◎においや目の検査からアルツハイマー病の早期発見の可能性 AAIC 2014で発表

Alzheimer's Association 2014年07月16日 15時45分
From 共同通信PRワイヤー

◎においや目の検査からアルツハイマー病の早期発見の可能性 AAIC 2014で発表

AsiaNet 57325
共同JBN 0773 (2014.7.16)

【コペンハーベン(デンマーク)2014年7月16日PRN=共同JBN】コペンハーゲンのAlzheimer's Association International Conference 2014 (AAIC=登録商標=国際アルツハイマー病会議)で報告された新しい研究は、アルツハイマー病と認知症研究のさまざまな側面をカバーしている。早期発見、診断、リスク要因の識別、可能なリスク軽減戦略や高齢者に対する初めての多角的なライフスタイル変更に関する長期的臨床実験などのデータが含まれている。

AAIC 2014ではまた、アルツハイマー病の基本的な脳科学に関する新情報、認知症の新しい症例傾向、アルツハイマー病患者の全体数、アルツハイマー病患者に対する白内障手術の多角的恩恵、アルツハイマー病予防治験にかかわる医薬に関する追加データが発表された。

AAICは最新のアルツハイマー病、認知症研究について報告、討議する特別な年次フォーラムである。AAIC 2014は、世界を認知症科学の現状打破に近づけながら、世界75カ国から約4000人の主導的な専門家、研究者が集まり、1700以上の科学的発表があった。

▽においと目の検査によるアルツハイマー病早期発見の可能性
AAIC 2014で発表された2つの報告は、においを正確に識別できないことが認知機能障害とアルツハイマー病の進展を示唆する可能性を立証している。におい識別試験、認知力試験、脳のサイズを中心に215人の高齢者を調べた研究者は、脳細胞機能の喪失、記憶力減退がにおいの識別能力と関連していることを発見した。また、複数の民族からなる757人を調べた第2の研究では、においの識別能力欠陥が記憶力、思考力の軽度かつ顕著で測定可能な減退である軽度認知機能障害(MCI)からアルツハイマー病に進展するリスク増大と関連していることを発見した。この対象者は匂い識別試験の結果が1ポイント下がるたびに、アルツハイマー病のリスクが約10%増加した。

▽アルツハイマー病を目の検査から探知しうる2つの研究
研究対象となった200人のうち40人から得られた発見に基づく初期の研究結果は、アルツハイマー病患者の脳内プラークの主要成分であるベータアミロイド・タンパク質のレベルと、網膜内のレベルに密接な関係があることを示唆している。研究参加者にはベータアミロイド・タンパク質と結合し、蛍光特性を持つ最新の画像撮影技術で網膜のアミロイド・プラークを検知できるようにするクルクミンを含んだ特製サプリメントを与えられた。別の研究では、研究者は20人のアルツハイマー病を持つ人とアルツハイマー病でない20人を対象に、水晶体のベータアミロイド・タンパク質のレベルを測定する新しいレーザースキャン・システムを使用した。対象者のアルツハイマー病進捗状況を知らない科学者は、水晶体のアミロイドのレベルと脳のポジトロン断層法(PET)スキャンで測定したアミロイド・プラークのレベルを比較した。その結果、アルツハイマー病を持つ人と持たない人の違いを正確に検出することができた。

▽脳内タウタンパクPET画像を利用した最大級の研究はスキャンの認知症早期発見能力があることを示唆
脳内の異常タウタンパクの「もつれ」の存在はアルツハイマー病の明確な特徴のひとつである。このタンパクが異常になると、脳細胞の中にねじれた線維変化が生じて脳細胞を死滅させる。正常な高齢者52人を対照にした研究(現時点で最大級の研究)で、研究者は脳領域数カ所のタウの蓄積が記憶減衰と密接な関係があることを見つけた。新開発のPETスキャン技術を使って一般人の脳内にあるタウを「観察」することによって、科学者は記憶にとって重要な脳領域にあるタウの蓄積が高水準に進んだ研究対象者が3年間の記憶テストで悪い結果を示したことを突き止めた。Alzheimer's Association(アルツハイマー病協会)は、この研究結果は認知症早期発見とアルツハイマー病・認知症調査研究の対象者を特定するうえでタウPETスキャンの潜在的価値を実証したとみている。

▽ライフスタイルの診療行為は中年および高齢者の記憶と思考を向上させる可能性がある
フィンランドで2年間にわたり行われた無作為抽出の対象臨床試験で、ライフスタイル要因をさまざまに変化させた構造プログラムが認知機能障害やアルツハイマー病のリスクを背負った高齢者の記憶と思考を改善させることが初めて実証された。臨床試験を受けた60歳から77歳までの高齢者1260人は2つのグループに分けられた。最初のグループは栄養指導、運動、認知トレーニング、社会活動、心臓健康のリスク要因管理などを含む診療を受け、もう1つの対象グループは通常の健康アドバイスだけを受けた。2年後、診療を受けたグループは記憶および思考の総合的な評価と記憶と実行機能(計画、判断、問題解決など)で有意の優秀性を示した。

これとは別に、遺伝性素因ないしは両親のアルツハイマー病歴がある正常認知の中年成人329人を対象に行われた米国での調査では、中年の段階で精神的刺激を受ける活動に参加することがアルツハイマー病や認知症の進展を高齢期になっても防ぐことに有効であることが実証された。研究者は読書や美術館通いなどの活動を頻繁に行うと自己報告した調査対象者、とりわけパズルやトランプ遊びなどのゲームをすると報告した調査対象者は、計画、判断、問題解決などの記憶と思考の設問で高いテスト成績を上げた。彼らはアルツハイマー病に関係する脳領域数カ所がより大きかった。

▽認知症のリスク軽減につながる中年および高齢での運動
AAIC 2014で報告された2つの調査は、定期的な運動がアルツハイマー病やその他の認知症のリスクを軽減する可能性がある証拠を提示した。そのうちの1つの調査では、平均81歳の米国人成人280人は生活上の運動の頻度と度合いについての質問に答えた。対象者を約3年間観察した結果、研究者は中年の段階で適度な運動歴があることは軽度認識障害(MCI)のリスク軽減に有意に関連することを見つけた。2番目の調査では、研究者は正常認知の成人1830人を対象に運動の頻度と度合いを調査した。研究者は中年および高齢段階での軽度な運動がMCIリスクの軽減をもたらし、中年段階での積極的な運動と高齢段階での軽度な運動もリスク軽減につながることを発見した。Alzheimer's Associationは一生を通じて脳の健康を保つことを薦める。その秘訣と最新研究はウェブサイトalz.orgで参照を。

▽後期発症の高血圧は認知症を防ぐ可能性がある
中年の高血圧症はアルツハイマー病やその他の認知症のリスクを増大させる可能性があるが、高血圧症と認知症リスクとの関連が時間とともに変化し、高血圧症はむしろ90歳以上では認知症の防止に役立つ可能性があるとの新たな証拠が出現した。研究者は最長10年間認知症を患っていない米国人の成人625人を調査した結果、80歳から89歳の段階で高血圧症にかかった人は高血圧症歴がない調査対象者に比べて認知症にかかるリスクが低いことが有意であることを見つけた。90歳以後に高血圧症にかかった人は認知症リスクがさらに低下する。

▽白内障手術は視覚だけでなく認知および生活の質(QoL)も向上させる
米国で少数を対象にした臨床試験はアルツハイマー病やその他の認知症を患う人が白内障手術を受けると、視覚を改善するだけでなく認知減衰を遅効させ、患者と介護人双方の生活の質を向上させることが分かった。初期分析によると、白内障除去手術を受けた調査対象者20人は、同手術を受けていない調査対象者8人に比べ視覚と生活の質に有意な向上がみられた。さらに、手術を受けた人は計画、判断、問題解決に関する記憶と精神的作業の減退が軽減したことに加え、行動測定の向上も経験した。手術を受けたグループの介護人の負担レベルも改善された。Alzheimer's Associationは、医療とその決断の選択は事前指示の実行を通じて白内障の初期段階で講じることを推奨する。

▽介護人への精神的な診療は不安と苦悩を和らげる可能性がある
英国での無作為抽出の対象臨床試験で、認知症患者を抱える家族介護人の精神的支援プログラムは介護人の不安と苦悩の緩和で有意性を示し、その影響は2年間継続したことが分かった。この臨床試験で、家族介護人260人は2つのグループに分けられた。1つのグループは標準的なケアを受け、もう1つのグループは認知症、介護人のストレス、感情的なサポートを受ける場所に関する知識を含む8つのセッションから成る診療を受けた。8つのセッション診療を受けた介護人は苦悩、不安、ケアコストの測定で有意性がある良好な結果を示した。研究者は、この診療は介護人がその役割を長く続けることに役立ち、一貫したケアを提供でき、認知症患者を介護施設に入れることを遅らせる可能性があると指摘した。Alzheimer's Associationは介護人が自分自身を守り、支援を求めることが極めて重要であると考えている。詳細はウェブサイトalz.orgを参照。

▽糖尿病の薬が認知症リスク軽減につながる
アルツハイマー病やその他の認知症を患っていない60歳以上のドイツ人の大規模データベースの調査によると、糖尿病の薬ピオグリタゾンの長期服用は認知症の発症を軽減する可能性があることが判明した。研究者はAAIC 2014で、6年以上にわたり14万5712の対象を調査した研究を発表した。その結果、ピオグリタゾン服用が認知症リスク軽減に有意に関連していることを示した。研究者は考えられる1つの理論として、この薬に神経炎症を抑制する能力があることを挙げている。

▽アルツハイマー患者の脳内で見つかったもう1つの異常タンパクTDP-43
研究者はTDP-43として知られる異常タンパクが、これまでに見つかっている2種類のタンパクとともに、アルツハイマー病で重要な役割を演じている可能性があることを突き止めた。研究者は死後にアルツハイマー病に関連する変化が認められた342人を対象にTDP-43の存在、量、分布を調査した。その半数以上の脳にTDP-43が認められた。さらにTDP-43を持つ人は、それがなかった人に比べ死亡の際に認知障害を起こしていた10倍の可能性があった。科学者は、TDP-43は一部の人が脳内にアルツハイマー病の変化があるものの認知症を発症しない理由の説明に役立つのではないかと考えている。アルツハイマー病をより深く知るための基本研究に資金を注ぎ込み、それを初期段階の治療に提供することは極めて重要である。Alzheimer's Associationはアルツハイマー病研究で世界をリードする非営利の資金提供組織である。

▽Alzheimer's Association International Conference(AAIC)について
Alzheimer's Association International Conference(AAIC)はこの種の会議では世界最大で、世界中の研究者が集まってアルツハイマー病と関連の認知症を中心に報告、討議を行っている。Alzheimer's Associationの研究プロジェクトの一環としてAAICは、認知症についての新たな知識の創出し、生命に関する共同コミュニティーを育成する触媒の役割を果たしている。研究の進展を主導して進める科学者たちは、アルツハイマー病と関連する疾患の原因、診断、治療、防止に関する最新のデータを報告、話し合うためこの会議に参集する。

▽Alzheimer's Associationについて
Alzheimer's Associationはアルツハイマー病のケア、サポート、研究の世界で有力なボランティアの健康組織である。その使命は研究の前進を通じてアルツハイマー病を根絶し、すべての患者にケア、サポートを提供、強化し、脳の健康促進を通じて認知症のリスクを減らすことである。同協会のビジョンはアルツハイマー病のない世界の実現である。詳しい情報はウェブサイト(www.alz.org)を参照、または電話(800-272-3900)で。

このリリースに含まれる個別の事象についてはウェブサイトwww.alz.org/aaic/press.aspを参照するか、電話(312) 335-4078で問い合わせを。これらの情報は7月16日までに提供され、発表差し止めが解禁された。

ソース:Alzheimer's Association

▽問い合わせ先
Alzheimer's Association(R) media line
+1-312-335-4078
media@alz.org

AAIC 2014 press room, July 13-17
+45 32 47 28 18

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お問い合わせにつきましては発表元企業までお願いいたします。

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