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骨を溶かす細胞の機能を動物の体内で可視化 ~移動しながら溶かす場所を探す破骨細胞をその場で観測 -- 大阪大学

大阪大学 2016年06月07日 08時05分
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大阪大学 免疫学フロンティア研究センター菊池和也教授、石井優教授らによる、破骨細胞、in vivoイメージング、2光子励起、内視鏡顕微鏡に関する研究成果。(大阪大学の最新研究情報はこちらから: リンク


<研究成果のポイント>
◆マウスの生体そのまま(in vivo)の状態で、活性時の破骨細胞※1が骨を溶かす場所を可視化
◆移動する破骨細胞の局在変化と活性変化をリアルタイムに画像化し、骨を溶かす強さの定量化に成功
◆破骨細胞の活性情報が簡便かつ迅速に得られることから、患部の早期診断や新規治療薬の開発に期待

<概要>
 大阪大学免疫学フロンティア研究センターの菊地和也教授(工学研究科)、石井優教授(医学系研究科)らの研究グループは、破骨細胞が実際に骨を溶かしている部位を可視化する蛍光プローブ※2を作製し、独自に開発した生体2光子励起イメージング※3装置を用いて、in vivo (生体そのまま)における破骨細胞の機能評価に成功した。低分子プローブには標的細胞が存在する特定の組織への選択的輸送ができる仕組みが施され、骨を溶かす場所でのみ蛍光を発するスイッチ機能も組み込まれることで、破骨細胞活性を選択的に可視化できることを示した。また、蛍光タンパク質により標的細胞をラベル化し、低分子プローブと蛍光タンパク質の蛍光シグナルを同時に検出することで、細胞の局在変化と活性変化をリアルタイムに画像化し、骨を溶かす強さを定量化することに成功した(図)。
 本研究成果は、『Nature Chemical Biology』(6月7日(火) 午前0時(日本時間)にオンライン掲載される。

<本研究成果の内容、社会に与える影響>
 本研究では簡便かつ安定に測定できる「機能している破骨細胞を検出」する in vivoイメージング手法を確立した。特に、分子デリバリーを最適化することで、分子プローブを皮下注射するだけでマウス個体のイメージングを達成した。実際のin vivoの状態で使える分子プローブはこれまでほとんど存在しなかったため、本研究はin vivoイメージングの分野に大きなインパクトを与えると考えられる。
 蛍光タンパク質を用いる既存の手法では、破骨細胞の局在の情報は得られても、その活性まで調べることはできなかった。しかし本手法は、破骨細胞の活性情報が簡便かつ迅速に得られることから、患部の早期診断や新規治療薬のスクリーニングに有効であり、医療や産業界に大きく貢献できると予想される。また本研究は、物理化学の原理に基づく分子設計、有機合成化学による機能性蛍光プローブの構築、免疫学の知識・技術を用いた生体内機構の解明、という複数の分野の枠組みを越えた学際的研究であり、医学、化学、測定機器メーカーに関連する分野に幅広く貢献し、基礎研究から医学研究応用まで達成した研究として社会的にも学術的にも極めて大きな意義がある、と考えている。

<掲載論文・雑誌>
 本研究成果は、『Nature Chemical Biology』 6月 7日(火) 午前0時(日本時間)にオンライン掲載される。
 【論文タイトル】“Real-time intravital imaging of pH variation associated with osteoclast activity”
 【著者】Hiroki Maeda, Toshiyuki Kowada, Junichi Kikuta, Masayuki Furuya, Mai Shirazaki, Shin Mizukami, Masaru Ishii and Kazuya Kikuchi

<特記事項>
 本研究課題は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)、革新的先端研究開発支援事業(AMED-CREST)の研究開発領域「炎症の慢性化機構の解明と制御に向けた基盤技術の創出」 (研究開発総括:宮坂昌之)における研究開発課題「次世代の生体イメージングによる慢性炎症マクロファージの機能的解明」(研究開発代表者:石井優)の一環で行われた。また、大阪大学免疫学フロンティア研究センター(IFReC)は、日本が科学技術の力で世界をリードしていくため「目に見える世界的研究拠点」の形成を目指す文部科学省の「世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI) 」に採択されている。

<用語解説>
※1 破骨細胞
破骨細胞は、造血幹細胞から分化して細胞が融合した多核細胞として生まれる骨吸収細胞であり、骨の成長、修復に関与する重要な役割を果たす。破骨細胞機能の異常化と骨疾患発症との密接な関連が指摘されている。例えば、過剰な骨吸収によって骨粗しょう症や関節リウマチを発症する。

※2 蛍光プローブ
プローブは元々探針という意味だが、転じて蛍光プローブは、特定の分子と反応することで強い蛍光を発したり蛍光色を変えたりする機能性分子を指す。

※3 生体2光子励起イメージング
体内透過力が高い近赤外領域の光子2つが吸収された結果、可視光領域に波長遷移することを利用して開発された。生物体内における細胞の動きを直接顕微鏡で検出する。

▼本件に関する問い合わせ先
<研究に関するお問い合わせ先>
 大阪大学 免疫学フロンティア研究センター (WPI-IFReC)
 大学院工学研究科生命先端工学専攻 ケミカルバイオロジー領域 
 教授 菊地 和也 (キクチ カズヤ)
 TEL: 06-6879-7924  
 FAX: 06-6879-7875  
 E-mail: kkikuchi◎mls.eng.osaka-u.ac.jp
 (メールアドレスの「◎」は「@(半角アットマーク)」に置き換えてください)

 大阪大学 免疫学フロンティア研究センター (WPI-IFReC)
 大学院医学系研究科 免疫細胞生物学 
 教授 石井 優 (イシイ マサル)
 TEL: 06-6879-3880  
 FAX: 06-6879-3889  
 E-mail: mishii◎icb.med.osaka-u.ac.jp
 (メールアドレスの「◎」は「@(半角アットマーク)」に置き換えてください)

<AMEDに関するお問い合わせ先>
 国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED) 戦略推進部 研究企画課
 TEL: 03-6870-2224  
 FAX: 03-6870-2243 
 E-mail: kenkyuk-ask◎amed.go.jp
 (メールアドレスの「◎」は「@(半角アットマーク)」に置き換えてください)

<WPIに関するお問い合わせ先>
 文部科学省研究振興局基礎研究振興課 国際研究拠点形成支援係
 TEL: 03-5253-4111(代表) 03-6734-4248(直通)
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