京都産業大学総合生命科学部 永田和宏教授(京都産業大学タンパク質動態研究所長)と東京大学薬学系研究科 平山尚志郎助教らの研究グループは、ユビキチン結合タンパク質UBINが、共役因子のPOST(polyubiquitinated substrate transporter)とともに、ユビキチン化タンパク質を核から細胞質に運び出すことを、世界で初めて見出した。本研究成果は、米国科学誌「Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)」に掲載された。
細胞内で機能するタンパク質は、その役割を終えるか正しく機能できなくなると、ユビキチン化という過程を経て分解される。このような経路が働かなくなると、分解が追いつかなくなったユビキチン化タンパク質が細胞内に蓄積するようになり、細胞の機能低下をまねく。
今回、京都産業大学の永田和宏教授、東京大学の平山尚志郎助教らの研究グループは、ユビキチン化タンパク質が増えすぎた場合、それらが核から細胞質に運び出されるメカニズムとして、UBIN・POST複合体が働いていることを見出した。
永田教授らはユビキチン化したタンパク質を認識する因子UBINを既に発見していたが、UBINに加えて、新たなUBIN結合因子がユビキチン化タンパク質を細胞核の外に届けるのに重要な役割を果たすことから、POST(polyubiquitinated substrate transporter)と命名した。
モデル生物である線虫において、RNAiという手法によりUBINとPOSTタンパク質の発現量を低下させると、ユビキチン化タンパク質が核内に蓄積するようになる。このとき線虫の寿命が短くなることから、ユビキチン化タンパク質の核外への運び出しは、細胞機能の恒常性を維持するために重要な仕組みであることを初めて明らかにし、米国科学誌「Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)」に掲載された。
今後、明らかになったユビキチン化タンパク質の核外排出機構が、アルツハイマー病や、パーキンソン病などの神経変性疾患との関わりを明らかにすることで、病気の理解と治療につながることが期待される。
むすんで、うみだす。 上賀茂・神山 京都産業大学
関連リンク
・【PNAS誌 論文タイトル】Nuclear export of ubiquitinated proteins via the UBIN-POST system
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・【米国科学誌PNAS掲載】世界初!核内の分解標的タンパク質を核外に運び出すメカニズムを解明核内の分解標的タンパク質を核外に運び出すメカニズムを解明
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・京都産業大学研究ブランディングサイト「生命とタンパク質の世界」
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・タンパク質動態研究所
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