まぶしさのメカニズムを解明

神奈川工科大学 2021年10月12日 20時05分 [ 神奈川工科大学のプレスリリース一覧 ]
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私たちがまぶしい!と感じる眼のメカニズムを、神奈川工科大学・ヒューマンメディア研究センターの内川惠二客員研究員が解明しました。網膜内に存在する光を感じる第3の細胞に、まぶしさを感じる大きな役割があることを明らかにしました。




 私たちは網膜にある''錐体''と''桿体''という2種類の視細胞によってのみ光を感じると、過去100年以上、定説になっていました。ところが、20年ほど前に、光を感じる第3の細胞『ipRGC』が網膜の神経細胞の中に発見され、それ以降、ipRGCの役目を明らかにすることが研究されてきました。
 図1に示すように、視神経を通る情報は色、明るさ、形の情報を脳に伝えます。一方、ipRGCの応答は体内時計や瞳孔反射の調整などに使われることがわかっています。しかし、ipRGCの応答はこれだけではなく、色・明るさ・形経路にも伝えられていることが最近明らかになってきました。
 私たちは強すぎる光を見ると眼が損傷してしまいます。これを防ぐために、眼に強すぎる光が入るときには何らかの生体内部からの警告が必要です。''まぶしさ''という感覚はまさにその警告であり、本研究ではipRGCがこの感覚を生起するではないかと考えました。そこで、まぶしさ感覚を測る心理物理学実験を行なった結果、この予測の正しいことが検証されました。
 この実験では、6個のテスト光の波長成分を調整して、全てのテスト光に視細胞は等しく応答しますが、ipRGCだけはテスト光ごとに応答に差が生じるようしました。
 この実験結果が図2となります。テスト光が1から6へと変わると、それに応じた波長成分の違いによりipRGC応答がこの順番に比例して大きくなります。しかし、視細胞応答は変化せず横方向に一定となります。このように、実験参加者はipRGCの応答が大きい刺激をよりまぶしいと判断していることから、ipRGCは私たちのまぶしさ感覚に寄与していることが明らかとなりました。
 本研究の成果は、視覚に関する学術的成果だけではなく、まぶしさ防止のメガネやフィルターなどの開発に大きく貢献すると期待できます。なお、本研究は本年8月開催の欧州視知覚会議(EVCP)と9月開催の日本視覚学会で発表されました。


▼本件に関する問い合わせ先
神奈川工科大学 工学教育研究推進機構
井藤 晴久
住所:〒243-0292 神奈川県厚木市下荻野1030
TEL:046-291-3299
メール:kiko-sien@ccml.kanagawa-it.ac.jp


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