ダブルケアに関する調査2018

注:第8弾ダブルケア実態調査(ソニー生命連携調査)

ソニー生命保険株式会社(代表取締役社長 萩本 友男)と横浜国立大学 大学院国際社会科学研究院 相馬 直子教授、ブリストル大学(英国) 社会・政治・国際学研究科 山下 順子上級講師は、2018年2月28日~3月5日の6日間、今年で3回目となる全国規模での「ダブルケアに関する調査」をインターネットリサーチで実施しました。今回は、これまでにダブルケアを経験したことがある男女1,000名を対象に調査しました。(調査協力会社:ネットエイジア株式会社)



ダブルケアに関する調査2018 事前調査結果
【『ダブルケア』 認知度調査】

『ダブルケア』という言葉の認知度は18%、40代女性は昨年より10ポイント上昇で21%に

今回の調査対象であるダブルケアラー(ダブルケア経験者)を抽出するために、全国の大学生以下の子どもを持つ30歳~55歳の男女17,049名に、“子育て”と“親(または義親)の介護”が同時期に発生する状況である『ダブルケア』について、自身の状況を聞きました。
まず、全回答者(17,049名)に、『ダブルケア』という言葉を聞いたことがあるかどうかを質問したところ、「ある」が17.5%、「ない」が82.5%となりました。ダブルケア経験別に聞いたことがある人の割合をみると、ダブルケア経験がある人では30.1%、ダブルケア経験がない人では12.3%でした。 (図1)
また、男女別にみると、ダブルケアという言葉を聞いたことがある人は、男性は14.5%、女性は21.0%でした。
ここで、前回の調査結果(※)と比較をすると、全体では2017年12.7%→2018年17.5%と4.8ポイント上昇していました。(図2)
※ダブルケアに関する調査2017 リンク
(前回の調査では、調査対象に20代が含まれていましたが、今回の調査対象に合わせて20代の回答者を除いて再集計し、比較を行いました。)
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「現在ダブルケアに直面中」は16%、ダブルケア経験率は29%、50代女性の経験率は41%
「ダブルケアは自分事の問題」37%

次に、全回答者(17,049名)に、“ダブルケアとは『子育てと親・義親の世話・見守り・介護が同時期に発生する状況』である”と説明をし、自身のダブルケアの状況について聞いたところ、「現在ダブルケアに直面中」が12.3%、「過去にダブルケアを経験」が12.8%、「現在直面中で、過去にも経験がある」が4.0%で、ダブルケアに直面している人は16.3%、ダブルケアを経験したことがある人は29.1%でした。また、経験率に「数年先にダブルケアに直面する」(7.5%)を加えた、“ダブルケアが自分事の問題”という人の割合は36.6%になりました。
(図3)
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ダブルケアに関する調査2018 本調査結果
【ダブルケアラーに聞く『ダブルケア』の実態】

ダブルケアラーの2割が親・義親の世話・見守り・介護では「中心的な関わり」
ダブルケアに直面中で親・義親と同居しているダブルケアラーでは「中心的な関わり」が4割強に
女性が中心的に関わる理由 最多は「自分以外に主にできる人がいない」
男性では「自身の希望で主に関わりたい」が最多

ダブルケアに関わっている(いた)全国の30歳から55歳の男女(1,000名)に、親・義親の世話・見守り・介護に、どのように関わっているか(いたか)を聞いたところ、「必要に応じて手伝っている(いた)」が最も多く47.9%、次いで、「愚痴を聞くなど精神的なケアをしている(していた)」が34.9%、「定期的に手伝っている(いた)」が22.9%、「中心となって世話・見守り・介護をしている(していた)」が20.5%でした。必要なときに手伝いをしているという人が多いようです。
また、現在、ダブルケアに直面している人について、親または義親との同居状況別にみると、同居している人(123名)では、「中心となって世話・見守り・介護をしている(していた)」が41.5%と同居していない人(20.5%)より高くなったほか、「定期的に手伝っている(いた)」(同居31.7%、非同居24.3%)や「経済的援助をしている(していた)」(同居27.6%、非同居11.4%)でも同居している人のほうが高くなる傾向がみられました。(図4)
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次に、自身が中心となって世話・見守り・介護をしている(していた)人(205名)に、中心となって関わる理由を聞いたところ、「自身の希望で主に関わりたい(関わりたかった)」が52.7%、「自分以外に主にできる人がいない(いなかった)」が47.8%となりました。自身の希望で中心的に関わっている人が多いようです。
しかし、男女別にみると、女性では「自分以外に主にできる人がいない(いなかった)」が62.4%となり、「自身の希望で主に関わりたい(関わりたかった)」(43.0%)を上まわる結果となりました。 (図5)
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「育児より介護が先に始まった」ダブルケアラーの12%、30代では20%に
過去にダブルケアが続いた期間 「3年超」39%、「10年超」10%

次に、全回答者(1,000名)に、自身が関わったダブルケアについて、育児と介護のどちらが先に始まったか聞いたところ、「育児が先だった」が82.1%、「介護が先だった」が11.5%、「同時に始まった」が6.4%となりました。育児期間中に親・義親の介護が必要になり、ダブルケアラーになったという人が多いようです。(図6)
また、現在はダブルケアに直面していないダブルケアラー(457名)に、どのくらいの期間、ダブルケアを行っていたか過去の経験を聞いたところ、「1年以内」が33.3%、「1年超~3年以内」が28.2%、「3年超~6年以内」が20.4%となりました。また、「3年超(計)」は38.5%、「10年超(計)」は10.0%で、平均期間は3.9年となりました。 (図7)
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ダブルケアで負担に感じること 「精神的にしんどい」「体力的にしんどい」「経済的負担」

全回答者(1,000名)に、ダブルケアで負担に感じている(いた)ことを聞いたところ、「精神的にしんどい」が最も多く46.8%、次いで、「体力的にしんどい」が43.2%、「経済的負担」が33.5%、「子どもの世話を十分にできない」が30.7%、「親/義理の親の世話を十分にできない」が29.0%で続きました。
「親/義理の親の世話を十分にできない」(男性31.2%、女性26.8%)では、唯一、男性のほうが高い結果となりました。(図8)
ここで、有職者(765名)について、ダブルケアで負担に感じている(いた)ことをみると、「仕事との両立」は、有職男性では15.4%、有職女性では28.7%と、仕事との両立を負担に感じていた有職女性の割合は、有職男性の2倍近くとなりました。 (図9)
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ダブルケアの三大不安 「家計・経済状況」「子どもへの影響」「自身の健康状況」


また、全回答者(1,000名)に、ダブルケアで不安(気がかり、心配)に思っている(いた)ことを聞いたところ、「家計・経済状況」が最も多く41.0%、次いで、「子どもへの影響」が39.1%、「自身の健康状況」が31.4%となりました。家計や子どもへの影響を不安に感じることが多いようです。(図10)
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ダブルケアへの備え ダブルケアラーの4割近くが「備えを何も行っていない・いなかった」と回答

続いて、全回答者(1,000名)に、ダブルケアに対する備えとして行っている(いた)ことを聞いたところ、「親族(両親や兄弟姉妹など)とダブルケアが起こった場合の負担・分担について話し合う」(21.9%)や「親が元気なうちに介護について話し合う」(21.4%)、「誰がいつ要介護になるリスクがあるのか整理する」(20.4%)では2割以上となりましたが、最も多かったのは「特になし」で37.4%でした。ダブルケアに対する備えをしないままダブルケアを経験することになってしまったダブルケアラーは少なくないのではないでしょうか。(図11)

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ダブルケアに対する備えとして行っておいたほうが良かった ダブルケアラーの実感 1位は「ダブルケアの分担について親族と話し合う」

また、全回答者(1,000名)に、ダブルケアに対する備えとしてやっておいたほうが良かったことを聞いたところ、「親族(両親や兄弟姉妹など)とダブルケアが起こった場合の負担・分担について話し合う」が最も多く29.2%、次いで、「親が元気なうちに介護について話し合う」が26.0%、「子育て・介護に関する経済的な準備をする(貯蓄・保険など)」が23.0%となりました。親や親族と話し合っておけば良かった、経済的な準備をしておけば良かったと感じているダブルケアラーが多いようです。(図12)

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ダブルケアの経済的負担感 ダブルケアラーの6割が「負担である」と回答
ダブルケアに関する毎月の負担額 ダブルケアに直面中のダブルケアラーの平均負担額は75,518円
ダブルケアに直面中のダブルケアラーの半数が「想定外の支出がある」と回答

ダブルケアでの負担で「経済的負担」が3位にあげられ、ダブルケアで不安に感じることでも1位が「家計・経済状況」となっていましたが、より「経済的負担」の程度を更に詳しくみてみましょう。
全回答者(1,000名)に、ダブルケアの経済的負担感を聞いたところ、『負担である(計)』は60.8%でした。
(図13)
次に、現在、ダブルケアに直面している人(543名)に、ダブルケアに関する毎月の負担額を聞いたところ、平均は、「親(義理の親)の医療・介護関連費用(介護用品や移動費も含む)」が23,073円、「子どもの保育・教育関連費用(習い事や塾等も含む)」が38,015円、「その他」が14,430円で、平均負担額の合計は75,518円となりました。 (図14)
また、現在、ダブルケアに直面している人(543名)に、ダブルケアの経済的負担について、想定外の支出の有無を聞いたところ、「ある」が49.7%となりました。 (図15)
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【『ダブルケア』と仕事の両立】


「ダブルケアを理由に仕事をやめたことがある」ダブルケアラーの10%
ダブルケアで仕事をやめた要因で顕著な男女差
男性は「子どもが保育園に入れず両立できない」 女性は「職場が両立しにくい環境」

続いて、ダブルケアと仕事の両立に関する質問を行いました。
まず、全回答者(1,000名)に、これまでにダブルケアを理由に仕事をやめたことがあるか聞いたところ、「はい」10.0%、「いいえ」90.0%となり、ダブルケアによって仕事をやめなければいけなかったという人がいることがわかりました。
男女別にみると、ダブルケアを理由に仕事をやめたことがある人は、男性では8.4%、女性では11.6%となりました。
また、性年代別にダブルケアを理由に仕事をやめたことがある人の割合をみると、30代男性12.0%、40代男性9.0%、50代男性4.2%となっており、男性では若い年代ほど高くなりました。他方、女性では、30代女性(14.5%)と50代女性(13.2%)では1割半となっており、40代女性(7.2%)に比べて高くなりました。 (図16)

次に、ダブルケアを理由に仕事をやめたことがある人(100名)に、ダブルケアのどのようなことが仕事をやめる要因になったのか聞いたところ、「子どもが保育園に入れず両立できない」が最も多く36.0%、次いで「職場が両立しにくい環境」が30.0%、「親(義親)が介護施設に入れず両立できない」が27.0%となりました。(図17)
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「現在の仕事は介護・育児との両立が困難」ダブルケアラー有職者の約3人に1人


また、ダブルケア直面中の有職者(ダブルケアラー有職者(436名))に、ダブルケアと仕事の両立状況や、ダブルケアと仕事の両立に必要だと思うことなどを聞きました。

まず、ダブルケアラー有職者(436名)に、現在の勤務先は、介護や育児と両立しやすい職場かどうか聞いたところ、「はい」が64.0%、「いいえ」が36.0%となりました。現在の仕事は介護・育児との両立が困難だと感じている人は少なくないようです。(図18)
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「ダブルケアと仕事の両立」理想と現実にギャップ
「子育て・介護・仕事をバランスよく」は理想では半数以上も、現実では2割強にとどまる

次に、ダブルケアラー有職者(436名)に、ダブルケアと仕事の両立について、何を優先したいか聞いたところ、「子育て・介護・仕事をバランスよく生活したい」が最も多く53.7%、次いで、「子育てと仕事の両立を優先した生活をしたい」が18.6%、となりました。子育て、介護、仕事の3つのバランスが上手くとれた生活を希望する人が多いようです。(図19)

それでは、実際には、何が優先されているのでしょうか。
ダブルケアラー有職者(436名)に、ダブルケアと仕事の両立について、何が優先されているか聞いたところ、「子育てと仕事が中心の生活だ」(31.0%)が最も多く、「自分なりに子育て・介護・仕事の両立ができている生活だ」は21.8%で、ダブルケアと仕事が両立できている人は2割強にとどまりました。(図20)
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ダブルケアと仕事の両立で苦労した点 最多は「ダブルケア問題が認知されていない」
ダブルケアラー有職者が職場に求めること TOP3は「休暇の取りやすさ」「柔軟な出社時間」「残業削減」

また、ダブルケアラー有職者(436名)に、ダブルケアと仕事の両立で苦労した点を聞いたところ、「子育てと介護のダブルケアという問題が認知されていない」が最も多く16.7%、「職場が両立しにくい環境」が15.4%となりました。“ダブルケア”が周囲にあまり知られていないことで苦労している人が多いようです。 (図21)

ここで、ダブルケアラー有職者のなかでも、中心となって親・義親の世話・見守り・介護をしている(いた)人(112名)についてみると、「介護サービス利用と仕事の両立がしにくい」が最も多く20.5%、次いで、「子どもが保育園に入れず両立できない」が19.6%となりました。仕事をしながら、自身が中心となって親・義親の世話・見守り・介護に関わっていた人には、介護サービスを利用することに苦労した人や子どもが保育園に入れずに苦労した人が多いことがわかりました。(図22)
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そして、ダブルケアラー有職者(436名)に、ダブルケアと仕事の両立のために職場に必要だと思うことを聞いたところ、「子育て・介護のための休暇を取りやすくする」が最も多く48.4%、次いで、「柔軟に出社時間を変えられるようにする」が41.3%でした。休暇を取りやすい環境、出社時間を変更しやすい環境が求められているようです。(図23)

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ここで、ダブルケアと仕事の両立のために職場に必要だと思うこととして「在宅ワークを可能にする」を選んだ人の割合をパートナーとの同居別にみると、女性において、パートナーと同居していない人(別居している、またはパートナーがいない人)では40.0%とパートナーと同居している人(22.1%)と比べて高くなりました。 (図24)
また、末子の成長段階別にみると、末子が小学生の男性(26.0%)や末子が未就学児の女性(30.0%)で高くなる傾向がみられました。 (図25)
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それでは、ダブルケアと仕事の両立のために、「在宅ワークを可能にすること」が必要だと考えているのは、どのような人たちなのでしょうか。
まず、親・義親の世話・見守り・介護への関わり方についてみると、「定期的に手伝っている(いた)」(必要だと感じている37.4%、必要だと感じていない25.5%)や「中心となって介護・世話・見守りをしている(していた)」(必要だと感じている31.3%、必要だと感じていない24.0%)、「ケアマネージャーなど支援者や専門家との連絡調整をしている(していた)」(必要だと感じている25.3%、必要だと感じていない12.8%)では、在宅ワークを可能にすることの必要性を感じている人のほうが高く、親の世話・見守り・介護の関わり度合いが高い人ほど、在宅ワークの必要性を感じているようです。 (図26)
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次に、自身の就業形態についてみると、「正社員」(必要だと感じている73.7%、必要だと感じていない68.8%)は、在宅ワークを可能にすることが必要だと感じている人のほうが高くなった一方、「パート・アルバイト」(必要だと感じている14.1%、必要だと感じていない19.0%)は必要だと感じていない人のほうが高くなりました。 (図27)
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【『ダブルケア』に対する支援】

ダブルケアラーの75%が「公的介護サービスは不十分」、74%が「公的子育て支援は不十分」と回答

最後に、ダブルケアに対する支援について質問しました。
まず、全回答者(1,000名)に、ダブルケアをする人にとって、公的なサービスは十分だと思うか聞いたところ、『十分(計)』は25.2%、『十分でない(計)』は74.8%となりました。また、≪公的な子育て支援サービス≫では、『十分(計)』は26.3%、『十分でない(計)』は73.7%でした。介護サービスも子育て支援サービスも十分ではないと感じている人が多いようです。(図28)
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「介護施設の入所基準をダブルケア世帯に配慮した基準に」ダブルケアラーの約9割が必要と回答
「ダブルケア当事者がつながる場を、地域でつくることが必要だ」ダブルケアラーの7割強

そして、ダブルケアをしている人(ダブルケアラー)への支援策を5つ提示し、必要だと思うかどうかを聞いたところ、必要だと思う人の割合(「必要だ(計)」)は、「介護施設の入所基準にダブルケア加点をするなど、ダブルケア世帯に配慮した介護施設入所基準にする」が最も高く88.1%、次いで、「保育園の入所基準にダブルケア加点をするなど、ダブルケア世帯に配慮した保育所入所基準にする」が87.2%、となりました。介護施設の入所基準や保育園の入所基準をダブルケア世帯に配慮した基準にすることが必要だと思っている人が多いことがわかりました。
また、ダブルケア関連の地域ネットワークの充実も必要だと思う人は多いようで、「ダブルケア経験者が、地域で直接相談にのってくれる」では必要だと思う人が78.8%、「ダブルケア当事者がつながる場を、地域でつくる(例:地域でのおしゃべり会)」では必要だと思う人が72.8%になりました。 (図29)
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以上

プレスリリース提供:PR TIMES リンク

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