2021年 有料動画配信サービス利用動向に関する調査

株式会社 ＩＣＴ総研 （東京都千代田区）は8月17日、「2021年 有料動画配信サービス利用動向に関する調査」の概要をまとめた。

■有料動画配信サービス利用者数は2021年に3,160万人、2023年に3,970万人へ拡大

　インターネット回線などを活用した有料動画サービスの利用者が急速に増加している。映画、アニメ、テレビ番組などの動画コンテンツを定額制で利用できるサービスが増加して価格が下がってきた影響もあり、有料動画サービス市場の拡大が続いている。また新型コロナウィルス感染拡大によって外出機会が減り、「巣ごもり需要」が高まったことも影響している。
　かつては1本あたり数百円程度で視聴できるペイパービュー（PPV）方式が中心だったが、月額1,000円以下で大量の動画を見放題で提供する「定額見放題」サービスの利用者が急増した。
　2016年末（12月末）時点の有料動画配信サービス利用者は1,160万人で、このうち定額制サービスの利用者数は約4分の3にあたる890万人であった。2018年末には1,750万人の利用者のうち定額制サービス利用者は約5分の4以上にあたる1,480万人へと急増し、さらに2020年末には2,330万人へと拡大する。有料動画配信サービス利用者はさらに増え続け、2023年にはPPV利用者と合わせて3,970万人にまで拡大すると予測する。今後も定額制サービスの利用者増が顕著で、2023年には3,710万人に達する見通しだ。


■定額制動画配信サービスの利用率は28％、PPVサービス利用率は3％

　ICT総研が2021年6月に、4,407人のインターネットユーザーに対して実施したWebアンケート調査の結果では、動画配信・無料サービスのみを利用するユーザーは55％であった。また、定額制サービスを利用するユーザーは28％で、ペーパービューサービスを利用するユーザーは3％である。動画サービスを全く利用しない人も14％いる。2019年2月に実施したアンケート調査では定額制サービスの利用者は17％であり、着実に利用者が増えていることを示している。
　現在、無料動画サービスしか利用していない人が有料サービスに移行する可能性もあり、有料動画サービスの潜在市場は大きいものと想定される。
　懸念材料としては高画質動画などの大容量コンテンツが増えた結果、固定ブロードバンドサービスのトラフィックが爆発的に増えていることである。現在のサービス体系ではどれだけ容量の大きいデータをダウンロードしてもインターネットのサービス価格が変わらないが、携帯電話のように容量によって価格を変えるという構想も出始めている。その場合、ユーザーが動画配信のような大容量データサービスを利用しなくなる可能性もあるだろう。


■有料動画サービスの最多利用率はプライム・ビデオが70％でトップ、Netflixが28％で2位

　有料動画サービスを利用していると回答した1,378人の中で、主に利用する動画サービス名を聞いたところ、70％の人がAmazonのプライム・ビデオを利用していると回答した。プライム・ビデオは、年間4,900円（税込）で加入することができ、配送料無料や音楽コンテンツの聴き放題サービス（Prime Music）など多様なサービスが含まれることからコストパフォーマンスが高いと認識され、利用者拡大につながっているものと思われる。
　次に利用者数が多かったのがNetflixで、28％の人が利用していると回答した。Netflixは、月額定額でNetflixに登録されている全てのコンテンツが見放題となる米国発祥のサービスである。画質と同時視聴可能な機器数の違いによって3つの料金プランが用意されており、用途に合わせて自由に選ぶことができる。海外コンテンツの豊富さに加え、オリジナルコンテンツの充実ぶりも高評価につながっている。
　アンケート回答数で3位だったのがHuluで、19％の人が利用していると回答した。以下、GYAO!の利用率が11％、U-Nextが10％、dTVが9％と続く。


■定額制動画配信サービスの満足度はdアニメストア、WOWOWオンデマンド、Netflixが高い支持を獲得

　動画サービスの利用者に対して、最もよく利用する定額制サービスの満足度を4段階評価で確認した結果、dアニメストアが86.3ポイントでトップとなった。僅差の86.1ポイントで2位につけたのはWOWOWオンデマンドで、利用率で２位だったNetflixは84.6ポイントで3位となった。


■ スマホによる動画サービス利用者は64％から68％へと増加、パソコン利用者は減少

　アンケート調査の結果では、動画サービス利用者の55％がパソコン端末上で無料・有料動画サービスを利用していると回答した。これは2019年の61％から6％低下した。一方、スマホ端末で動画サービスを利用する割合は68％で、こちらは昨年の64％から4％上昇した。スマートフォンでの利用率は、調査開始以降伸び続けておりパソコンでの利用率を上回っている。
タブレット端末による利用率は2019年時点での調査から1％下がり26％、またテレビによる利用率は23％と低いが、2019年から7％増加しており映画などの動画配信コンテンツを大画面で楽しむ利用形態も徐々に進んでいる。
今後もスマートフォンによる利用率は上がる傾向にあり、スマホ向けの動画サービスを豊富に揃える必要がありそうだ。202１年には5G商用サービスが本格化され、より快適に動画を楽しむことができるようになるため、スマートフォンの動画利用が一層進むことになるだろう。