インド、米国、英国の旺盛な投資により、2017年のフィンテック投資額は過去最高の274億ドルに――アクセンチュア最新調査

フィンテック投資は2010年から増加を続け、累計1,000億ドルに達する勢い

アクセンチュア(NYSE: ACN)の最新調査によると、グローバルにおける2017年のフィンテックベンチャー企業への投資額は、米国、英国、インドのスタートアップ企業への旺盛な投資にけん引され、前年比18%増の274億ドルに達しました。本調査はベンチャー企業の財務データ収集・分析業務を国際的に行う、CB Insights社が提供するデータをアクセンチュアが分析したものです。



2017年のフィンテック投資額は、米国が前年比31%増の113億ドル、英国は前年比約4倍の34億ドル、インドは前年比約5倍の24億ドルでした。投資案件数に関しては、グローバル全体では2016年の約1,800件から約2,700件へと拡大し、昨年に続き、保険・銀行・証券業界のスタートアップ企業への投資が多く見られました。

アクセンチュア金融サービス本部のシニア マネジング・ディレクターであるジュリアン・スカン(Julian Skan)は次のように述べています。「成長の主な促進要因となっているのが、中国、ロシア、中東といった新興国からの新たな投資の流れであり、特に米国と英国ではその傾向が顕著に見られます。さらに、銀行におけるB2Bフィンテックモデルの成功事例も増えており、フィンテック業界の拡大に伴い、より大規模かつ次なるステージへの投資が行われつつあります。また、市場の成長が加速するなか、インシュアテック(InsurTech)のスタートアップ企業が急増し、保険会社に新たな商機がもたらされています。インドでは、高額紙幣廃止後のキャッシュレス・サービスの力強い需要を受け、フィンテックが急成長する結果となりました。」

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2010年から2017年までのグローバルにおけるフィンテック投資額の累計は977億ドルに達し、そのうち米国のスタートアップ企業に対するものが54%を占めています。同期間におけるフィンテック投資額の年間平均成長率(Compound Annual Growth Rate)は47%であり、案件数でみれば35%で推移しています。

アクセンチュア金融サービス本部のグループ・チーフ・エグゼクティブを務めるリチャード・ラム(Richard Lumb)は次のように述べています。「市場でフィンテックの価値と適用性が実証されるなか、金融サービスにおける新しいデジタル・イノベーションの需要拡大が、投資の増加に反映される結果となりました。今後もフィンテックは、金融サービスの変革を支える重要な役割を担っていくと考えられます。英国ではEU離脱の問題により経済成長が鈍化し、産業の不透明感が増しています。こうした国々にとって、フィンテック市場の活況は明るい兆しと言えるでしょう。」

世界のトレンドを反映して、米国では融資・決済業務を行うフィンテックのスタートアップ企業に投資が集中しており、これは米国のフィンテック投資総額113億ドルの60%を占めています。

インド、米国、英国がグローバルの成長をけん引
中小企業向けにオンラインで融資を提供する米国の「Kabbage」は、2017年に3度の投資ラウンドを実施し、単独で9億ドルを調達しました。同じく、オンライン融資を手掛ける米国の「Social Finance(SoFi)」は2017年2月に5億ドルを、「LendingPoint」はクレジットラインにより同年9月に5億ドルをそれぞれ調達しています。スタートアップ企業が成長し、ビジネスの成熟度が増すにつれて、各投資ラウンドの金額規模は拡大傾向にあります。また、企業の信用力を利用し、スピード感をもってさらなる成長を試みる企業も出てきています。

英国では、デジタル保険会社「BGL Group」が9億ドルの資金を調達し、これにより同国内のフィンテック投資額は34億ドルに達し、過去最高額を記録しました。なお、決済ベンチャーの「TransferWise」は、同国内で2番目に大きい2億8,000万ドルを調達しました。

インドのデジタル決済スタートアップ企業の「Paytm」は、ベンチャーキャピタルから14億ドルの資金を調達し、これにより、インド国内のフィンテック投資額は2016年の約5倍にまで拡大しました。また、インドのフィンテック投資案件数は、2016年の1年間で65%増加しました。その背景には、汚職対策のために中央銀行が高額紙幣の廃止に踏み切り、多数のインド国民がモバイル決算や「Paytm」などが提供するキャッシュレス・サービスの利用に移行したことが挙げられます。

中国では投資案件数は増加するも、超大型案件は減少
2016年にはいくつかの超大型案件が、中国をベンチャーキャピタルの最大の投資先へと押し上げましたが、2017年にはこのような案件は減少に転じました。これは、超大型案件に多額の資金を投じた投資家たちが、その後の投資を手控えたことによるものです。2016年には「Ant Financial」や資産管理のプラットフォームを提供する「Lufax」など、複数の企業が数十億ドル規模の調達ラウンドを実施し、中国国内のフィンテック投資総額は、過去最高の100億ドルを記録しました。これに比べて2017年の投資総額は72%減の28億ドルとなり、平均投資額も2016年の1億8,600万ドルから1,900万ドルへと大きく減少しています。しかしながら、4月には不動産仲介業を行う「Homelink」が4億4,000万ドルを、6月にはオンライン金融会社「Tuandai」が2億9,000万ドルをそれぞれ調達するなど、国内では引き続き大型の投資も見られます。

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2017年は、決済や融資業務を手掛けるスタートアップ企業が多額の資金を調達しており、どちらも全体の約30%を占めています。これに対して、保険関連サービスを提供する企業の資金調達額は全体の12%にとどまっています。

日本は、産官学が一体となり、「社会課題先進国」から「社会構造変革先進国」を目指せ
2017年のフィンテック投資額の対GDP(国内総生産)比でみると、日本は米国や英国、インドの30分の1程度にとどまっており、1年間の投資額は1億500万ドル、投資件数は24件でした。日本においてもフィンテック・スタートアップが多数起業し、金融機関や一部の大企業との協業が増加しているものの、日本の潜在力を引き出しきれていない状況といえます。

アクセンチュア株式会社 常務執行役員 金融サービス本部 統括本部長 中野 将志は次のように述べています。「近年、米国などのフィンテック先進国の動向をみると、社会課題を金融機関がフィンテック企業とともに解決していくケースが見られ始めています。社会課題先進国と言われる日本こそ、この社会課題の解決に向けたフィンテックの活用に今後期待がもてるでしょう。そのためには、金融機関とフィンテック企業のみならず、産官学が一体となった取り組みも必要になると考えます。」

調査方法
本調査は、グローバルでベンチャー企業の財務データ収集・分析業務を行う調査会社「CB Insights」が提供するフィンテック投資データに基づいてアクセンチュアが分析を加えたものです。調査対象には、ベンチャーキャピタルおよび未上場企業、株式会社および企業のベンチャーキャピタル部門、ヘッジファンド、アクセラレーター、政府系ファンド等における国際的な投資活動が含まれています。また対象となるデータは2010年から2017年までのものです。さらに、本レポートでは、フィンテック企業を、銀行業務やコーポレートファイナンス、キャピタルマーケット、財務データ分析、保険、決済や個人向けの財務管理等に関して様々なテクノロジーを提供する企業と定義しています。

本プレスリリースは、2018年2月28日(現地時間)にアクセンチュアのムンバイ、ロンドン、ニューヨークより発表した内容を日本語に翻訳したものです。原文のプレスリリースは、以下のURLよりご覧いただけます。(英文)
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アクセンチュアについて
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アクセンチュアの詳細は www.accenture.com を、アクセンチュア株式会社の詳細はwww.accenture.com/jp をご覧ください。

プレスリリース提供:PR TIMES リンク

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