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中央大学理工学部の竹内健教授が、機械学習で抵抗変化型メモリ(ReRAM)のエラーを予測し、メモリの寿命を13倍に向上することに成功

中央大学 2015年05月21日 08時05分
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中央大学理工学部の竹内健教授が、機械学習で抵抗変化型メモリ(ReRAM)のエラーを予測し、メモリの寿命を13倍に増加させることに成功した。ReRAMはフラッシュメモリの1万倍も高速に書き換えが可能だが、多くの書き換えを繰り返すと、データを記憶するメモリセルが不良し、記憶したデータが破壊されるという問題があった。このたび竹内教授は不良になるメモリセル(ハードエラー)を事前に予測する技術を開発し、ReRAMの寿命(書き換え可能な回数)を従来の13倍に延ばすことができるようになった。


 IoT(Internet of Things:モノのインターネット 注1)と呼ばれるように、医療、農業、流通、交通、電力網など社会の至る所にセンサが張り巡らされ、人間だけでなく、機器同士、機器と人間の間でさまざまなデータがやり取りされるようになる。例えば、自動運転ではセンサによって周囲の車、障害物、車線などをモニタしながら運転を行う。また、インダストリ4.0(注2)と呼ばれる製造工場でのITの活用では、高速に動くモーターなどを周囲の環境に合わせて最適に調整することで生産性を高めることが期待されている。このようなリアルタイムのIoTの応用では、高速にデータを処理、記憶、管理する記憶装置(ストレージ)が必要になる。

 このようなデータセンタや携帯電話のストレージとして、フラッシュメモリ(注3)を記憶媒体とするSSD(注4)が幅広く使われている。フラッシュメモリは容量が大きい利点があるものの、書き換えが1ミリ秒(10-3秒)と遅いという問題がある。一方、ReRAM(注5)は100ナノ秒(10-9秒)と、フラッシュメモリの1万倍も高速に書き換えが可能という特徴があるが、多くの書き換えを繰り返すと、データを記憶するメモリセルが不良し、記憶したデータが破壊されるという問題があった。

 今回、機械学習(注6)のアルゴリズム(図1)を用いて、ReRAMのメモリセルの疲労を予測し、完全に誤動作してしまう不良のメモリセル(ハードエラー)と、誤動作した後に書き換えると正常動作に復帰するメモリセル(ソフトエラー)を判別する方法を開発した(図2)。その結果、将来、不良になるメモリセル(ハードエラー)を事前に予測することが可能になった(図3)。そして、実際に不良が起こる前に、不良になるメモリセルを正常なメモリセルに置き換えることで、不良を未然に封じ込めることに成功。この技術により、ReRAMの寿命(書き換え可能な回数)を従来の13倍に延命することに成功した(図4)。

 ReRAMを携帯端末や車、データセンタのストレージとして使うことで、高速かつ高信頼にデータを記憶、処理することが可能になり、自動運転、インダストリ4.0などの高速でリアルタイムな応答ができるサービスが実現することが期待される。

◆研究について
【研究者】
 竹内 健 中央大学理工学部 教授(電気電子情報通信工学科)
【発表(雑誌・学会)】
 本研究成果は、2015年5月17日から20日(米国西部時間)に米国・モントレーで開催された「International Memory Workshop(IMW)」で発表された。
論文名:Machine Learning Prediction for 13× Endurance Enhancement in ReRAM SSD System”

●用語解説
注1)IoT(Internet of Things)
 モノのインターネットと呼ばれるように、人間だけでなく、機器同士、機器と人間の間でさまざまなデータをやり取りすることで、医療、農業、流通、交通、電力網の効率を高める。

注2)インダストリ4.0
 高速に動くモーターを周囲の環境に合わせて最適に調整することで、製造の効率(歩留まり)を高める。

注3)フラッシュメモリ
 データの一括消去を特徴とする、電気的にデータの読み書きが可能で、電源を切ってもデータが消えない半導体記憶装置。

注4)ソリッド・ステート・ドライブ(SSD)
 SSDは記憶媒体としてフラッシュメモリを用いるドライブ装置で、ハードディスクの代替としてスマートフォン、パソコンやデータセンタのストレージなどとして広く利用されている。機械的に駆動する部品がないため、高速に読み書きでき、消費電力も少なく衝撃にも強くなる。このため、頻繁にアクセスされるプログラムやデータをSSDに保存する用途で現在幅広く使われている。

注5)抵抗変化型メモリ(ReRAM)
 電圧を加えることで抵抗値が変化する材料を素子として用いた次世代の半導体メモリ。ReRAMは電源を落としてもデータを保持できる不揮発性の新しいメモリで、データの読み書きが高速で消費電力も少ないのが特長。

注6)機械学習
 データにもとづいてコンピュータが解析し、データから有用なルール、規則性、知識などを抽出し判断を行う技術。

▼研究に関する問い合わせ先
 竹内 健 (タケウチ ケン) 
 中央大学理工学部 教授(電気電子情報通信工学科)
 TEL: 03-3817-7374
 E-mail: takeuchi@takeuchi-lab.org

▼広報に関する問い合わせ先
 加藤 裕幹  (カトウ ユウキ)
 中央大学 研究支援室 
 TEL: 03-3817-1603
 FAX: 03-3817-1677
 E-mail: k-shien@tamajs.chuo-u.ac.jp

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