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新橋のラーメン屋に入り、券売機を前に何を注文しようかと悩み始めると、券売機のとなりにいるかわいらしいロボットが、「鈴木さん今月は三回目のご来店ですね。いつもこってりしたものを食べてらっしゃいますから、この春の新メニューはいかがですか?」と話しかけてくる[i]。
デジタルネイティブにとって見ればもはや当たり前のこの光景は、巨額の研究開発投資に支えられたものだ。このラーメン屋は700円のラーメンを売るために、1兆円かけて作られたアルゴリズムを利用している。当然、ラーメン屋にはそれほどの投資余力はない。グローバルで活躍する巨大企業がよくできたアルゴリズムを気前よく、お手頃価格で提供しているからこそこのような事が可能になる。
情報・通信技術の特性はなんだろう。他の業界には無く、あらゆる業界が情報通信技術に注目するべき大きな理由は、劇的な値崩れにある。5年前と比べて、同じことをするための費用が半分になる業界はほとんど無い。エネルギも、人件費も、地代も、原料費もそのような値下がりはしない。この値崩れのスピードが事業者を新しいことへと駆り立てるのである。この値崩れを活かす事業者は生き残り、活かせない事業者は負ける。これが昨今のデジタル変革である。
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著者紹介:鈴木良介氏
野村総合研究所ICTメディア・サービス産業コンサルティング部、上級コンサルタント。2004年、株式会社野村総合研究所入社。近年では、ビッグデータ・IoT・人工知能などのテクノロジが事業・社会にもたらす影響の検討および新規事業立ち上げ支援を行う。科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業CRESTビッグデータ応用領域領域アドバイザー。著書に『データ活用仮説量産フレームワークDIVA』(日経BP、2015年)
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