イントラリンクス、M&Aディール情報の漏えいに関する最新調査レポートを発表

日本では全ディール情報の3.1%が公表前に漏えい

・規制の強化に関わらず、2015年の全世界のディール情報漏えい率は約9%で、2014年の6%から増加の傾向
・地域別では北米のディール情報漏えい率が7年ぶりの高さを記録したほか、中南米を除くすべての地域で増加。業種別では不動産、医療、エネルギー&電力セクターのディール情報漏えい率が最も高い
・調査の結果、情報漏えいによって買収プレミアムが増大し、ライバルの入札率が上昇することが判明

【東京、2017年2月9日】本日、M&A管理用バーチャルデータルームソフトウェアとサービスで業界をリードするイントラリンクス合同会社(東京都千代田区、代表:村岡聡)は、イントラリンクスとシティ大学ロンドン・カスビジネススクール(City University: Cass)による新しい共同研究を発表しました。その結果、2015年の全世界の公表前M&Aディール情報漏えい率は、8.6%に増加したことが判明しました。
この数字は、全世界で金融サービス規制機関による規制と強制措置が強化されたにも関わらず、2014年の公表前ディール情報漏えい率6%に比べ、2.6%増加したことを示しています。
イントラリンクスの最新の「年次グローバルM&A情報漏えいレポート」では、シティ大学ロンドン・カスビジネススクールのM&Aリサーチセンターと、M&Aディール管理およびセキュアなコンテンツコラボレーションソリューションの分野で世界有数の企業であるイントラリンクスが共同で分析を実施し、いくつかの成果を得ることができました。 このレポートは、2009-2015年に公表された5,024件のディール分析をベースにしており、そのうち378件について情報漏えいがあったディールと識別されました。

■レポート概要
・2015年の全世界のディール情報漏えい率は、2014年の6%、2009-2015年の平均7.5%に対し、全体的に8.6%まで増加
・2015年にディール情報漏えい率が最も高かった地域は北米(12.6%)で、以下アジア太平洋(APAC、7.2%)、ヨーロッパ/中東/アフリカ(EMEA、5.9%)、中南米(LATAM、0%)と続く
・国別では、インド(20%)、香港(12.9%)、アメリカ(12.6%)が上位3カ国
・業種別では、不動産(12.9%)、医療(12.5%)、エネルギー&電力(9.3%)が上位3業種
・2015年に情報が漏えいしたディールにおける買収ターゲットの買収プレミアム(経営に影響力を持つだけの割合の株式を取得する場合に支払う対価の上乗せ分)の中央値は53%で、情報漏えいのないディールが24%であったのに比べると、その差は29%
・2015年に情報が漏えいしたディールの買収ターゲットは、ライバルの入札を引き付ける確率が、情報漏えいのないディールの4.4%に比べ、6.4%と高い

■国別比較
ディール件数の上位を占める10の国・地域中、2015年にディール情報漏えい率が最も高かった上位3位は、インド(20.0%)、香港(12.9%)、アメリカ(12.6%)でした。アメリカと4位のカナダ(12.5%)は、2014年および長期平均値と比べ、2015年は大幅なディール情報漏えい率の増加に悩まされました。 両国では、グローバル平均値の7.5%を上回る傾向も見られました。日本のディール情報漏えい率は3.1%で、2009-2015年の長期平均値(4.3%)を下回る傾向が見られる一方で、2014年(0.0%)よりも上昇しました。

■ディール件数上位10カ国・地域のディール情報漏えい率

買収ターゲットの 2015年(順位) 2014年(順位) 2009-2015年(順位)
  上場場所
インド      20.0% (1)    15.8% (2)    15.7% (2)
香港       12.9% (2)    22.2% (1)    17.3% (1)
アメリカ     12.6% (3)     8.0% (4)     7.2% (6)
カナダ      12.5% (4)     7.7% (5)     6.2% (7)
イギリス      6.7% (5)     5.3% (6)    13.3% (3)
韓国        5.3% (6)     2.9% (7)     9.3% (5)
日本        3.1% (7)     0.0% (10)    4.3% (9)
オーストラリア   3.0% (8)     2.0% (8)     3.4% (10)
フランス      0.0% (9)    10.0% (3)     5.6% (8)
ドイツ       0.0% (10)    0.0% (9)     9.4% (4)

■情報漏えいが買収プレミアムとライバルの入札に及ぼす影響
長期トレンドと同様に、研究の結果、2015年の買収ターゲットでは、情報漏えいのないディールに比べ、情報が漏えいしたディールでは買収プレミアムが著しく高かったことが判明しました。 情報が漏えいしたディールにおける買収ターゲットの買収プレミアムの中央値は53%で、情報漏えいのないディールが24%であったのに比べ、約30%の開きがあり、4年間で最高となりました。
情報が漏えいしたディールでは、ライバルの入札を引き付ける確率も高くなりました。2015年に情報が漏えいしたディールのうち、1件以上のライバル入札を引き付けた割合は6.4%で、これに対し情報漏えいのないディールでは4.4%でした。 ライバルの入札率の増加は、少なくとも情報が漏えいしたディールの買収プレミアム増加の一翼を担うものと予想されます。

■結果解説
2015年は前年に比べ全世界でディール情報の漏えいが増加
2015年の全ディールのうち、公表前にディール情報が漏えいした割合は8.6%でした。これに対し、2014年は6%、7年間の平均値は7.5%です。 前回のイントラリンクスM&A情報漏えいレポートでは、ディール情報漏えいが6年ぶりに6%まで下がったと報告していたので、これはトレンドの逆転が起こっていることを示します。 では、2015年に何が起こったのでしょうか?
最近の顕著なトレンドは、規制機関が市場における不正行為(ディール情報漏えいを含む)の予防に努めているせいで、規制と強制措置の件数が増加していることが挙げられます。 2014-2015年の米国商品先物取引委員会(CFTC)、米国金融取引業規制機構(FINRA)、米国証券取引委員会(SEC)による強制措置(ディール情報漏えいに限らない)の総数は、それぞれ58%、8%、7%の増加となりました。 CFTC、SEC、香港証券先物委員会(SFC)が2015年に科した金銭的罰則の総数も、2014年に比べ増加しました。 イギリスの金融行為監督機構(FCA)は例外で、2015年の強制措置の件数は2014年から横ばいで、2015年に科した金銭的罰則の総数は、2014年に比べ38%減となりました。
イントラリンクスのストラテジー/プロダクトマーケティング担当バイスプレジデントのフィリップ・ウィチェロ(Philip Whitchelo)は、研究結果について次のように述べています。 「全世界のトレンドとして、規制機関は市場における不正行為を取り締まるための新しい規制の導入と、会計上の不正行為に対する罰則の執行に力を入れています。 ところが、当社のデータが示すように、こうした規制強化でも、ディール情報漏えい件数は下がりませんでした」
「この研究結果は、強制措置の圧力が高まっても情報漏えいの歯止めにはならないと解釈できます。つまり、場合によっては、ディール情報漏えいのメリットの方がリスクを上回るように見えているということです。 本研究は、監視と規制の強化にも関わらず、ディール情報漏えいには、ライバルの入札引き込みや入札額の増大などの明確なメリットが伴うことを示しています」と付け加えました。
カスビジネススクールM&Aリサーチセンター ディレクター スコット・ムーラー(Scott Moeller)教授は、研究結果について次のように述べています。 「ディール情報漏えいでは、メリットに対するリスクも検討する必要があります。 ヨーロッパでは、規制機関による強制措置と新しい市場における不正行為の規制が強化されているため、ディール情報漏えいによる評判の失墜や規制機関からの圧力の脅威が高まる可能性があります。したがって、最近のディール情報漏えい件数は増加しましたが、長期的に見るとディール情報漏えいは減少し続ける傾向にあるものと予想します」

■レポートの入手方法
本研究の結果に関する詳細は、こちらからレポートをダウンロードしてご覧ください。
リンク

■本調査の分析手法について
入札の発表に至るまでの期間では、ターゲット企業の株式における重要な取引がディールに関する情報漏えいを示す可能性があります。 個別のディールにおいて情報漏えいの決定的な証拠を示すものではありませんが、膨大なサンプルの中からSPAT(Significant Pre-announcement Trading: 重大な発表前取引)を抽出すると、各期間や地域における情報漏えいのパターンとトレンドを分析することができます。
2009年1月1日から2015年12月31日までに公表されたディールのM&A取引データ、株価、インデックス価格情報は、トムソン・ロイター社から取得しました。 サンプルに含める基準としては、買収ターゲットが上場企業であること、取引に買収ターゲットの過半数の支配権取得が含まれること、買収ターゲットの株式にリターンが計上された実績が十分にあることを必須としました。 最終的に、2009-2015年のディールサンプル数は総計5,024件に上りました。 ディール公表の40~1日前を対象期間とし、買収ターゲットの累積日次リターンをその予想リターンと比較するイベント分析法を用いて、公表前のディールに情報漏えいが関与するかどうかを識別しました。 買収ターゲットの予想リターンの計算には、市場リターンに対する「通常」取引期間の買収ターゲットのリターンの線形回帰モデルを使用しました。 ディール公表の40~1日前の買収ターゲットの累積日次リターンについて、標準分布の信頼区間95%(つまり、買収ターゲットに観察されたリターンとその予想リターンを比べた場合、データがランダム分布になる確率がわずか5%しかない(単なる偶然に等しい)状態)で、その予想リターンと比べ統計的に有意な差が見られた場合、そのディールには漏えいが関与するものと識別しました。 別段の記載がない限り、買収ターゲットの地域または国に関するすべての参考情報は、そのターゲットの主たる上場場所を表します。 全対象期間を通して、情報が漏えいしたディールの総数は、全ディール総数5,024件のうち378件でした。

■カスビジネススクールについて
カスビジネススクール(City University: Cass)は、ワールドクラスの知識、イノベーティブな教育、活発なコミュニティを特徴とする、シティ大学ロンドンが誇る世界有数のビジネススクールです。 カスビジネススクールは世界最高峰の金融街の中心に位置し、シティ・オブ・ロンドンと起業家が集うテック・シティに強力なパイプを有しています。 AACSB(Association to Advance Collegiate Schools of Business)、AMBA(Association of MBAs)、EQUIS(European Quality Improvement System)からトリプルクラウン認定を受けたグローバルエリート・ビジネススクールに数えられています。
詳細は、www.cass.city.ac.uk にアクセスするか、Twitterで@cassbusinessをフォローしてください。

■イントラリンクスについて
イントラリンクスは1996年に設立され、SaaS(Software-as-a-Service)ソリューションをビジネスコラボレーションに活用するパイオニアとして、債券市場およびM&Aコミュニティをはじめとした企業の業務を変革しました。 現在、イントラリンクスは、情報への管理を損なわないコンテンツ共有やビジネスパートナーとのコラボレーションの実現を通じて、グローバル企業をサポートしています。 各企業やサードパーティは、イントラリンクスのプラットフォームを利用して最重要機密文書を安全に共有し、それに基づいて協働すると共に、企業や規制のリスクを軽減するポリシーへのコンプライアンスを維持することが可能です。

Intralinks Dealspace(R)(ディールスペース)は、ディールの準備からマーケティング、デューデリジェンス、クロージング、経営統合(PMI)まで、M&Aライフサイクルに関与する全ステークホルダーをサポートするディール管理・バーチャルデータルームソリューションとして最も幅広く利用されています。 Intralinks Dealspaceを利用すると、財務アドバイザー、法務アドバイザー、M&A/経営企画プロフェッショナルは、機密情報を安全に共有してそれに基づいて協働すると同時に、コンテンツを詳細かつ包括的に管理できます。

Intralinks Dealnexus(R)(ディールネクサス)は、世界最大のM&Aプロフェッショナル向けソーシャルネットワークで、プライベートエクイティ、財務アドバイザリー、法人、ファミリーオフィスなど、8,100社を超える企業が買収機会や潜在的なダイベストメントバイヤーのソーシングに利用しています。

Intralinks Fundspace(R)(ファンドスペース)は、オルタナティブ投資会社が資金調達やLPレポートに利用するプラットフォームの業界リーダーです。

イントラリンクスはあらゆる業種で取引やビジネスコラボレーションの促進をサポートしてきた20年間の実績を持ち、その価値は31兆3,000億米ドルに及びます。Fortune 1000企業、投資銀行、法律事務所、プライベートエクイティ会社の99%で、410万人を超えるM&A、法務、経営企画、プライベートエクイティのプロフェッショナルがイントラリンクスを利用しています。
イントラリンクスはSynchronoss Technologies, Inc. (NASDAQ: SNCR)の子会社です。
詳細は、www.intralinks.com/jpにアクセスするか、Twitterで@Intralinksをフォローしてください。

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■商標および著作権について
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