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現場で活躍するAI~AIの導入プロセス

イノベーションワークショップ2016「AIで起こすビジネス革命」第3回

フューチャー イノベーション フォーラム(代表:牛尾治朗・ウシオ電機株式会社会長、金丸恭文・フューチャー株式会社会長兼社長、略称:FIF)は、9月29日にイノベーションワークショップ2016の第3回を開催しました。
本ワークショップは次世代リーダーの育成と業界を越えた企業同士の交流を深める場として2007年にスタートしました。本年は「人工知能(AI)で起こすビジネス革命」をテーマに全3回シリーズで開催しました。AIで新しいビジネスモデルを創り出すベンチャー企業やAIをビジネスに活用している企業の先進事例をみながら、実際の現場でAIをどのように活用するのか、またAIによってビジネスがどう変わるのかを議論しました。




[画像: リンク ]


【開催概要】
事例紹介:「現場で活躍するAI~AIの導入プロセス」
 事例1  ECサイトのメール振り分けシステム
      株式会社eSPORTS取締役  菅野 祐介
 事例2  ウシの発情や疾病を検知する牛群管理システム
      株式会社ファームノート代表取締役  小林 晋也
コメンテーター:東京大学 大学院工学系研究科 特任助教  上野山 勝也
日  時:2016年9月29日(木) 18:00 ~ 20:30
会  場:フューチャー株式会社

◆ 事例1 ECサイトのメール振り分けシステム
株式会社eSPORTSは、スポーツ用品やアウトドア用品を中心にインターネット通販を手掛け、このジャンルのEC(電子商取引)市場では日本最大規模の売上げを誇る。EC市場は近年拡大を続けているが競争も激化しており、eSPORTS社も他社との差別化を図るため、市場のトレンド分析や業務システムの刷新などに取り組んできた。やり尽くした感があるなか、さらに改善できる“聖域”はないかと見直した結果、目をつけたのが、サイトに届くメールの振り分け業務だった。eSPORTSには商品の問い合わせや在庫確認、メーカーとの商談など、多いときは一日に1,000通を超えるメールが届く。それを数名の専任担当者が該当する部署へ振り分けており、“匠の領域”であった。そこに2015年、人工知能(AI)を導入し、業務ルートの整理の自動化を目指した。
導入にあたってはシステムのエンジニアと業務担当者が協力し、AIに過去数十万件にのぼるメールを読み込ませ、AIの振り分けが妥当かどうかを業務担当者がチェックしていった。これを繰り返すことで精度を上げていき、わずか数ヵ月で本格稼働にこぎつけた。今では95%の精度を保っている。導入は工数削減につながっただけでなく、レスポンスが早くできるようになったことから機会ロスが減り、売上げにも貢献している。またこれまで埋もれていたお客様の声を、事業戦略や販売戦略に活かすためのしくみづくりも進めている。
AIの魅力は、人間が気づかなかった部分にタッチできることだと実感している。まずは自社の業務で人が行うのが当然だと思っている“聖域”がないかを見つけることが大切だ。導入の検討に時間をかけるのではなく、とにかく始めてみて、試行錯誤しながらシステムを大きく育てていけばよいと思う。

◆ 事例2 ウシの発情や疾病を検知する牛群管理システム
株式会社ファームノートの小林代表は北海道十勝地方に生まれ、農家の祖父をもつ。24歳でITベンチャーを起業し、様々な企業の課題解決を行うなか、ある酪農家から相談を受け視察を重ねるうちに日本の農業をITで強くしたいと思い立ち、2013年にファームノートを設立。クラウドを使った牛群管理システム「Farmnote」や、ウシのウェアラブルデバイス「Farmnote Color」を開発・提供している。
生乳の生産量を上げるには、ウシの健康を維持することと、雌ウシをタイミングよく妊娠・分娩させ、適切に搾乳ができる状態にすることが重要だ。そのため酪農家はウシの状態を日々観察してノートに記録し、体調管理や発情・種付けのタイミングの見極めを行っている。しかし、見逃しによる機会ロスも生じており、その潜在的な損失は非常に大きい。そこでファームノートはより効率的にウシを管理するため、手書きノートに変わる牛群管理システムと、センサーとAIを活用したデバイスを開発した。
ウシの首にデバイス「Farmnote Color」を取り付けると、ウシの「活動」「反芻」「休息」といった行動データが個体別に収集され、それをAIで学習・解析して発情や疾病の兆候を検知し、酪農家のスマートフォンに通知される。簡単に操作できるようインターフェイスも工夫しており、利用者からは「目の前にいるウシのデータを確認できるのがいい。早めに対応でき経営効率も上がった」と好評だ。サービス提供開始から約2年で、日本の農家の3.6%にあたる約1,400戸と契約を結んだ。このシステムはウシの育成履歴や作業内容など牧場運営を「見える化」することから、牧場の収益向上だけでなく、未経験の若者や就農希望者が参入する後押しになることも期待されている。
ファームノートが目指すのは“農業の頭脳”だ。今後も農家の利益向上を第一に考え、農業に関するあらゆるデータを収集・解析し、結果を伝えることで、農家の意思決定をサポートしていきたい。農業の現場の人たちとともに、日本の農業を成長産業に変えたいと考えている。

◆ コメンテーター総評
今回の事例のようにAIのビジネス活用は、単なる業務の効率化だけでなく、これまでなかった新しいビジネスモデルやサービスを生み出している。今後も様々な産業に広がっていくことが予測されるが、自社のビジネスにAIを応用するにあたって考えるべきポイントは3つある。
ひとつは、自社にしかない膨大なデータがないかということだ。AIは事前に入力する「教師データ」があって初めて精度が向上する。こうしたデータとアルゴリズムを組み合わることで、ビジネスへの導入スピードが速まる。2つめは、慢性的に労働力が足りない領域はないかということだ。たとえばコールセンターではすでにAIの活用が進んでおり、こうした領域は比較的に導入がしやすい。そして3つめは、自社のビジネスにハードウェアやネットワークデバイスが広がっている領域がないかだ。スマートフォンなどすでに普及しているデバイスにアルゴリズムを浸透させれば、サービスモデルを劇的に変えることができる。AIの進化は目覚ましい。日本企業にはとにかくスピード感をもってAI活用に取り組み、競争力を高めていってほしい。

【本ワークショップに関するお問い合わせ】
 FIF事務局 TEL:03-5740-5817

プレスリリース提供:PR TIMES リンク

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