アルツハイマー病との闘いに革命をもたらす動物モデル

フランスの研究者グループがアルツハイマー病の進行を再現する“動物モデル”の開発に成功しました。これによって、これまで治療不可能と言われてきたアルツハイマー病に対し、それが発症する前段階で病気を診断し、適切な治療を施す道が開かれます。

アルツハイマー病の2つの生物学的特徴が初めてひとつの動物モデルの中で表現可能になりました。フランスのCEA(フランス原子力・代替エネルギー庁)、Inserm(フランス国立保健医学研究機構)、パリ南大学とパリ・デカルト大学、CNRS(フランス国立科学研究センター)の研究者らがヒトの病気の進行を再現する動物モデルを開発しています。これによって医薬品試験や簡単な血液分析による診断の開発に向けて新たな可能性が開かれます。
研究結果は、2017年10月18日発行の「Cerebral Cortex」誌に発表されました。

患者のための効果的な治療法の発見と早期の診断方法の開発を加速するために、この研究チームが独立し、スタートアップ企業AgenTを設立します。その目的は、この画期的な技術をできる限り多くの人に利用できるようにすることにあり、具体的には以下を目指しています。
► アルツハイマー病患者の脳内に特有の2種類の異常に対して有望な医薬品を試験し、その効能と効果を明らかにする。
► 病気の進行が可逆的な早期の段階について研究する。
► 最も早期の段階で病気のマーカーとなる血液中の物質を見出し、45歳〜50歳以降の患者の診断(発症前診断)を実現する。

AgenTについて:
現在、このモデルを研究するスタートアップAgenT(www.agent-biotech.com)がジェローム・ブロドー(神経科学博士、このモデルの発明者、論文の最終著者)とバプティスト・ビヨワール(パリHEC経営大学院卒)によって創設の準備が進められています。研究機関、医薬品業界のために前臨床試験を実施するとともに、ヒトアルツハイマー病の早期血液診断を開発するために独自の研究を進めます。AgenTの目的は、現在の診断時期より少なくとも10年早くアルツハイマー病を診断し、治療困難な段階に入る前の早期の段階で治療を開始することにあります。
日本では、大阪に現地担当者を置いており、日本語でのお問合せが可能です。

コンタクト:
AgenT 日本マネージャー
多田 智(医学博士)
Email: satoru.tada@agent-biotech.com
携帯電話:070-4479-2494
Tel and FAX: 0725-32-1928

このプレスリリースの付帯情報

アルツハイマー病進行の比較

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用語解説

日本のアルツハイマー研究の課題
► 65歳以上の日本人3500万人のうち460万人が認知症の患者であり、そのうちの60~70%がアルツハイマー病です。2025年にはその数は700万人、すなわちこの年齢の5人に1人の割合に増加します。
► 現在利用できる治療方針は効果が不十分と考えられています。
► アルツハイマー病治療のための臨床試験の99.6%が失敗しています。(Jeffrey L Cummings、Travis Morstorf、Kate Zhong共著 (2014) Alzheimer’s disease drug-development pipeline: few candidates, frequent failures(アルツハイマー治療薬開発パイプライン:少数の治験者、多くの失敗); Alzheimer’s Research & Therapy誌20146:37号)
► アルツハイマー病治療薬の臨床試験の失敗率が高い理由の一つは「治療薬を投与開始する時期が遅すぎる」ためであり、また別の理由として「既存の動物モデルが、アルツハイマー病患者の病気を正確に再現できていない」ことにあると考えられています。

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