ノークリサーチ Quarterly Report 2015年 冬版

株式会社ノークリサーチは中堅・中小市場における2014年秋のIT投資に関する定点観測調査を行った。

人口動態を踏まえつつ、企業としてのIT活用意向の把握に努めることが大切
▼経常利益DIは2.8、IT投資DIは3.1へと小幅な改善、消費税率8%改正や円安の影響が存続
▼小規模企業は依然厳しい状況、短期の業種別では流通業(運輸業)と組立製造業が有望
▼地域格差は業種も含めて考える、「規模と距離の制約」がなくなる将来にも備えるべき

PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2015年2月3日

ノークリサーチ Quarterly Report 2015年 冬版

調査設計/分析/執筆: 岩上由高

2015年冬の中堅・中小企業のIT投資指標


株式会社ノークリサーチ(本社〒120-0034 東京都足立区千住1-4-1 東京芸術センター1705:代表伊嶋謙ニ 03-5244-6691 URL:http//www.norkresearch.co.jp)は中堅・中小市場における2014年秋のIT投資に関する定点観測調査を行った。(定点観測調査は4月/7月/10月/1月の年4回実施)本リリースは「ノークリサーチQuarterly Report 2015年冬版」のダイジェスト(サンプル)である。
※「ノークリサーチQuarterly Report 2015年冬版」の詳細については本リリースの末尾を参照
調査対象企業: 年商500億円未満の国内民間企業1000社の経営層/管理職/社員
調査対象地域: 日本全国
調査対象業種: 組立製造業/加工製造業/建設業/流通業/卸売業/小売業/IT関連サービス業/サービス業
調査実施時期: 2015年1月


人口動態を踏まえつつ、企業としてのIT活用意向の把握に努めることが大切
▼経常利益DIは2.8、IT投資DIは3.1へと小幅な改善、消費税率8%改正や円安の影響が存続
▼小規模企業は依然厳しい状況、短期の業種別では流通業(運輸業)と組立製造業が有望
▼地域格差は業種も含めて考える、「規模と距離の制約」がなくなる将来にも備えるべき


▼経常利益DIは2.8、IT投資DIは3.1へと小幅な改善、消費税率8%改正や円安の影響が存続
以下のグラフは年商500億円未満の中堅・中小企業全体におけるIT投資DIと経常利益DIの変化をプロットしたものである。
[IT投資DIの定義]
今四半期以降のIT投資予算額が前四半期と比べてどれだけ増減するかを尋ね、「増える」と「減る」の差によって算出した
「IT投資意欲指数」を指す。2015年1月時点のIT投資DIは2014年10月~2014年12月と比べた時の2015年1月以降のIT投資意向を示す「先行指数」である。(IT投資の「実績値」ではなく、投資意向を反映した「見込み値」である点に注意)
[経常利益DIの定義]
前回調査時点と今回調査時点を比較した場合の経常利益変化を尋ね、「増えた」と「減った」の差によって算出した「経常利益増減指数」 を指す。2015年1月時点での値は2014年10月時点と比較した場合の経常利益増減の実績値となる。
2015年1月時点のDI値は2014年10月時点と比較して、IT投資DIが1.2から3.1へ1.9ポイントの改善、経常利益DIが0.5から2.8へと2.3ポイントの改善となった。ただし、経常利益の減少理由として消費税率8%改正や円安による原材料高を挙げる回答割合は減っておらず、これらの影響がまだ存続しているものと考えられる。また次頁以降で示すように年商別、業種別、所在地別で見た場合に留意すべき事項も幾つかあり、様々な企業属性を踏まえたアプローチが重要となってくる。

▼小規模企業は依然厳しい状況、短期の業種別では流通業(運輸業)と組立製造業が有望
以下のグラフはIT投資DIの変化を業種別および年商別にプロットした結果である。
年商5億円以上の企業層ではIT投資DI値が横ばいまたは改善している一方、年商5億円未満の小規模企業層では依然としてDI値がマイナスであり、前四半期と比べ5.5ポイント下落している。このダイジェストではグラフは省略するが、同年商帯における経常利益DIの実績値と見込み値は共に改善しているため、2015年4月の次回調査ではIT投資DIも改善に向かうことが期待される。ただし、IT投資を減らす理由として「景気が本当に回復するかをもう少し見極めたい」といった回答も約2割あるなど、IT投資に対しては引き続き慎重な姿勢である点に注意する必要がある。
業種別IT投資DIでは流通業(運輸業)で25.9ポイントおよび組立製造業で8.3ポイントの改善、IT関連サービス業で9.1ポイントの下落である点を除き、いずれの業種も±5ポイント未満の小幅な変化となっている。流通業は人材不足などに起因する需給の逼迫が続いているものの、原油価格の下落などによって経常利益DIは改善している。また、IT投資を増やす理由として「エコドライブ」に代表される業界の取り組みを挙げる割合も3割弱に達している。経常利益DIの見込み値は2015年1月時点より低い値であるため、エコドライブなどに関連するIT活用提案を検討している場合には早めにアプローチした方が良いと考えられる。組立製造業におけるIT投資を増やす理由としては「製品/サービスの開発にITが必要である」という回答が約3割存在し、競争力を高めようとする一部の企業がDI値を牽引している状況といえる。IT関連サービス業については経常利益DI値は改善しているものの、2014年4月の消費税率8%改正やWindows XPサポート終了に続く大きな需要がすぐに見込めないことから、自らのIT投資に慎重になっているものと考えられる。だが、2015年後半に向けてはマイナンバー制度やストレスチェック義務化などの新たな法制度も控えており、それに伴うIT関連サービス業の動きも活発になると予想される。

▼地域格差は業種も含めて考える、「規模と距離の制約」がなくなる将来にも備えるべき
年商および業種に加えて、中堅・中小企業のIT投資動向を俯瞰する上で重要な属性が「所在地(地域)」である。大都市への人口集中などにより、「企業のIT活用においても地域格差が広がっているのではないか?」といった質問をいただく機会も増えている。企業を構成するものがヒトである以上、人口動態の変化は中堅・中小企業のIT投資動向にも影響する。しかし、販社/SIerによるIT活用提案の対象は一定以上の規模を持った「企業」であり、そうした企業が減少しつつある傾向は地方だけとは限らない。そのため、「大都市に人口が集中する一方で、今後消滅する可能性のある自治体が900弱に達する」といった人口動態に関する議論と、現時点で存続している中堅・中小企業のIT投資意向をどう捉えるべきか?は区別して捉えておく必要がある。
以下のグラフは年商5億円以上~500億円未満の中堅・中小企業における今回のDI値を首都圏を含む「関東地方」、名古屋を中心とする「中部地方」、大阪を中心とする「近畿地方」、および「その他」に大別してプロットしたものである。経常利益DIでは関東地方が突出しているが、IT投資DIの差はそれほど大きくなっていない。つまり、IT投資意向という尺度で見た場合には「地域毎の企業業績」が示す傾向とは必ずしも一致するわけではない点に注意する必要がある。
一方、クラウドに代表される新たなIT活用基盤は小規模な販社/SIerに対し、大手IT企業と同等のITインフラを提案し、遠隔の顧客をサポートする能力を与える役割も果たす。つまり、IT企業側では「規模と距離の制約」が徐々になくなっていく可能性がある。すると「各地に散在するIT活用意識の高い中堅・中小企業」を幅広く顧客にするといった取り組みも実現できる可能性が出てくる。「地方の中堅・中小企業は地場のIT企業が支える」という従来の枠組みに固執しない新たな視点を検討してみる価値があると考えられる。
「所在地(地域)」を踏まえたIT活用提案を行う際に極めて重要な点が、「業種」の観点を含めるということだ。例えば、地域Aは製造業が8割を占め、逆に地域Bはサービス業が8割を占めていたとしよう。両地域のIT投資意向に大きな差が生じた時、その要因は「所在地(地域)」だけでは説明がつかないはずだ。このように「業種」の観点を加えることの重要性を示す例が以下のグラフである。これは上記のグラフを「サービス業(IT以外)」に限定してプロットしたものだ。まず、「その他」の地域におけるIT投資DIがマイナスになっている。サービス業はヒトを主な対象とすることから、人口動態における変化がIT投資意向にも影響を与えやすいと捉えることができる。
一方で、中部地方では経常利益DIと比べてIT投資DIの値が高いが(= 業績が良くない場合でもIT投資に取り組むケースがある)、近畿地方では逆になっている(= 業績が良いにも関わらず、IT投資に対して慎重または消極的なケースがある)。サービス業は他の業種の影響も受けやすい。この場合、組立製造業が底堅い中部地方ではサービス業も今後のIT投資に積極的になりやすいが、近畿地方では小売業の経常利益DIが下落しており、それがサービス業におけるIT投資意向にも影響しているなどの要因が推測される。
ここでの考察はDI値に基づいた「IT投資意向」を扱ったものであり、IT投資における金額規模とは異なる点に注意する必要がある。
だが、少なくとも「所在地(地域)」という属性で中堅・中小企業のIT活用を考える際は人口動態の傾向を単に当てはめるのではなく、「業種」という観点も絡めて捉えるべきといえるだろう。それと同時に、ITを提供する側にとっては「規模と距離の制約」がなくなりつつある。逆説的ではあるが、距離や規模の違いによって維持できていた地域の商圏(=既存顧客)という意味での「地域格差」が今後は失われていく可能性もゼロではない。 「所在地(地域)」に関する議論は大都市圏と地方の対立軸として論じられがちだが、IT企業が自らの商圏を維持/拡大するためには何が必要か?という視点に立ち、クラウドなどがもたらす影響や業種との兼ね合いといった様々な視点で捉えることが重要である。


「ノークリサーチQuarterly Report 2015年冬版」のご案内

本リリースの元になっている「ノークリサーチQuarterly Report2014年秋版」の概要は以下の通りである。
サンプル件数: 1000件(有効回答件数)
サンプル属性区分:
年商: 5億円未満 / 5億円以上~50億円未満 / 50億円以上~100億円未満 / 100億円以上~300億円未満 / 30億円以上~500億円未満
職責: 以下のいずれかに当てはまる職責の経営層または社員のみを抽出
・企業の経営に関わる立場であり、IT関連投資の決裁を下す立場
・企業の経営に関わる立場であるが、IT関連投資の決裁には直接関わらない立場
・ITの導入/選定/運用作業に関わり、社内の経営層に対する提案も行う立場
・ITの導入/選定/運用作業に関わるが、社内の経営層に対する提案は行わない立場
業種: 組立製造業 / 加工製造業 / 流通業(運輸業) / 建設業 / 卸売業 / 小売業 / IT関連サービス業 / サービス業
地域: 北海道地方 / 東北地方 / 関東地方 / 北陸地方 / 中部地方 / 近畿地方 / 中国地方 / 四国地方 / 九州・沖縄地方
※上記の各属性に加えて、「従業員数」と「IT管理人員体制(IT管理/運用を担う人材が専任か兼任かなど)」を軸とした集計データを収録
設問項目:
[Q1系列]経常利益の増減とその要因
Q1-1.2014年10月時点と2015年1月時点を比較した場合の貴社の業績(経常利益)の変化
Q1-2.2014年10月時点と2015年1月時点を比較した場合に貴社の経常利益がプラスとなった要因(いくつでも)
Q1-3.2014年10月時点と2015年1月時点を比較した場合に貴社の経常利益がマイナスとなった要因(いくつでも)
Q1-4.2014年10月~2014年12月と比較した場合の2015年1月以降の貴社の業績(経常利益)の見通し
[Q2系列]IT投資の増減とその要因
Q2-1.2015年1月以降の貴社のIT投資額を2014年10月~2014年12月と比較した場合の増減
Q2-2.2015年1月以降の貴社のIT投資額を2014年10月~2014年12月と比較した場合に増える理由(いくつでも)
Q2-3.2015年1月以降の貴社のIT投資額を2014年10月~2014年12月と比較した場合に減る理由(いくつでも)
内容物:
分析サマリ(pdf形式) 分析の要点を記載したドキュメント(※1)
集計データ(Microsoft Excel形式)(※2)
※1 分析サマリには年商別と業種別のそれぞれについて、各区分の経常利益増減理由およびIT投資増減理由に関する分析コメントが含まれる。
※2 上記の「設問項目」の結果を「サンプル属性区分」に記載した各属性を軸として集計したデータ。(右下に掲載した例を参照)
価格: 150,000円(税別)(CD-ROM版のみ)
備考:
本レポートは四半期毎(1月、4月、7月、10月)に実施しているIT投資意向に関する調査結果のうちで、2015年1月実施分のデータとなります。
また、それぞれのIT分野に関する詳細なレポートについては次頁の案内をご参照ください。

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以下のホームページよりお申込みができます。
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または
inform@norkresearch.co.jp
宛にメールにてご連絡ください


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株式会社 ノークリサーチ 調査設計、分析、執筆:岩上由高
東京都足立区千住1-4-1東京芸術センター1705
TEL 03-5244-6691 FAX 03-5244-6692
inform@norkresearch.co.jp
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お問い合わせにつきましては発表元企業までお願いいたします。

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