重要
■完全な課題解決ではなく、「時間と費用を抑えた部分的な解決策」を提示する方が現実的

PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2021年12月21日

2021年 中堅・中小企業のRPA導入提案で「有効な用途」と「解決すべき課題」

調査設計/分析/執筆: 岩上由高


ノークリサーチ(本社: 〒160-0022東京都新宿区新宿2-13-10武蔵野ビル5階23号室:代表:伊嶋謙ニ TEL:03-5361-7880URL:http//www.norkresearch.co.jp)は中堅・中小企業向けのRPA導入提案において有効な用途や解決すべき課題に関する調査を行い、その結果を発表した。本リリースは「2021年版 中堅・中小企業におけるRPAおよびノーコード/ローコード開発ツールの活用実態レポート」のサンプル/ダイジェストである。


<月単位の課金や複数端末に渡るライセンス共有など、市場の再活性化には新しい発想が大切>
■導入済みと導入予定の割合は横ばいだが、「用途数」は今後増加していく兆候が見られる
■RPAの用途では業務負担が「数量」と「複雑さ」のどちらに起因するか?の見極めが重要
■完全な課題解決ではなく、「時間と費用を抑えた部分的な解決策」を提示する方が現実的


調査対象企業: 年商500億円未満の中堅・中小企業1300社(日本全国、全業種)(有効回答件数)
調査対象職責: 情報システムの導入や運用/管理または製品/サービスの選定/決済の権限を有する職責
調査実施時期: 2021年6月~7月
※調査対象の詳細は本リリース末尾を参照


■導入済みと導入予定の割合は横ばいだが、「用途数」は今後増加していく兆候が見られる
中堅・中小企業を対象としたRPA導入提案は2018年頃から盛んになり、2018年~2019年にかけては単体業務の自動化から複数業務を横断する自動化へと用途が拡大する(=用途数が増える)と予想される傾向も見られた。だが、コロナ過によってこうした動きが停滞し、2020年の調査ではオフィス出社を減らすためのペーパレス化などに再び用途が狭まることになった。 では、2020年から2021年にはどのような変化が起きたのだろうか? 左のグラフは年商500億円未満の中堅・中小企業に対し、RPAの導入状況を尋ねた結果を2020年と2021年で比較したものである。コロナ禍で新たなIT活用に踏み出すことが難しく、導入済み/導入予定いずれの回答割合もほぼ変化しなかったことが確認できる。
ただし、その中身は全く同じではない点に注意が必要だ。右のグラフは2021年の段階で中堅・中小企業が導入済み/導入予定のRPA用途数を集計した結果である。導入済みと比較して、導入予定においては用途数=1が減少し、用途数=2~5が増加していることがわかる。 したがって、今後は中堅・中小企業におけるRPAの用途が再び拡大していく可能性がある。RPAツールを開発/販売するベンダやRPAソリューションを提供する販社/SIerとしては、「今後の拡大が見込めるRPAの用途とは何か?」や「用途の拡大に際して留意すべきRPA導入の課題は何なのか?」を把握しておくことが重要となる。本リリースの元ととなる調査レポート「2021年版中堅・中小におけるRPAおよびノーコード/ローコード開発ツールの活用実態レポート」では1300社のユーザ企業を対象とした調査結果を元に上記に関する分析/提言を述べている。次頁以降では、その一部をサンプル/ダイジェストとして紹介している。


■RPAの用途では業務負担が「数量」と「複雑さ」のどちらに起因するか?の見極めが重要
本リリースの元となる調査レポートでは以下のような選択肢を列挙して、中堅・中小企業がRPAを適用したいと考える場面や用途は何か?を集計/分析している。グループ1およびグループ2は決まった手順やルールに沿った作業を行うが、グループ3はデータ内容に基づいて複数の処理を取捨選択する必要が生じてくる。グループ4では更に高度なデータの認識/分析などが求められてくる。
<<グループ1:データの転記や照合に関する項目>>
書式が定まった紙面の転記/照合 例) マークシート方式で記入する申込書をシステムに転記する作業を自動化する
非定型である紙面の転記/照合 例) 名刺のように書式が一定でない紙面のデータを転記する作業を自動化する
手書きを含む紙面の転記/照合 例) 手書きの自由記述を含むアンケートをシステムに転記する作業を自動化する
Webサイトの転記/照合 例) 競合他社の価格情報を検索して一覧に整理する作業を自動化する
メール文面の転記/照合 例) メールで送られた注文を販売管理システムに入力する作業を自動化する
<<グループ2:データの配置や配信に関する項目>>
ファイルを定期的に配置する 例) 毎日所定の時刻に売上速報をアップロードする作業を自動化する
メールを定期的に配信する 例) 定例会議の前に事前資料をメールで送信する作業を自動化する
<<グループ3:データの作成や加工に関する項目>>
資料やレポートの作成 例) 会計システムのデータを経営層向けにグラフ化する作業を自動化する
データの集約と修正 例) 店舗や拠点の売上データを統一された書式にまとめる作業を自動化する
データや書式の変換 例) システムAのデータをシステムBに読み込むための変換作業を自動化する
<<グループ4:高度な判断を伴う処理に関する項目>>
Q&Aサイトの自動応答 例) 過去の履歴などを元にQ&Aサイトに書かれた質問に対して自動的に応答する
メールの自動返信 例) 過去の履歴などを元にメールで送られた問い合わせに対して自動的に応答する
ワークフローの分岐 例) 過去の履歴などを元にワークフローにおける条件分岐を自動的に判断する
データ分析と予測 例) 顧客情報や履歴データを元に優良顧客や要注意顧客(支払遅延など)を推定する
ここではグラフは割愛するが、中堅・中小企業における用途別に見た活用意向は概ねグループ1 >グループ2 >グループ3 >グループ4の順に高くなる。だが、 企業規模と用途の兼ね合いについても留意しておく必要がある。以下のグラフは上記から※1(ファイルを定期的に配置する)と※2(資料やレポートの作成)の活用意向を年商別に集計した結果を抜粋したものだ。
※1はファイル数という「数量」が作業負担に大きく影響する。こうした用途の活用意向は年商規模が大きくなるにつれて高くなる傾向がうかがえる。一方、※2は作成する資料やレポートの件数だけでなく、その「複雑さ」も作業負担を左右する。こうした用途の活用意向は必ずしも年商規模とは比例しないことがわかる。RPAの導入提案において「どのような用途を訴求すべきか?」を考える際には、「数量」と「複雑さ」のどちらが作業負担に大きく影響するか?を加味することが大切だ。さらに、本リリースの元となる調査レポートではRPAを「導入済み」と「導入予定」の企業がRPAを適用したいと考える用途の違いにも着目し、今後の伸びが期待できるRPAの用途は何か?についても集計/分析している。


■完全な課題解決ではなく、「時間と費用を抑えた部分的な解決策」を提示する方が現実的
さらに本リリースの元となる調査レポートでは中堅・中小企業がRPA活用で直面する様々な課題を尋ね、その結果を集計/分析している。以下のグラフは中堅・中小企業全体における「RPA活用における課題」の集計結果である。
中堅・中小企業がRPAのような新しいIT活用に取り組む際は導入費用が大きな障壁になると考えられがちだ。しかし、上記のグラフが示すように「データ連携はできるが、業務の連携ができない」(※1) 、「自動化できる業務内容がどれか判断できない」(※2)、「自動化できる業務内容がごく一部に限られる」(※3)、「RPAのみではヒトによる手作業が残ってしまう」(※4)といった課題の方が多く挙げられている。以下のグラフは※1~※4をRPAの導入状況別(導入済み/導入予定)に集計したものだ。
導入済みと比較した時の導入予定における値を見ると、今後は「データ連携から業務連携への高度化」(※1)よりも、「1. RPAを適用する業務の判断」(※2)や「2.RPAを適用できる範囲」(※3や※4)に関する課題の解決が重要となってくる。1や2を解決する手段としては導入コンサルも有効だが、導入効果が確実に見込めるか?が分からない中で導入コンサルに要する時間と費用を捻出できる中堅・中小企業は少ない。こうした状況では、完全解決よりも時間と費用を抑えた部分的な解決策が有効だ。
例えば、1.においてはRPAの用途をテンプレート化してユーザ企業に選んでもらうというアプローチが考えられる。テンプレートが業務に合致しない可能性もあるが、導入に要する時間/費用を極力かけずに試行錯誤できるメリットがある。2.については逆の発想として、一部の業務を自動化するだけでも費用対効果が得られる課金体系にするという考え方もある。繁忙期の間だけ利用できるように月単位の契約を可能としたり、1つのライセンスを「午前は経理部PCでの作業、午後は総務部PCでの作業」といったように時間で区切って共有できるようにするなどの取り組みが考えられる。中堅・中小企業に対してRPAを訴求する際はこうした柔軟な発想も大切となってくる。

本リリースの元となる調査レポート

『2021年版 中堅・中小企業におけるRPAおよびノーコード/ローコード開発ツールの活用実態レポート』
コロナ禍で停滞したRPAやノーコード/ローコード開発ツールの導入提案を再び加速させるために必要な施策とは何か?

サンプル属性
有効サンプル数: 1300社(有効回答件数)
A1.年商区分: 5億円未満(200社) / 5億円以上~10億円未満(200社) / 10億円以上~20億円未満(200社) /20億円以上~ 50億円未満(200社) / 50億円以上~ 100億円未満(200社) /100億円以上~ 300億円未満(200社) / 300億円以上~ 500億円未満(100社)
A2.職責区分: 情報システムの導入や運用/管理または製品/サービスの選定/決済の権限を有する職責
A3.従業員数区分: 10人未満 / 10人以上~20人未満 / 20人以上~50人未満 / 50人以上~100人未満 /100人以上~300人未満 / 300人以上~500人未満 / 500人以上~1000人未満 /1000人以上~3000人未満 / 3000人以上~5000人未満 / 5000人以上
A4.業種区分: 組立製造業 / 加工製造業 / 建設業 / 卸売業 / 小売業 / 流通業(運輸業) /IT関連サービス業 / 一般サービス業 / その他
A5.所在地区分: 北海道地方 / 東北地方 / 関東地方 / 北陸地方 / 中部地方 / 近畿地方 / 中国地方 /四国地方 / 九州・沖縄地方
調査実施時期: 2021年6月~7月
上記に加えて、「A6.IT管理/運用の人員規模」(IT管理/運用を担う人材は専任/兼任のいずれか?人数は1名/2~5名/6~9名/10名以上のどれに当てはまるか?)および「A7.ビジネス拠点の状況」(オフィス、営業所、工場などの数は1ヶ所/2~5ヶ所/6ヶ所以上のいずれか?ITインフラ管理は個別/統一管理のどちらか?)といった属性についても尋ねている。

分析サマリの章構成
第1章:RPAの導入状況と用途
第2章:RPA活用における課題とニーズ
第3章:RPAツールの導入社数シェアと導入費用
第4章:RPAと既存の業務システムとの関連
第5章:ノーコード/ローコード開発ツールの導入状況
第6章:ノーコード/ローコード開発ツールの利点と課題

価格: 180,000円(税別) 発刊日: 2021年1月中旬予定

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当調査データに関するお問い合わせ

株式会社 ノークリサーチ 担当:岩上 由高
〒160-0022 東京都新宿区新宿2-13-10 武蔵野ビル5階23号室
TEL 03-5361-7880 FAX 03-5361-7881
Mail: inform@norkresearch.co.jp
Web: www.norkresearch.co.jp

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