ブータン王国で3年間性別がわからなかった国民的オグロヅル個体 「カルマ」 の性別を日本チームが染色体マーカーで明らかに -- ブータン王国で宗教的にも重要な絶滅危惧種オグロヅルの保全に生かす研究成果

法政大学 2019年09月19日 14時05分
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ブータン王国で、3年間性別のわからなかった「カルマ」と名付けられた国民的オグロヅル個体の性別がオスであることを、日本チームが染色体マーカーで明らかにし、ブータン国内でも大きなニュースになりました(2019年8月22日)。オグロヅルは、国際自然保護連合の絶滅危惧種レッドリストに記載され、ブータン国内では宗教的意味を持ちます。
日本チーム(代表:島野智之 法政大学)としてブータンで調査を行った西海功先生(国立科学博物館)が、カルマの落ちた羽の羽軸の基部からDNAを抽出することで明らかにしました。




 2016年初頭、首と左翼に怪我をした若いオグロヅルが発見され、傷が治ったものの渡り鳥であるこの若いオグロヅルは永久に飛べなくなりました。この個体はカルマと名付けられ、それ以来、ポブジカ地方のブータン王立自然保護協会(RSPN)のオグロヅルセンターが、飼育ケージを造り、このツルの飼育をしてきました。ブータン王立自然保護協会(担当者:ジグム・ツェリング)は、このカルマの性別を明らかにしようとしてきましたが、単独個体であり、交尾や性的行動などがみられないため、3年間、性別さえもわからないままであり、カルマの動向は宗教的意味合いもあり、国民の大きな関心事項のため、大きなニュースとなりました。
 
 オグロヅルは毎年冬に、中国のチベット高原からブータンの内陸部の谷まで約100kmのヒマラヤ上空を大きな群れが飛んで、10月にブータンを訪れ、約5か月間過ごした後、3月にまた帰って行きます。ポブジカ渓谷は、ブータン国内最大の自然湿地の1つであり、ブータン王立自然保護協会のデータによると、2018年から2019年8月にかけて、渓谷には609羽が飛来しました。ブータンでは、オグロヅルは文化的および歴史的に重要であり、「天国の鳥」として尊敬されています。それらは幸運と幸せに関連付けられ、長寿の6つのシンボルなどの絵画に見られます。毎年11月には、渡りで飛来するポブジカ地方ではお祭りが行われます。



 成果は、ブータン生態学会誌『Journal of Bhutan Ecological Society』に公開予定です。今後さらに遺伝構造などの解析が行われる予定です。

※公開されたオグロヅル、カルマのニュース( リンク )(原題:Crane Karma is male,test confirms the gender after 3 years)

▼本件に関する問い合わせ先
法政大学自然科学センター・国際文化学部
教授 島野 智之
TEL:03-3264-9345(国際文化学部)(自然科学センター)
メール:sim@hosei.ac.jp


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