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心房細動の登録研究より、17,000人を超える 新たに心房細動と診断された患者の2年間の転帰データ公開

Thrombosis Research Institute 2015年09月01日 18時45分
From 共同通信PRワイヤー

心房細動の登録研究より、17,000人を超える 新たに心房細動と診断された患者の2年間の転帰データ公開

AsiaNet 61606


国際的な心房細動の登録研究より、17,000人を超える
新たに心房細動と診断された患者の2年間の転帰データが公開される


- GARFIELD-AFから他に例のない幅広さと成熟度を備えた登録データが
欧州心臓病学会2015で発表され、世界中の日々の臨床現場における
心房細動治療の進化についての実践的な知見を提供 -

ロンドン発、2015年9月1日 -欧州心臓病学会(ESC: European Society of Cardiology)2015 において、初めてGlobal Anticoagulant Registry in the Field - Atrial Fibrillation(GARFIELD-AF)に蓄積された2年間にわたる転帰データが発表され、新たに心房細動(AF: atrial fibrillation)と診断された17,000人を超える患者において最も頻繁に発生したイベントは死亡(すべての原因による)であり、脳卒中や大出血の発生頻度をはるかに超えたことが明らかにされました。コホート1ならびに2からの2年間にわたるプロスペクティブ(前向き)研究の転帰データは1人年あたり3.83%の死亡率を示したのに対し、脳卒中の頻度は1人年あたり1.25%、大出血は1人年あたり0.70%でした[1]。

さらにコホート1から3までの28,000人を超えるAF患者の1年間の転帰データでは、死亡、脳卒中、および大出血の頻度上昇に併存疾患が及ぼしていると思われる影響が示されました。中程度から重度の慢性腎疾患を持つ患者、および心筋梗塞の既往歴を持つ患者の死亡率は患者群全体を顕著に上回りました(全体の死亡率4.0%に対してそれぞれ9.4%と6.9%)[1]。 ハーバード大学医学部およびブリガム・アンド・ウィメンズ病院(Brigham and Women’s Hospital)のサム・ゴールドハーバー(Sam Goldhaber)教授は、「このGARFIELD-AFからのデータは、患者の帰結を予測する際における併存疾患の重要性を示すと共に、AF治療における医師へのガイドともなり得るものです。今回の結果は、これらの併存疾患を持つAF患者に対し、抗凝固薬の処方の拡大を検討すべきであることを示唆しています」と述べています。

2010年から2015年までにわたる、GARFIELD-AFの連続した4つのコホートに含まれる4万人近いAF患者のデータには、世界全体でのAF治療の実態の推移が示されています。脳卒中予防のため抗凝固療法を開始した患者の比率は全体として57.4%から71.1%に高まりました。ビタミンK拮抗薬(VKA)と抗血小板薬(併用または単独使用)の使用頻度は83.4%から50.6%に下がり、非ビタミンK阻害経口抗凝固薬(NOAC)の単独使用または抗血小板薬との併用は4.1%から37.0%に高まりました[1]。ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(University College London)の外科学教授であり、Thrombosis Research Institute(TRI、血栓症研究所)ディレクターを兼任するアジャイ・カッカール(Ajay Kakkar)教授は「この治療方法の進化は、脳卒中の新たな予防手段の普及に一致しています。しかしまだ課題として、必要とする患者に対して適切に治療が行われるようになることが残っています」と述べています。

ロンドン大学セント・ジョージ校のジョン・カム(John Camm)教授はGARFIELD-AFで明らかにされた治療パターンについてさらに詳しく解説し、「適切な抗凝固薬の使用は全体として増加しているものの、GARFIELD-AFではNOACの利用パターンが国によって大きく異なることが明らかになりました。コホート1から3までの、欧州全体で新たにAFと診断された2万人近い患者の分析結果は、NOACの利用に2.6%から58.0%までの幅があることを示しています[2]。様々な国や異なる医療環境から収集が続けられているデータに基づく知見は、AF患者の治療や転帰をどのように改善できるかを医師が判断するために役立つことが期待されます」と述べています。

GARFIELD-AFは、新規にAFと診断され、さらにそのほかに少なくとも一つ以上の脳卒中リスクを持つ患者を対象とした、最大規模で現在進行中のプロスペクティブ(前向き)登録です。GARFIELD-AF が収集を続けている実際の臨床現場から得られた知見は、医学界が患者の転帰を引き続き改善することのできる分野を判断するために役立つ実践的なエビデンスを提供しています。

欧州心臓病学会2015ではまた、特定の地域や患者群からのGARFIELD-AFデータも発表されました。

東および東南アジアでのビタミンK拮抗薬のコントロール[3]
GARFIELD-AFから得られた知見として、東および東南アジア(n=3,627)では世界の他の地域(n=13,546)と比較しINR(International Normalized Ratio、国際標準比または国際標準化比)測定の頻度が低く、測定と次の測定との間隔が長いこと、またINR値が低いことが示されました。東および東南アジアで新たにAFと診断され、ビタミンK拮抗薬の投与を受けている患者については以下の結果が得られています。

・INR値がより低く、大半は2.0であり、この傾向はすべての年齢層に共通していた
・CHA2DS2-VASc値が2以上の患者への抗凝固薬の使用頻度が低い

新たにAFと診断され中程度から重度の慢性腎疾患を持つ患者における脳卒中、大出血、および死亡:GARFIELD-AFからの結果[4]
17,159人のAF患者を対象とした1年間の転帰調査では、中程度から重度の慢性腎疾患を持つ患者(n=1,760)と慢性腎疾患が軽度または存在しない患者(n=15,399)との間で差が見られました。

・中程度から重度の慢性腎疾患を持つ患者では、死亡率と大出血の発生率が2倍高く、また脳卒中の発生率は1.4倍だった
・抗凝固薬は中程度から重度の慢性腎疾患を持つ患者でより頻繁に使用されている
・GARFIELD-AF登録での死亡率と出血発生をさらに継続して調査することにより、AFと慢性腎疾患を持つ患者において抗凝固療法のベネフィットとリスクのバランスを取る上で役立つ、さらに優れた知見が得られることが期待される

GARFIELD-AF 登録について
GARFIELD-AFは、英国ロンドンにあるThrombosis Research Institute( 血栓症研究所, TRI )の援助を受けて国際的な運営委員会が主導している独立系の学術研究活動です。

新たにAFと診断された患者を対象とした国際的な多施設共同の観察研究であり、アメリカ大陸、東西ヨーロッパ、アジア、アフリカ、オーストラリアの35か国にある1,000以上の施設の57,000人の患者を観察します。2009年12月から2015年7月の間までに、4つの連続したコホートに対して45,000人近くの患者が登録されました。最終コホートであるコホート5の募集は2015年8月上旬に始まりました。

現在の心房細動に関する理解は、比較臨床試験で集められたデータに基づいています。新しい治療の効果と安全性を評価することは重要ですが、これらの臨床試験は日常の診療行為ではないため、この疾患に対する実生活上の負荷や管理について不確定要素が存在します。GARFIELD-AFは、これらの患者群に見られる血栓塞栓性、出血性の合併症における抗凝固療法の影響について知見の提供を試みます。代表的で多様な患者グループ、さらには特徴的な患者集団の治療と臨床的な転帰を改善する可能性についてより良い理解をもたらします。さらには、医師や医療システムが、患者および患者集団に最善の転帰をもたらすべく適切にイノベーションを選択することに寄与することが期待されます。

患者登録は2009年12月に開始されました。GARFIELD-AFプロトコルが包括的かつ代表的にAFを捉えるための、試験デザインの4つの主な特徴は以下の通りです。

・新たに診断された患者の5つのプロスペクティブ(前向き)連続コホートの観察は、個別の時間周期による比較研究を容易にし、治療と転帰の変化を類型化します
・各国での実際の臨床に即した参加施設を無作為にかつ慎重に選定することで、登録患者は各国の心房細動診療の実態を代表する集団となっています
・患者登録の選択の偏りを排除するため、治療法に関わらず持続的に適格な患者を登録します
・フォローアップ・データは、診断後最短2年間、最長で8年間収集され、毎日の実際の臨床における治療決定と転帰に関する包括的なデータベースを作成します

研究対象の患者は過去6週間以内に非弁膜性心房細動(AF)と診断され、脳卒中につながる血塊を予防する抗凝固療法の候補者になる可能性があるなど、脳卒中に対する少なくとも1つの追加的なリスク要因がなければなりません。治験担当医が患者の脳卒中リスク要因を特定し、リスク要因は確立されたリスク・スコアに含まれるものに限定する必要はありません。患者のなかには抗凝固療法を受けるものも受けないものも含まれ、従って現在および将来の治療戦略と問題点は患者個人のリスク特性との関連で適切に理解され得ることになります。

GARFIELD-AF RegistryはBayer Pharma AG(ドイツ、ベルリン)から無制限の研究資金供与を受けています。

AFの負担
世界人口の最大2%[5]が、そして欧州の約1000万人[6]、米国の510万人[7] 、中国の最大800万人が、AFに罹患しています[8] [9]。世界の人口の高齢化により[11]罹患率は2050年までに2.5倍に増加すると推定されています[10]。AFは脳卒中のリスクを5倍高め[12]、脳卒中全体の5分の1はこの不整脈が原因とされています[13]。AFに伴う虚血性脳卒中は死亡することも多く、また生存しても重症の障害を持つ確率が高く、他の要因による脳卒中の患者よりも再発に苦しむことが多いとされています。そのため、AF関連の脳卒中の死亡リスクは2倍であり、ケアコストは50%増加します[14]。

AFは心房の一部が非協調的な電気信号を発信するときに起こります。これが早くて不規則な心房収縮を生じさせ、血液を完全に送り出すことできません[15]。その結果、血液は心房に滞り、血栓ができやすくなります。これが世界第1位の心臓血管キラーです[16]。左心房から血栓が離れた場合、脳を含む人体の他の場所において動脈に詰まる可能性があります。脳動脈中の血栓一つが脳卒中を起こします。死に至った脳卒中の92%は血栓によって起きています[17] 。またAFに罹患している場合、心不全、慢性疲労、その他の心拍上のリスクも高くなります[18]。脳卒中は世界の主要な死因、長期障害の主因であり、毎年670万人が死亡[16]し、500万人が永続的な身体障害に苦しんでいます[19] 。

血栓症研究所(TRI)について
TRIは慈善財団であり、血栓症と関連疾患の研究を行う学際的な研究所です。TRIの使命は優れた血栓症研究、教育を提供し、血栓症の予防と治療のための新戦略を開発し、それによってケアの質の向上や、臨床転帰を前進、健康管理コストの削減を実現することです。TRIはユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(University College London)のパートナーズ・アカデミック・ヘルス・サイエンス・ネットワークのメンバーです。
詳しい情報はリンク へ。

1 .Kakkar A.J. (2015, August). Anticoagulation and AF: real life data from the GARFIELD-AF registry. Symposium conducted at ESC Congress 2015, London, United Kingdom.

2 .Camm A.J., Ambrosio G., Atar D., et al. Patterns of uptake of non-vitamin K antagonist oral anticoagulants in Europe: an analysis from the GARFIELD-AF registry. Poster session presented at ESC Congress 2015, London, United Kingdom.

3. Goto S., Angchaisuksiri P., Camm A.J., et al. Vitamin K antagonist control in Eastern and Southeastern Asia. Oral session presented at ESC Congress 2015, London, United Kingdom.

4. Goto S., Atar D., Bassand J.P., et al. Stroke, major bleeding and mortality in newly diagnosed atrial fibrillation with moderate-to-severe chronic kidney disease: Results from GARFIELD-AF. Poster session presented at ESC Congress 2015, London, United Kingdom .

5 .Davis R.C., Hobbs F.D., Kenkre J.E., et al. Prevalence of atrial fibrillation in the general population and in high-risk groups: the ECHOES study. Europace 2012; 14(11):1553-9. 6/16/15. Available at: リンク .

6. Stefansdottir H., Aspelund T., Gudnason V. et al. Trends in the incidence and prevalence of atrial fibrillation in Iceland and future projections. Europace. 2011; 13(8): 1110-7

7. Miyasaka Y., Barnes M.E., Gersh B.J., et al. Secular Trends in Incidence of Atrial Fibrillation in Olmsted County, Minnesota, 1980 to 2000, and Implications on the Projections for Future Prevalence, Circulation. 2006;114,(2)119-125

8. Zhou Z., Hu D. An epidemiological study on the prevalence of atrial fibrillation in the Chinese population of mainland China. J Epidermiol 2008; 18(5):209-16. 6/16/15. Available at: リンク .

9. Hu D., Sun Y. Epidemiology, risk factors for stroke, and management of atrial fibrillation in China. JACC 2008; 52(10):865-8. 6/16/15. Available at: リンク .

10. Go A.S., Hylek E.M., Phillips K.A., et al. Prevalence of Diagnosed Atrial Fibrillation in Adults, JAMA. 2001;285,(18)2370-2375

11 .United Nations. World Population Ageing. 2009. Available at: リンク January 2015

12. Kannel W.B., Wolf P.A., Benjamin E.J., et al. Prevalence, incidence, prognosis, and predisposing conditions for atrial fibrillation: population-based estimates. Am J Cardiol. 1998;82(8A):2N-9N

13. Atrial Fibrillation Society. The AF Report Atrial Fibrillation: Preventing a Stroke Crisis. Available at リンク January 2015

14 .European Heart Rhythm Association; European Association for Cardio-Thoracic Surgery, Camm A.J , Kirchhof  P., Lip G.Y., et al. Guidelines for the management of atrial fibrillation: the Task Force for the Management of Atrial Fibrillation of the European Society of Cardiology (ESC). 8/22/14. Eur Heart J 2010; 31(19):2369-429. 6/16/15. Available at: リンク .

15. National Heart, Lung, and Blood Institute. What is Atrial Fibrillation? 6/16/15. Available at: リンク .

16 .World Health Organization. The top 10 causes of death. Fact sheet N°310. Updated May 2014. 6/16/15. Available at: リンク .

17. International Society on Thrombosis and Haemostasis. About World Thrombosis Day. Available at: リンク

18. American Heart Association. Why Atrial Fibrillation (AF or AFib) Matters. 8/22/14. Available at: リンク .

19. World Heart Federation. The global burden of stroke. 6/16/15. Available at: リンク .


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(日本語リリース:クライアント提供)

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