2016年度 スマートデバイス市場動向調査

株式会社 ICT総研 (東京都千代田区)は7月6日、2016年度のスマートデバイス市場動向調査の結果をまとめた。スマートデバイスとは、スマートフォンとタブレット端末の総称と定義している。


■スマートデバイスの出荷台数は、2015年度 過去最多の3,794万台を記録。

 2015年度のスマートデバイス出荷台数は、前年度の3,686万台から2.9%増となる3,794万台を記録した。増加ペースが著しかった2013年度までと比べると増加量は少ないが、年度ベースで過去最多。
 内訳を見ると、スマートフォンが4.8%増の2,899万台と増加した一方で、タブレット端末は2.6%減の895万台と微減。これによりスマートデバイス全体も微増にとどまった形だ。スマートデバイスの3,794万台という出荷台数規模は、ノートPCとデスクトップPCを合算したパソコンの出荷台数規模978万台の3.9倍の規模となる。一時の急増ペースではないものの、フィーチャーフォン(従来型携帯電話)からスマートフォンへの買い替え需要、ノートPCからタブレット端末への買い替え需要は確実に存在しており、スマートデバイスの出荷台数は今後も増加する見通し。2016年度は3,800万台、2019年度には4,010万台となる見込み。


■タブレット端末は、2016年度951万台となり、パソコンの出荷台数に並ぶ見込み。

 スマートデバイスを、スマートフォンとタブレット端末に分けてみると、2014年度はスマートフォンが前年より減少してタブレット端末が増加する傾向だったが、2015年度は逆にタブレット端末が微減となり、スマートフォンが増加した。タブレット端末は携帯電話キャリアのLTEモデルの販売がやや伸び悩んだことなどが影響し、スマートフォンはMVNO格安SIMの市場が盛り上がってきたことによるSIMフリー端末の増加などが影響したものと見られる。タブレット端末は2016年度 951万台の出荷が見込まれるが、これはパソコンの出荷台数に匹敵する出荷台数となる。
 スマートデバイスに占めるタブレット端末の割合は、2013年度 19.4%から2014年度には24.9%となるなど拡大傾向にあったが、2015年度は23.6%に縮小した。2019年度には28.4%まで拡大する見込み。


■今後のスマートデバイス市場拡大は、MVNO格安SIMと法人市場への浸透がカギに。

 従来型携帯電話(フィーチャーフォン)やパソコンと比べると、スマートデバイスの法人市場への浸透は、個人向け市場と比較してまだ途上である。だが、2015年度は、Windows PCとしての利用も可能なマイクロソフト「Surface 3」が法人向けにヒットするなど、法人のスマートデバイス市場は確実に拡大している。法人が重視する運用コストやセキュリティ面への対策も進んできており、法人のノートPCの代替えとしてタブレット端末が選ばれる傾向は今後も続くだろう。
 MVNO格安SIMの普及によるスマートフォンやタブレット端末の需要増加と併せ、法人市場への浸透は今後のスマートデバイス市場拡大のカギとなると見られる。


■ガラケーの1年後の所有意向は半減。タブレット所有率はモバイルPCの2倍以上に。

 ICT総研では、スマートデバイスを含むモバイル端末について、インターネットユーザーに対してWebアンケート調査を実施した。「ユーザーが現在所有している端末は何か」と「1年後にはどんなモバイル端末を所有していたいか」という設問である。回答者は1,105人。
 その結果、現在1人あたり平均1.75台のモバイル端末を所有しており、2015年度の同調査(平均1.6台)と比べて平均所有台数が増加した。所有している端末は、スマートフォンが75.6%で最多となり、フィーチャーフォン(従来型携帯電話)が23.3%、タブレット端末(WiFiモデル)が22.3%で続いた。前回調査ではスマートフォンが59.9%、フィーチャーフォンが44.7%となっており、両社の所有率の差はこの1年で開いた。また、タブレット端末の合計(回線付きモデルとWiFiモデルの合計)は30.0%となり、前回の29.7%から僅かに増加した。モバイルノートパソコンの所有率は今回12.7%となっており、前回の15.8%から減少した。タブレット端末の合計所有率(30.0%)は、モバイルノートパソコンの2倍以上の数値となっている。
 1年後に所有していたい端末として、フィーチャーフォンを挙げた回答者は14.2%となり、前回調査の27.6%から半減した。腕時計端末の所有率は1.4%にとどまっているが、「1年後に所有していたい」割合は7.1%となっており、潜在需要の大きさを感じさせる。
 ちなみに、MVNO格安SIMの利用者に絞って「現在、格安SIMを挿して利用しているモバイル端末」を聞いてみると、複数回答可能ではあるものの、「スマートフォン」が96.0%となっており、現状ではスマートフォンでの利用が多いことが読み取れる。ただし、タブレット端末での今後の利用意向は大きく伸びている。
 
 今後もスマートデバイス市場は拡大していく見通しだが、総務省の意向を踏まえた携帯電話キャリアの通信料金の設定状況や、格安SIMを含むMVNO市場の動向、ウェアラブル端末市場の動向によっても大きく変わってくると見られる。今後は端末の形・デザインだけでなくサービス形態も変えながら普及していく可能性もあるだろう。
 ICT総研では、今後もスマートデバイスの利用実態、利用動向および市場環境について、定点観測を続けていく方針だ。

このプレスリリースの付帯情報

表1.スマートデバイスとパソコンの国内出荷台数推移

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用語解説

【本資料における用語の定義】

*タブレット端末: タッチスクリーン入力の可能な6インチ以上のディスプレイを備えたスレート型情報通信端末。アプリ等の利用が出来ない電子書籍専用端末は含まない。
*スマートデバイス: スマートフォンとタブレット端末の総称と定義。
*出荷台数: ユーザーからの予約や販売契約に基づきメーカーから工場出荷されたもの。流通在庫分を含む。

【本資料の調査結果・推計データについて】

*本資料における全ての文章、数値、表、グラフデータは、ICT総研スタッフによる取材やアンケート調査、各種文献等を元に当社アナリストが記述・推計したものであり、当該企業や公的機関等の公表値と異なる場合がある。また、資料公開時点のものであり、その後の市場環境等の変化や新たな分析に基づき予測データ等を予告なく変更する場合がある。

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