「地域別最低賃金」改定によるパート・アルバイトの募集時時給への影響に関する調査

最も影響を受けるのは「大阪府」 求人広告に掲載された募集時時給のうち48.0%が最低賃金を下回る

総合人材情報サービスの株式会社アイデム(東京都新宿区 代表取締役社長:椛山 亮)の研究部門である『アイデム 人と仕事研究所』は、この度、「地域別最低賃金」改定によるパート・アルバイトの募集時時給への影響を調査・分析し、その結果を発表しました。



本調査は、当社の研究部門である『アイデム 人と仕事研究所』が、各地域の地方最低賃金審議の答申により改定された2017年度の「地域別最低賃金」と、当社発行の求人媒体に掲載された「募集時賃金」(※)のデータをもとに調査・分析しました。これにより、新たに設定された「地域別最低賃金」が、パート・アルバイトの募集時賃金にどの程度影響を与えるかを調べています。

※ データは2017年1月から7月までで当社が発行する新聞折込求人紙『しごと情報アイデム』・求人フリーペーパー『ジョブアイデム』のデータベースから集計。対象は東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・茨城県・群馬県・栃木県・静岡県・滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県・奈良県・和歌山県・岡山県、愛媛県、福岡県の17地域


地域別と業種別・職種別で見た結果

改定で最も影響を受けるのは地域別で「大阪府」、業種別で「飲食業」 、職種別で「サービス職(飲食調理)

平成29年1月から7月の募集時時給データのうち、平成29年度地域別最低賃金改定額よりも低い募集時時給データの割合(以下、改定影響率)が最も高かった地域は大阪府(48.0%)で、次いで神奈川県(44.3%)、京都府(36.2%)となった(表.1)。中央最低賃金審議会が答申した平成29年度地域別最低賃金額改定の目安についてで、引上げ額の目安ランクがA(26円)となっていた都府県では、改定影響率が2割を超えている。また、福岡県は目安ランクがC(24円)だが、隣接地域より高い地域別最低賃金のためか、改定影響率が高くなっている(30.9%)。
改定影響率が最も低かったのは愛媛県(3.1%)で、次いで群馬県(6.0%)、茨城県(9.8%)となった。愛媛県は引上げ目安ランクがD(22円)だったことや、地域別最低賃金が全国の中でも低いこともあり、あまり影響が出ていないのではと考えられる。
地域別に業種・職種を分けて改定影響率をみると、大阪府・神奈川県・京都府では、業種別・職種別の改定影響率が4割を超える項目が多かった。東京都は改定影響率が26.5%だったが、東京23区とそれ以外の東京都下に分けてみると、東京都下では改定影響率が43.1%と高く、業種別・職種別にみても4割を超える項目が多かった。
改定影響率が低かった地域では、業種別・職種別に改定影響率をみても2割以下となる分類が多かった。ただし、群馬県の職種別改定影響率をみると、サービス職3種では2割以上となっており、影響を受けやすい又は受けにくい業種・職種があるように見られる。
全体的にみると、業種では飲食業が、職種ではサービス職(飲食調理)が、改定影響率が高い傾向があった。一方で、業種では医療・福祉関連サービス業が、職種では専門・技術・管理職が、改定影響率が低い傾向がみられた。

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地域ごとに賃金階級を見た結果

募集時に時給が区切られることの多い50の倍数を改定でまたいだ場合、影響率は高くなる

平成28年と平成29年の1月~7月におけるパート・アルバイトの募集時時給を、10円単位の階級別に集計した。平成28年度地域別最低賃金改定後の賃金階級(29年)をみると、表1で改定影響率の高かった神奈川県・大阪府・京都府では、平成29年度地域別最低賃金以下の賃金階級に最多階級が含まれていた。改定影響率が高くなった理由はこのことが関わっていると考えられる。特に神奈川県と大阪府では、平成28年の地域別最低賃金の改定で影響を受ける範囲に、最も多くのサンプルが含まれる階級(以下、最多階級)が存在した。この2府県は他の地域と比べて、最低賃金と同程度額に募集時時給を設定した募集が多いのではないかと考えられる。
また、賃金階級を俯瞰してみると、どの地域も50の倍数の階級で割合がその前後の階級より高くなる傾向がみられる。そのため、地域別最低賃金の改定額がこの50の倍数の階級を超えたとき、改定影響率は高まる可能性が高い。例えば栃木県は29年の最多階級が800円(19.3%)で、平成29年度の地域別最低賃金改定額は800円のため影響は少なかったが、平成30年の改定では「最多階級を超え」、「50円の倍数の階級を超え」る額に改定される可能性が高く、改定影響率が高まると予想される。

地域別・職種別募集時平均時給と最低賃金額の関係

改定影響率の高い地域では50%ileまで最低賃金と同額になっている職種も  

地域別最低賃金の上昇が、パート・アルバイトの募集時における時給にどの程度影響しているかをみるため、切上げ平均時給や切上げた賃金のパーセンタイル値を求めた。
どの地域でも平成29年地域別最低賃金に切り上げたときの影響は少なからず確認できるが、改定影響率の低かった地域(特に愛媛県)では、最頻値またはパーセンタイル値が地域別最低賃金と同額になっている項目は少なかった。一方で改定影響率の高かった地域では、50%ileまで最低賃金と同額になっている職種があった。
平均時給と切上げ平均時給の差額は、0円~14円と項目や地域によって差が開いた。7割弱の職種が差額5円以下となっており、特に専門・技術・管理職は差額が0円の地域も多い。専門・技術・管理職は元々の平均時給が他の職種より高いこともあり、影響は小さいと考えられる。差額が10円以上となった職種は、50%ileまで最低賃金と同額となったところが多く、改定影響率が高ければ高いほど平均時給の引上げ額が大きくなるようだ。地域や職種によっては、最低賃金の改定がベースアップの役割を担っているようにみられる。 

調査データの詳細は、アイデム人と仕事研究所のホームページをご覧ください。
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<本件に関する取材・お問い合わせ先>
株式会社アイデム 広報担当: 望月・栗木 電話:03-5269-8780  kouhousitu@aidem.co.jp

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