2017年シミュレーションを用いたITソリューション訴求の優先度判断

ノークリサーチはITソリューションが多様化する昨今の状況において、「どれを優先して訴求すべきか?」 の判断を調査データに基づくシミュレーションによって判断する分析手法を実践し、その結果を発表した。

<多様化するITソリューションの優先度を的確に見極められるか?が今後の勝敗を分ける>
■「他のITソリューションに影響を与える起点となるITソリューション」を見つけることが大切
■従来のクロス集計を中心とした分析手法ではITソリューション間の関連性を把握できない
■ベイジアンネットワーク分析では「事前のデータ精査」や「ビジネス要件の考慮」が不可欠
■「人工知能/機械学習」や「スマートデバイス」を促進するためには「IoT」活用提案が有効

PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2017年11月30日

2017年 シミュレーションを用いたITソリューション訴求の優先度判断

調査設計/分析/執筆: 岩上由高

ノークリサーチ(本社〒120-0034 東京都足立区千住1-4-1東京芸術センター1705:代表:伊嶋謙ニ TEL:03-5244-6691 URL:http//www.norkresearch.co.jp)はITソリューションが多様化する昨今の状況において、「どれを優先して訴求すべきか?」 の判断を調査データに基づくシミュレーションによって判断する分析手法を実践し、その結果を発表した。本リリースは「2017年版 中堅・中小企業におけるIT投資の実態と展望レポート」の調査データにノークリサーチが提供している「カスタムリサーチプラス」の 手法を適用した分析例である。

<多様化するITソリューションの優先度を的確に見極められるか?が今後の勝敗を分ける>
■「他のITソリューションに影響を与える起点となるITソリューション」を見つけることが大切
■従来のクロス集計を中心とした分析手法ではITソリューション間の関連性を把握できない
■ベイジアンネットワーク分析では「事前のデータ精査」や「ビジネス要件の考慮」が不可欠
■「人工知能/機械学習」や「スマートデバイス」を促進するためには「IoT」活用提案が有効


本リリースの元となる調査レポート 『2017年版 中堅・中小企業におけるIT投資の実態と展望レポート』 ※サンプル属性、設問項目、集計データ例、試読版は右記のURLから参照可 リンク


■「他のITソリューションに影響を与える起点となるITソリューション」を見つけることが大切
昨今ではビジネス環境の変化や技術の進歩によって、ITソリューションも多様化してきている。ベンダや販社/SIerとしては 既に注目を集めているIoT、ビッグデータ、人工知能/機械学習だけでなく、音声指示/音声操作、ウェアラブル、VR/AR の ように、新たな端末デバイスを用いたIT活用シーンにも目を向ける必要がある。こうした状況下では「他のITソリューション に波及する起点となるITソリューションとは何か?」を把握することが重要となる。
以下のグラフは「2017年版 中堅・中小企業におけるIT投資の実態と展望レポート」の調査データにベイジアンネットワーク 分析の手法を適用することによって、ITソリューション訴求の優先度シミュレーションを行った結果の一部である。次頁以降 では「なぜ、こうした手法が必要なのか?」や「この結果をどのように活かせば良いか?」について述べている。


■従来のクロス集計を中心とした分析手法ではITソリューション間の関連性を把握できない
「2017年版 中堅・中小企業におけるIT投資の実態と展望レポート」では以下に列挙した様々なITソリューション に対する投資意向や投資金額を集計/分析している。(詳細は右記を参照 リンク
【新規ビジネスや業務改善と関連する項目】
S2-1.RPA(Robotics Process Automation)画像や音声を認識し、データに基づく判断によってヒトが担うオフィス業務を補完/代替する取り組み
S2-2.業務システム自動化/MAルールに基づいて業務システムの処理を自動化する取り組み、MA(Marketing Automation)を含む
S2-3.IoT(Internet of Things)機器やシステム同士が双方向または自律的に動作し、新たな付加価値を生み出そうとする取り組み
S2-4.人工知能/機械学習データに内在する知識やパターンを認識/学習し、ビジネスに有用な推論を導き出そうとする取り組み
S2-5.ワークスタイル改革従来の慣習(場所、時間、連絡手段など)に束縛されない業務の進め方を創出しようとする取り組み
S2-6.高度なセキュリティ端末のマルウェア対策、スパムメール対策、ファイアーウォールなどに追加して実施する新たな対策
S2-7.ビッグデータ多様なデータを集計/分析することで、精緻/迅速なビジネス活用に結び付けようとする取り組み
S2-8.越境ECサービス海外Webサイト上で注文を受け、商品の配送は日本国内から行う形態のeコマースを支援する取り組み
S2-9.スマートデバイスアプリケーションの作成/配布や通信キャリアとの独立性などにおいて高い自由度を持った携帯端末
S2-10.FinTechIT基盤を用いて新たな金融サービスを創出する取り組み(会計システムのクラウド化などは含まない)
【端末や機器と関連する項目】
S2-11.音声指示/音声操作業務データを読み取って音声で指示を出したり、音声を聴きとって業務データに取り込む仕組み
S2-12.ウェアラブル身に着けることが可能な形状(眼鏡やグローブなど)で、スマートデバイスと同等の機能を持った端末
S2-13.VR/ARコンピュータ上にリアルな3次元空間を再現したり(VR)、データなどを現実空間に混在させる(AR)などの仕組み
S2-14.ドローンカメラを備え、遠隔操作や自立動作によって飛行する能力を持った機器
S2-15.対話型ロボット接客サービスなどにおける顧客との接点となるヒト型やペット型のロボット
【クラウド関連の項目】
S2-16.IaaS/ホスティングサーバ機器やストレージ機器をクラウド形態のサービスとして利用するもの
S2-17.サーバレス/FaaSOSやサーバを意識せず、単発の処理機能を作成して利用できるサービス、FaaSとも呼ばれる
S2-18.移行型のPaaS活用自社で運用しているデータベースや開発プラットフォームをクラウド形態へと移行する取り組み
S2-19.補完型のPaaS活用既存の業務システムを補完する独自の機能をクラウドサービス上に作成して連携させる
S2-20.移行型のSaaS活用自社で運用している業務アプリケーションをクラウド形態へと移行する取り組み
S2-21.補完型のSaaS活用既存の業務システムを補完する機能を提供するクラウドサービスを利用して連携させる
調査レポートを参照すれば、「製造業、小売業、サービス業のうち、RPAの活用意向が最も高いのはどれか?」や「年商5~ 50億円の中小企業層におけるクラウドソーシングへの平均投資額はどれくらいか?」などを把握することができる。しかし、 「IoTを訴求したい場合、まずはビッグデータ活用の実績を作るべきか?それとも小規模なIoT活用による具体的な事例の 構築が先か?」や「VR/ARの訴求はウェアラブル端末の普及を待つべきか?それともVR/ARの普及によってウェアラブル が再度注目を集めるのか?」といったように、ITソリューションの優先度を判断することは難しい。(次頁へ続く)


■ベイジアンネットワーク分析では「事前のデータ精査」や「ビジネス要件の考慮」が不可欠
前頁で述べた課題に対する有効な分析手法の一つが、ノークリサーチが提供する「カスタムリサーチプラス」で用いられている 「ベイジアンネットワーク分析」である。「2017年版 中堅・中小企業におけるIT投資の実態と展望レポート」では700社の 中堅・中小企業に対して前頁に記載したITソリューション24分野の投資意向について尋ねたデータが収録されている(下図の 左側) このデータを元に調査レポートでは各ソリューションの年商別や業種別の市場規模を算出している(下図の右側上段) だが、こうした従来の集計方法では前頁に述べた「ITソリューション間の関係性に基づく優先度付け」には対応できない。また、 ITソリューション間の相関を総当たりで計算したとしても、その結果を読み取ることは難しくなる。そこでベイジアンネットワーク 分析(下図の右側下段)では各ITソリューションの投資意向を確率値を持った「ノード」に対応させ、全ノードの関連性から算出 した情報量に基づいてノード間の接続を最適化する。こうすることで、注目すべきITソリューション分野の関連性を視覚化する ことができる(各ノードは図中に数表の形で示された条件付確率を通じて、互いに影響を受ける)
だが、単に基礎データにベイジアンネットワーク分析を適用すれば良いというわけではない。「カスタムリサーチプラス」では 階層クラスタ分析によって対象となるユーザ企業のグループ分類を行い、多重コレスポンデンス分析などによるデータ精査、 さらにビジネス面での制約事項などを踏まえた条件設定を行った上でベイジアンネットワーク分析を行っている。(「カスタム リサーチプラス」の基本的な説明については右記を参照 リンク) ベイジアンネットワーク分析の前段階となるグループ分類については、別掲のリリース「2017年 24分野のITソリューションに 基づく中堅・中小企業のIT投資意向分類」(リンク)で詳しく述べている。
次頁では別掲リリースの結果として得られた左図のグループ 分類のうちで、年間IT投資総額平均が最も高い「グループ1」 を対象としたベイジアンネットワーク分析の結果とその活用法 について述べていく。 ※ベイジアンネットワーク分析は従来のクロス集計による分析 を置き換えるものではなく、目的に応じて様々な分析手法を 適材適所で活用してくことが重要となる。


■「人工知能/機械学習」や「スマートデバイス」を促進するためには「IoT」活用提案が有効
年間IT投資総額平均が最も高い「グループ1」にベイジアンネットワーク分析を適用した結果が冒頭にも掲載した下図である。
ベイジアンネットワークにおけるノード間の 矢印(エッジ)(例 X → Y)は「XがYに影響 を与えている」 あるいは「YがXに依存して いる」といった状態を表している。 したがって左図のノードとエッジで表された ITソリューション間の関係性から、ベンダや 販社/SIer が様々なITソリューションを訴求 する上での留意点を読み取ることができる。 (左図では24分野のITソリューションのうち 一部の結果を抜粋している) 以下ではITソリューション間の関係性と共に そうした留意点について述べていく。
S2-3.IoT(Internet of Things) ⇒ S2-7.ビッグデータ ⇒ S2-6.高度なセキュリティ
上記の関係性から、まずは小規模でも良いのでエッジデバイスから収集したデータを活用できる環境を構築し、その上で 大規模なデータ活用へと進むといった流れが得策と考えられる。また、IoTやビッグデータに取り組む際にはセキュリティ 対策も重要となるが、具体的な成果が出ていない段階でセキュリティ対策の必要性を過度に強調することは避けた方が 無難と考えられる。
S2-4.人工知能/機械学習 ⇒ S2-11.音声指示/音声操作 ⇒ S2-12.ウェアラブル ⇒ S2-13.VR/AR
音声指示/音声操作に関しては「スマートスピーカー」が一般消費者向け市場で注目を集めているが、BtoB市場でも物流 における活用などが以前から存在する。さらに幅広い活用のためには、人工知能や機械学習によって業種や業態に特有 の表現にも対応できることが求められてくる。こうした音声指示/音声操作の進歩はキー操作が主体ではないウェアラブル 端末の訴求においても重要となる。さらに、VR/ARが従業員向けトレーニングや顧客向け疑似体験サービスなどの用途で 導入されていくためには端末価格が下がることも重要な要件となる。そのため、ウェアラブルの活用意向がVR/ARに影響 を与えるという結果になっていると考えられる。
ベイジアンネットワークでは各ノードが互いに影響しあっているため、「あるノードに値を指定した時に他のノードがどうなるか?」 を確率的に計算できる。つまり、「あるITソリューションに新規投資した時、その他のITソリューションへの投資意向がどう変わる か?」をシミュレートできることになる。上図に示した赤字と青字の数字はIoTに「新規投資する」と「投資しない」の値を設定した 時に他のITソリューションの新規投資意向がどうなるか?をシミュレートしたものだ。上図の数値を整理したものが以下のグラフ である。
スマートデバイスや人工知能/機械学習ではIoT の投資有無による影響が特に大きくなっている。 したがって、「スマートデバイス導入を促進したい が有効な活用シーンを描けない」、「機械学習の スキルはあるが、具体的な事例が生まれない」 といった課題を抱えている場合には「IoT」という 切り口からのソリューション提案が有効な打開策 となる可能性がある。このようにベイジアンネット ワーク分析は多様化するITソリューションを適切 に提案していく手段として活用することができる。


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『2017年版中堅・中小企業におけるIT投資の実態と展望レポート』
「ワークスタイル改革」「セキュリティ」「IoT」「RPA」「人工知能」「音声操作」「ドローン」など24分野の投資動向を網羅
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【リリース(ダイジェスト)】
『投資動向から注目すべきITソリューション分野』リンク
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『RPA/自動化の市場規模と訴求時の留意点』リンク

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中堅・中小企業がIT活用の成否を委ねるプライム販社/SIerを選択する際に重視する評価ポイントとは何か?
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『販社/SIerの社数シェアと導入効果の関連』リンク
『中堅・中小企業が導入するIT商材の変化』リンク
『販社/SIerが実践すべき必須16項目とは?』リンク
『2017年版中堅・中小企業のセキュリティ・運用管理・バックアップに関する利用実態と展望レポート』
中堅・中小企業におけるセキュリティ・運用管理・バックアップ対策に起きつつある変化とは何か?
【レポート案内(サンプル属性、設問項目、試読版など)】リンク
【リリース(ダイジェスト)】
『ベンダ種別毎に見た有望分野とシェア動向』リンク
『ポストPC時代に向けたバックアップ訴求策』リンク
『中堅・中小の運用管理に起きつつある変化』リンク
『セキュリティ対策の不足領域と今後の対応』リンク

『2017年版中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート』
ユーザ企業1300社、全10分野に渡る業務アプリケーションの社数シェアとユーザ評価を集計/分析
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【各分野のサンプル/ダイジェスト】
『ERP訴求では「潜在的な不満」の把握が不可欠』リンク
『生産管理は富士通とOSK(大塚商会)が同率首位』リンク
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