理学部亀田准教授と学生が開発した宇宙望遠鏡「LAICA」が彗星の放出した水素ガスの撮影に成功

学校法人立教学院 2015年10月14日 10時01分
From 共同通信PRワイヤー

2015年10月14日

立教大学

理学部亀田准教授と学生が開発した宇宙望遠鏡「LAICA」が、
彗星の放出した水素ガスの撮影に成功!

立教大学理学部の亀田真吾准教授と研究室の学生が中心となって開発した宇宙望遠鏡「Lyman Alpha Imaging Camera」(以下 LAICA〈ライカ〉)は、9月13日(日)、地球から3500万km離れた宇宙空間においてチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の撮影に成功し、彗星周辺にある水素ガスの新たな全体像を捉えました。

これまでにも宇宙望遠鏡によって彗星の水素ガスが観測された例は複数ありますが、太陽光の圧力により少しだけ変形しているものの、球状に近い形を示していました。また、細かい分布を捉える性能は低く、ジェットに起因すると考えられる非一様な形状は捉えられていませんでした。今回捉えられた形状は、同時に撮影された恒星像と比較して、明らかな非一様性を示しています。これは太陽光の圧力だけでは説明できず、ジェットの影響を受けている可能性が高いと考えられます。
*「ジェット」・・・水分子が主成分と思われる局所的な激しいガス噴出のこと

本学の学生らが大学院在籍中の約1年という短期間において、低コストで開発した宇宙望遠鏡LAICAが地球から3500万kmという遠方で観測に成功したことは大きな成果です。今後は、同時に観測を行ったロゼッタ探査機や宇宙航空研究開発機構(JAXA)が打ち上げた惑星分光観測衛星「ひさき」などによる成果と合わせて、彗星ジェットと水素ガス分布の研究を進め、その関係の解明を目指します。今回の観測は彗星から2.7億kmのところから行われており、ロゼッタ探査機のように彗星の近くまで行かなくても水素ガスの観測は可能です。今後、他の彗星においてジェットのような活動を捉えるために、効率的で有効な手段になると考えられます。

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今回の彗星観測の概要
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本観測の検討は、立教大学・東京大学・JAXAのPROCYON/LAICAチームに加え、彗星科学を専門に研究を進められている河北秀世教授(京都産業大学)、新中善晴博士(国立天文台/リエージュ大学/日本学術振興会特別研究員PD)との協力によって進められました。観測されたチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星には、昨年、欧州宇宙機関(ESA)のロゼッタ探査機が到着しており、現在も現地で観測が続けられています。この彗星は、本年8月に最も太陽に近づいており、その後、ジェットが度々起きていることが確認されています。亀田准教授らの彗星観測検討チーム(立教大学・京都産業大学・国立天文台・JAXA)は、水分子のジェットが今まさに起きている彗星であれば、水素ガスがジェットの方向に濃くなる可能性があると考え、LAICAを用いてチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の観測を行いました。

【関連リンク】
・京都産業大学からのプレスリリース
リンク

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LAICAの概要
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1. 開発について
LAICAは、東京大学とJAXAが共同開発した世界初の50kg級超小型深宇宙探査機「PROCYON」(2014年12月に「はやぶさ2」と共に打ち上げ)に搭載されています。LAICAは、立教大学理学部の亀田真吾准教授と研究室の学生を中心に、東京大学、JAXAと共に開発された宇宙望遠鏡です。立教大学池袋キャンパス内での望遠鏡の設計・組み立てから、ロケット発射の衝撃や探査機内で想定される温度変化に対する耐久性を確認する実験まで、学生が中心となり実施しました。

2. 性能について
LAICAは、水素原子が放つ紫外線(水素ライマンα線)の観測に特化した望遠鏡であり、地球から3500万kmも離れた宇宙を航行しているため、地球周辺にある明るい水素コロナの外から観測を行うことができます。このため、主鏡の口径は75mmと手のひらサイズであるものの、「すばる望遠鏡」のような大型の地上望遠鏡や「ハッブル宇宙望遠鏡」のような大型装置でも実現不可能な観測を行えます。地球から150万kmほど離れたところにある太陽観測衛星SOHOに搭載された観測機SWANによって彗星周辺水素の観測が行われた例がありますが、性能上LAICAの方が精細な画像を取得できます。また、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の核の大きさは4 km程度であるのに対し、今回観測された水素ガスの広がりは30万km以上に及びます。彗星近傍に滞在しているロゼッタ探査機ではこれだけ広がった水素ガス全体は捉えられず、現時点ではLAICAだけが観測できる状況です。今後、他の彗星の活動を調べるために再びLAICAを使うことが検討されています。



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