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「今、この建物に何が起きているか」 をリアルタイムに把握できる防災システムを開発 -- 芝浦工業大学

芝浦工業大学 2015年12月22日 08時05分
From Digital PR Platform


芝浦工業大学環境システム学科の増田幸宏准教授は、地震発生時に「今、自分がいる建物に何が起きているか」をリアルタイムに把握できる防災情報システムを開発した。これは、発災後に建物内に設置された電子モニターで、屋外に出なくとも「適確な情報」を「リアルタイム」に得ることができるというもの。なお、本システムは9月より新宿区西富久のタワーマンションに導入されている。


 既存の防災情報は、緊急地震速報や自治体などから伝えられる広域情報しかなく、この建物自体がどういう状況なのか、電気・水道・ガスなどのライフラインが正常かどうかを一元的に把握するためのシステムは例がなかった。

 今回のシステムでは、地震発生・発災後に建物内の各フロア等に設置された電子モニターを通じて、屋外に出なくとも「適確な情報」を「リアルタイム」に得ることができ、住民に適切な行動を促すことが可能となる。最近は建物の構造強化に伴い、地震が発生した後に慌てて屋外へ飛び出す必要はなく、むしろ精確な情報によって人々が落ち着いて生活を維持・継続していくことが重要だと増田准教授は考えている。

 なお、企業など(※)と共同で実装の検討を進め、本システムは9月より新宿区西富久のタワーマンションを含む再開発地区に導入されている。今後は、業務・商業施設や病院などへのシステムの導入を検討するとともに、【逃げずに、とどまる防災】の考え方を社会に伝えていく。

(※)野村不動産株式会社、三井不動産レジデンシャル株式会社、積水ハウス株式会社、阪急不動産株式会社、戸田建設株式会社、五洋建設株式会社、株式会社まちづくり研究所、株式会社久米設計、早稲田大学名誉教授 尾島俊雄+J.P.R、芝浦工業大学(増田幸宏研究室)、富士電機株式会社、IHI運搬機械株式会社、東芝エレベータ株式会社

■【逃げすに、とどまる防災】 が浸透しない理由
 近年、建物自体の耐震強度・安全性は徐々に高まってきており、新しい耐震基準で建築されて十分に安全性が確保された建物においては、周囲に津波などの危険が無い場合、地震発生時には「建物にとどまる」ことが重要な行動原則となるが、防災訓練では地震ではなく火災を想定した「避難訓練」のみが行われることが多くあり、「建物内待機」の原則はいまだ浸透していない現状がある。これにより大都市においては、高層ビルやマンションからパニック状態に陥った大勢の人が一斉に外に避難してしまうことで2次災害の危険性も高まる。人々が避難してしまう理由として、習慣化されている「災害=逃げる」という意識に加え、今、いる建物がどうなっているかという「情報」が届かないことが挙げられる。

■“災害に負けないまちづくり”に必要なのは 「精確な情報」
 増田准教授は、防災には「精確な情報」をいち早く住民・在館者に届けることが重要だと考え、今回の防災システムを提案した。情報が入れば、やみくもに屋外へ避難せず建物内に「とどまる」判断ができ、次の適切な行動につなげることができるからである。また、災害時にはモニターの前に人々が集い、情報を共有することで、人々が助け合う“共助”が生まれる。正しい情報によって、落ち着いて行動を取ることのできる人間と、優れた防災機能が有機的に組み合わさるまちが、本当に“災害に負けないまち”となると考えており、今後は他の地域でもシステムの導入を図り、新たな防災の考え方を社会に伝えていく。

(補足) 「防災システム」 の技術的背景
 建物を管理するシステムには電気、水道、ガス、空調設備、エレベータ、パーキング、セキュリティ、火災など多数の専用システムがあるものの、建物管理とライフライン管理は、別々のシステムで運用されていたため、災害時に状況を一元管理することが困難でした。これらを統合するためには、システム間の仕様の統一など技術的な困難に加え、災害時の「適切な行動」には「精確な情報が極めて重要」であることが、近年ようやく理解され始めてきたという背景があり、災害時のために建物情報を一元管理するシステムは実現例がなかった。
 増田准教授は、新規に災害対応用にセンサーを設置し、従来のセンサーとも有機的に連携・機能するよう設計。2011年より再開発関係者や技術者、住民と話し合いながら仕様を決め、世界でも初のトータル管理システムとして完成に導いた。

▼本件に関する問い合わせ先
 芝浦工業大学 経営企画部企画広報課 担当: 川野
 TEL: 03-5859-7070
 E-mail: koho@ow.shibaura-it.ac.jp

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