コンデンサ容量を大幅に低減できる電源技術「Nano Cap(TM)」を確立

ローム株式会社 2020年04月21日 10時00分
From Digital PR Platform


<要旨>
ローム株式会社(本社:京都市)は、自動車や産業機器をはじめとする各種電源回路の外付けコンデンサ容量が、極小のnFオーダー(ナノファラッドオーダー:ナノは10のマイナス9乗)でも安定制御できる電源技術「Nano Cap™」を確立しました。

電子機器に搭載される電源回路では、出力を安定させるために外付けコンデンサが用いられています。例えばリニアレギュレータとマイコンで構成される回路の場合、一般的にリニアレギュレータの出力側に1μF、マイコンの入力側に100nFのコンデンサが必要でした。

今回、ロームの「回路設計」「レイアウト」「プロセス」、3つのアナログ技術を結集することで実現した電源技術「Nano Cap」をリニアレギュレータに搭載することにより、リニアレギュレータ出力側のコンデンサが不要となり、100nFのコンデンサだけで動作を安定させることができるため、回路設計負荷を大幅に軽減することが可能になります。

今後ロームは、コンデンサレス実現に向けた「Nano Cap」のさらなる技術開発を進めるとともに、リニアレギュレータだけでなく、オペアンプやLEDドライバなど他のアナログICでも「Nano Cap」を搭載した製品を開発していきます。そして、コンデンサの削減や容量低減はもちろん、資源の有効活用や環境負荷の低減を通して、社会に貢献します。

なお、「Nano Cap」を搭載したオペアンプは、既に一部サンプル出荷を開始しており、リニアレギュレータと同レギュレータを内蔵したLEDドライバも2020年中にサンプル出荷を開始する予定です。

<背景>
近年、省エネ意識の高まりにより、あらゆるアプリケーションの電子化が進んでいます。中でも自動車分野においては、電気自動車や自動運転技術の進歩に伴う技術革新により、電子部品の搭載数が年々増加しています。その一方で、電子回路の安定化に使用されるコンデンサ(特に積層セラミックコンデンサ)は、非常に多く使用される電子部品であることから、使用するコンデンサを1つでも減らしたいという要望が増えています。

ロームが、超高速パルス制御技術「Nano Pulse Control™」、超低消費電流技術「Nano Energy™」に続いて、新たに確立した第3のNano電源技術「Nano Cap™」は、リニアレギュレータにおいて、従来必須だった外付けコンデンサを削減できる新しい技術です。自動車分野に限らず幅広い分野に対して、電源回路のコンデンサ削減や容量低減を実現することで、回路設計負荷の軽減に貢献します。
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<Nano Cap™について>
Nano Capは、ロームの垂直統合型生産体制において、「回路設計」「レイアウト」「プロセス」、3つの先端アナログ技術を結集することで実現する超安定制御技術を指します。安定制御により、アナログ回路のコンデンサに関する安定動作課題を払拭することで、自動車や産業機器、民生機器などを問わず、幅広いアプリケーションの設計工数削減に貢献します。

リンク <Nano Cap技術の詳細>
Nano Capは、アナログ回路における応答性能改善と、配線・増幅器の寄生要因極小化により、リニアレギュレータの出力に対して安定制御を提供することで、出力コンデンサ容量を従来技術の1/10以下にすることができます。

このため、例えばリニアレギュレータとマイコンで構成される回路の場合、一般的なリニアレギュレータでは、リニアレギュレータの出力側に1µF、マイコンの入力側に100nFのコンデンサが必要でしたが、Nano Cap搭載リニアレギュレータは、マイコン側のコンデンサ100nFだけで動作を安定させることができます。実際のNano Cap技術評価(条件:コンデンサ容量100nF、負荷電流変動50mA)においても、負荷電流変動に対する出力電圧変動の業界要求値が±5.0%以内とされる中、従来の100nF対応リニアレギュレータが出力電圧変動±15.6%であったのに対して、Nano Capを搭載した評価チップは±3.6%の安定動作を実現しています。

<これまでのNano電源技術について>
ロームは、これまで自社の垂直統合型生産体制において、「回路設計」「レイアウト」「プロセス」、3つの先端アナログ技術を結集することで実現するNano電源技術を確立してきました。Nanoをキーワードにするロームの下記技術は、電源ICを中心にさまざまな製品に搭載されており、アプリケーションの課題解決に貢献しています。

「Nano Pulse Control™」:
電源ICにおいて、ナノ秒(ns)オーダーのスイッチングオン時間(電源ICの制御パルス幅)を実現することで、従来2つ以上の電源ICでしか構成できなかった高電圧から低電圧への電圧変換を、“1つの電源IC”で構成可能にする超高速パルス制御技術を指します。マイルドハイブリッド自動車や産業用ロボット、基地局のサブ電源など、48V系電源システムで駆動するアプリケーションの小型化、システムの簡略化に大きく貢献します。

「Nano Energy™」:
IoT分野のキーワードである“コイン電池で10年駆動”に向けて、超軽負荷時における消費電流と、消費電流を下げることで発生するトレードオフを極限まで低減させることで、ナノアンペア(nA)オーダーの無負荷時消費電流を実現する超低消費電流技術を指します。モバイル機器やウェアラブル機器、IoT機器など、バッテリーや小型電池で駆動する電子機器の長時間駆動に貢献します。

詳細は、ロームのアナログパワーWebページ(下記URL)をご覧ください。
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「Nano Cap™」「Nano Pulse Control™」「Nano Energy™」は、ローム株式会社の商標または登録商標です。


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