アジア太平洋地域における原発性肝がんの重要な研究、SIRveNIBの登録完了

アジア太平洋地域肝細胞がん試験群、シンガポール国立がんセンター、他 2016年06月08日 10時08分
From 共同通信PRワイヤー

アジア太平洋地域における原発性肝がんの重要な研究、SIRveNIBの登録完了

AsiaNet 64691

シンガポール、2016年6月6日/PRニュースワイヤー/ --

切除不能肝細胞がん(HCC)の治療におけるアジア太平洋地域肝細胞がん試験群(AHCC)、ソラフェニブとSIR-Spheres(R)Y-90樹脂微小球のランダム化比較対照試験、2017年に結果が期待される

アジア太平洋地域肝細胞がん試験群(AHCC)、シンガポール国立がんセンター(National Cancer Centre Singapore)、シンガポール臨床研究所(SCRI :Singapore Clinical Research Institute)、およびサーテックス・メディカル(Sirtex Medical Limited)は、切除不能原発性肝がん(肝細胞がん、HCC)の治療におけるSIR-Spheres Y-90樹脂微小球とソラフェニブのAHCCプロトコル06SIRveNIBランダム化比較対照試験で、少なくとも360人の対象患者の登録を完了したことを発表しました。[1]

SIRveNIBは、イットリウム-90 [Y-90]樹脂微小球[オーストラリア、ノースシドニーのサーテックス・メディカルSIR-Spheres(R)]による選択内部放射線療法(SIRT)と、進行性肝細胞がんの治療では現在標準となっている全身療法であるソラフェニブ[ドイツ、ベルリンのバイエル薬品(Bayer HealthCare Pharmaceuticals)ネクサバール(Nexavar)(R)]の有効性と安全性を比較するために考案されました。SIRveNIBの患者は、外科的切除、アブレーション、肝移植など、治癒の可能性のある治療には適さない人たちでした。

SIRveNIB研究の研究責任者でシンガポール国立がんセンターとシンガポール総合病院(Singapore General Hospital)の上級外科医、ピアス・チョウ教授は、次のように説明しました。「現在のところ立証済みの治療選択肢は非常に少ないため、より効果的で容認性の高いHCCの治療法を探すことは重要です。SIRveNIBにおける全生存の主要評価項目の域を超えて、我々は切除不能なHCC治療に対する2種類の全く違ったアプローチの副作用と患者のクオリティ・オブ・ライフを比較するなど、多くの重要な二次的評価項目をも見ています。SIRveNIBは、SIRTとソラフェニブを直接比較するアジア太平洋地域の研究では最大であり、実際、同地域でソラフェニブに関して行われたランダム化試験では最大です」

シンガポール臨床研究所CEOのテオ・イー・レオン准教授は、「治験医師主導のSIRveNIB研究の患者登録完了は、アジアの肝臓がん研究における節目であり、サーテックス・メディカル、シンガポール国立がんセンター、シンガポール臨床研究所の間の強力な官民連携を明確に示しています」と述べました。

SIRveNIBの患者は、ニュージーランドをはじめとするアジア太平洋の10か国、27のセンターで治療を受けました。SIRveNIBの結果は、2017年前半に入手可能となる見込みです。

ソラフェニブは、プラセボと比較して全生存率が高まった2つの重要なランダム化比較対照試験の結果を受け、進行性HCC患者の標準治療として確立しました。[2],[3]しかしながら、ソラフェニブを投与されている患者の80%は治療に関連した有害事象をも経験しました。SIR-Spheres Y-90樹脂微小球によるSIRTは、手術不可能な肝腫瘍の治療法として認可されています。高エネルギーのベータ線を直接腫瘍に送る侵襲の少ない治療法です。SIRTは、インターベンショナル・ラジオロジストが患者に投与、腫瘍に血液を供給する肝臓の動脈に、カテーテルを使って数百万個の放射性微小球(直径は約32.5ミクロン、ヒトの髪の毛の直径の3分の1ほど)を投与します。微小球は健康な組織を温存しながら、腫瘍自体の血液供給を使って、従来の放射線療法より最大40倍も高い短距離放射線を照射します。この患者集団におけるY-90樹脂微小球を使ったSIRTのランダム化比較対照研究への関心は、数多くの非盲検単一施設研究、および手術不能なHCC患者にSIR-Spheres Y-90樹脂微小球を使用した長期の結果の多施設共同分析に基づいています。[4]

SIR-Spheres Y-90樹脂微小球の現在における可用性
SIR-Spheres Y-90樹脂微小球は、オーストラリア、欧州連合(CEマーク)、アルゼンチン(ANMAT)、ブラジルのほか、トルコ、インド、シンガポールなどアジア数か国で手術不能な肝腫瘍の治療法として認可されています。同製品は、香港、イスラエル、マレーシア、ニュージーランド、台湾、タイなどの国々でもこの使用目的で供給されています。またSIR-Spheres Y-90樹脂微小球はFDAの全面的市販前承認(PMA)も受けており、米国ではフロクスウリジン(floxuridine)を使用した肝臓内動脈化学療法との併用で原発性大腸がんの切除不能転移性肝腫瘍の治療に用いられています。

肝細胞がんについて
肝細胞がん(HCC)は、肝臓で始まり、世界で6番目に多いがんであり、がん関連で2番目に多い死亡原因となっている原発性肝がんにおいて、世界でもっともよく見られる病態です。[5]おもに、ウイルス性肝炎やアルコール乱用など何らかの原因による肝硬変の患者に作用します。HCCは、アジア太平洋地域や南欧など肝炎と診断されることが最も多い地域で最大の発生率が見られます。早期に発見すればHCCは外科的切除、アブレーション、肝移植などでの治療が可能であり、長期の生存期間改善が見込めます。しかし、大多数の患者はこのような手段をとることができません。生存期間は腫瘍の拡がりや診断時の肝臓の状態に大きく左右されますが、数か月から2年であり、手術不能なHCCの患者にとって見通しは暗いのです。[6]大規模な研究において、HCCの新しい治療選択肢の試験は10年近くも成功していません。

SIRveNIB研究のスポンサーについて
SIRveNIBは、シンガポール総合病院が国立医学研究評議会(National Medical Research Council)、シンガポール、シンガポール国立がんセンター、シンガポール臨床研究所、およびサーテックス・メディカルと共同スポンサーになっている研究者主導型の研究です。

詳細は以下からご覧ください:
シンガポール総合病院 リンク
シンガポール国立医学研究評議会 リンク
シンガポール国立がんセンター リンク
シンガポール臨床研究所 リンク
サーテックス・メディカル リンク

参照:
1.局所進行性肝細胞がんにおける選択内部放射線療法(SIRT)とソラフェニブの比較研究(SIRveNIB):リンク リンク
2.SHARP治験責任医師研究グループ、Llovet J、 Ricci S、Mazzaferro V他。進行性肝細胞がんにおけるソラフェニブ。ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン(New England Journal of Medicine)2008年;359:378-390。
3.Cheng A、Kang Y、Chen Z他。アジア太平洋地域の進行性肝細胞がん患者におけるソラフェニブの有効性と安全性:フェーズIIIランダム化二重盲式プラセボ対照試験。ランセット・オンコロジー(Lancet Oncology)2009年;10: 25-34。
4.イットリウム-90 [Y-90] 樹脂微小球による無線塞栓(ENRY)の欧州ネットワーク代表Sangro B、Carpanese L、Cianni R他。BCLCのステージ全般における肝細胞がんのY樹脂微小球無線塞栓後[90]の生存:ヨーロッパの評価。ヘパトロジー(Hepatology)2011年;54: 868-878。
5.Ferlay J、Soerjomataram I、Ervik M他。グロボカン(Globocan)2012年V1.0、世界のがん発症率と死亡率:IARCキャンサーベース(CancerBase)No.11[インターネット]。フランス、リヨン:国際がん研究機関(International Agency for Research on Cancer);2013年。こちらからご利用ください:リンク ( 2016年6月6日アクセス)。
6.欧州肝臓学会(European Association for the Study of the Liver)、欧州がん研究・治療機構(European Organisation for Research and Treatment of Cancer)。EASL-EORTC臨床診療ガイドライン:肝細胞がんの管理。ジャーナル・オブ・ヘパトロジー(Journal of Hepatology)2012年;56:908-943。

SIR-Spheres(R)は、サーテックスSIR-Spheres株式会社の登録商標です。
329-EUA-0616

情報源:アジア太平洋地域肝細胞がん試験群(AHCC)、シンガポール国立がんセンター、シンガポール臨床研究所(SCRI)、サーテックス・メディカル社

(日本語リリース:クライアント提供)

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