アストラゼネカ 生物学的製剤TEZEPELUMABによる治療で より多くのタイプのコントロール不良の重症気管支喘息患者さんにおいて 喘息増悪頻度を有意に低下

アストラゼネカ株式会社 2017年09月11日 15時00分
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アストラゼネカ(本社:英国ロンドン、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、以下、アストラゼネカ)とアムジェン社 (本社:米国カリフォルニア州、Chairman and Chief Executive Officer:Robert A. Bradway、以下、アムジェン) は9月6日、抗胸腺間質性リンパ球新生因子(以下、TSLP)モノクローナル抗体tezepelumabの第IIb相国際臨床試験PATHWAY試験において、コントロール不良の重症気管支喘息患者さんの年間喘息増悪率が、プラセボ群との比較で有意に低下したことを発表しました。tezepelumabはアストラゼネカのグローバルバイオ医薬品研究開発部門であるメディミューンが、アムジェンとの協働を通じて開発中のファースト・イン・クラスの抗TSLPモノクローナル抗体です。

本試験の結果は9月7日にNew England Journal of Medicineに掲載され、ミラノで開催中の欧州呼吸器学会(ERS)国際会議において9月12日に口頭発表されます。

PATHWAY試験は、tezepelumab 70mgあるいは210mgを4週毎に投与する群、あるいは280mgを2週毎に投与する群において、それぞれ年間喘息増悪率が61%、71%、66%低下し(プラセボ群との比較、すべてp<0.001) 主要評価項目を達成しました。本試験の対象患者さんは、経口ステロイド薬および他の喘息コントロール薬の併用の有無に関わらず、吸入ステロイド薬(以下、ICS)と長時間作用性β2刺激薬(以下、LABA)の併用治療を受けていても喘息増悪経験やコントロール不良の喘息の既往歴を持つ患者さんで、tezepelumabは追加療法として投与されました。

ベースライン血中好酸球数あるいはその他のTh2型炎症バイオマーカー値とは無関係に、有意かつ臨床的に意味のある増悪率の低下が見られました。また、tezepelumabはすべての用量において呼吸機能の改善を示し、2つの高用量において喘息コントロールの改善を示しました(プラセボ群との比較、すべてp<0.05)。有害事象の出現率はtezepelumabおよびプラセボ群において同様でした。tezepelumab治療群の主な有害事象(出現率5%以上)は、喘息、鼻咽頭炎(上咽頭炎)、頭痛および気管支炎でした。

PATHWAY試験の治験統括医師であるDr. Jonathan Corren(カリフォルニア大学ロサンゼルス校デイヴィッド・ゲフィン医科大学院)は、「これらの有効性に関する結果は、TSLPが重症喘息の炎症における重要なメディエーターであることを裏付けています。tezepelumabの活性は炎症カスケードの上流で起こるため、Th2型炎症のみをターゲットとする既存の生物学的製剤での治療には適さない患者さんを含め、Th2型と非T2型、どちらのタイプの喘息患者さんにも適している可能性を示しています」と述べました。

メディミューンのエグゼクティブバイスプレジデント・責任者であるBahija Jallalは、「喘息患者さんの治療において、TSLPは炎症カスケードの開始点で作用し、上皮の上流における“マスタースイッチ”の役目を果たします。PATHWAY試験では、血中好酸球、血清免疫グロブリンE(IgE)、 呼気中一酸化窒素濃度(FeNO)などを含む複数のバイオマーカーにおいて顕著な低下が見られ、tezepelumabがTSLPに結合することで、喘息に関連する複数の下流炎症カスケードに影響を及ぼすことが示されました。このような広範囲のバイオマーカー反応は、これまでの呼吸器の生物学的製剤には見られなかったもので、呼吸器領域のアンメットメディカルニーズを満たすサイエンスをけん引する当社の取り組みの現れです」と述べました。

TSLPは、アレルゲンやウイルス、その他肺の病原体等の炎症性刺激に反応し産生される上皮サイトカインです。IL-4、IL-5、IL-13などの下流Th2型サイトカインの産出を促し、炎症および喘息症状を引き起こします。TSLPはまた、非Th2型炎症に関わる多種の細胞の活性化にも関連するため、TSLPの炎症カスケードの上流における早期作用は、複数のタイプの喘息患者さんの治療ターゲットとなる可能性があると考えられています。

以上

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重症気管支喘息について
気管支喘息は世界3億1,500万人の人々に悪影響を与えており、喘息患者さんの最大10%は標準治療である高用量の喘息コントロール薬による治療にもかかわらず症状のコントロールが不良の重症喘息であり、経口ステロイド薬(以下、OCS)の持続使用が必要になる場合があります。
コントロール不良の重症気管支喘息は死に至ることもある過酷な疾患で、患者さんは頻回な症状増悪や、呼吸機能の低下、生活の質(QOL)の著しい制限を余儀なくされます。
コントロール不良の重症気管支喘息は、OCS依存を引き起こす可能性があります。全身性ステロイドの投与によって、体重増加、糖尿病、骨粗鬆症、緑内障、不安感、うつ、循環器疾患および免疫抑制を含む重篤な副作用を短期間または長期間起こすことがあります。さらに重症気管支喘息患者さんの疾患による身体的負担ならびに社会経済的な負担も大きく、経済的負担は喘息関連費用の約50%にあたるとも言われています。
Th2誘導型(高Th2型炎症)喘息は、重症気管支喘息患者さんの3分の2以上に見られ、その典型的な特徴は血中好酸球、血清免疫グロブリンE(IgE)、呼気中一酸化窒素濃度(FeNO)などのTh2型炎症バイオマーカー値の上昇です。一方で、重症気管支喘息患者さんの約3分の1にはTh2型炎症カスケードの活性化は認められません。既存の標準治療でコントロール不良の非Th2型喘息患者さんには、現在生物学的製剤による治療選択肢は存在しません。


Tezepelumabについて
tezepelumabは、胸腺間質性リンパ球新生因子(以下、TSLP)を標的とする新しいクラスの新薬候補です。tezepelumabは、特異的にヒトTSLPに結合し、その受容体複合体への結合によって発現する作用を阻害するヒト抗TSLPモノクローナル抗体です。tezepelumabがTSLPの作用を阻害することで、TSLPが標的とする免疫細胞による炎症性サイトカインの産出を阻止し、喘息増悪の予防や喘息コントロールの改善が期待できます。tezepelumabは、炎症カスケードの早期に活性するため、Th2型でない喘息患者さんを含む、多くのタイプのコントロール不良の重症気管支喘息患者さんの集団にも適している可能性があります。中等度アトピー性気管支喘息患者さんを対象とした、Proof-of-concept試験として過去に行われた吸入抗原チャレンジ試験では、tezepelumabは早期および後期喘息応答を阻害しTh2型炎症のバイオマーカーを抑制することが示されました。この結果は2014年にthe New England Journal of Medicineに掲載されました。tezepelumabはアムジェンとの協働を通じて開発中です。


PATHWAY試験について
PATHWAY試験は、経口ステロイド薬および他の喘息コントロール薬の併用の有無に関わらず、吸入ステロイド薬(ICS)および長時間作用性β2刺激薬(LABA)の併用治療を受けていても喘息増悪経験やコントロール不良の喘息の既往歴を持つ患者さんを対象に、追加治療としてのtezepelumab を70mgおよび210mgを4週毎に投与する群、あるいは280mgを2週間毎に投与する群という3つの用量レジメンにおいて、有効性と安全性を評価する52週無作為化二重盲検平行群間プラセボ対照第IIb相試験です。


アストラゼネカにおける呼吸器疾患領域について
呼吸器疾患はアストラゼネカの注力疾患領域のひとつで、製品ポートフォリオは年々成長し、2016年には世界中の1,800万人以上の患者さんに当社製品をお届けしました。アストラゼネカは、吸入配合剤を中心に、特定の疾患治療のアンメットニーズに応える生物学的製剤や、疾患原因を解明する革新的なサイエンスを通じて、喘息およびCOPD治療を向上させることを目指しています。
アストラゼネカは、呼吸器領域における40年の歴史をさらに発展させており、当社の吸入器技術はドライパウダー吸入器(DPI)、加圧噴霧式定量吸入器(pMDI)、ならびに画期的なCo-Suspension(TM) Delivery Technologyなどに及びます。また、当社の生物学的製剤には、米国、EUおよび日本において現在薬事承認審査中のベンラリズマブ(抗好酸球、抗IL-5受容体ɑ抗体)、現在第III相試験を実施中のtralokinumab(抗IL-13抗体)、およびtezepelumab(抗TSLP抗体)が含まれます。アストラゼネカは、肺上皮組織、肺免疫および肺再生に焦点を当てた、基礎疾患のドライバーを解明する研究を行っています。


メディミューンについて
メディミューンは、アストラゼネカのグローバルバイオ医薬品研究開発部門として、低分子化合物およびバイオ製剤の医療用医薬品の研究、開発および商業化に特化する、グローバルなイノベーション志向のバイオ医薬品企業です。メディミューンは、革新的な研究を先駆的に進めており、呼吸器・自己免疫疾患、循環器・代謝疾患、オンコロジー、感染症・ワクチン等の領域において、新しい治療経路を検討しています。メディミューンの本社は、アストラゼネカの3つのグローバル研究開発拠点のひとつとして、米国メリーランド州ゲイザースバーグにあり、これに加え英国ケンブリッジおよび米国カリフォルニア州マウンテンビューにも研究所があります。詳細は リンク をご覧ください。


アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・代謝疾患、および呼吸器の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。また、炎症、感染症およびニューロサイエンスの領域においても、他社との提携を通じて積極的に活動しています。当社は、100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細については リンク または、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

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