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世界初!性転換しない魚を性転換させることに成功

一般財団法人沖縄美ら島財団 2013年11月07日 16時05分
From 共同通信PRワイヤー

2013年11月7日

沖縄美ら島財団

世界初!性転換しない魚を性転換させることに成功!
中村参与らの研究グループ、雌雄異体の脊椎動物で
成熟した卵巣を精巣に換えることに成功

 一般財団法人 沖縄美ら島財団 総合研究センター(沖縄県本部町)の中村將参与と愛媛大学南予水産研究センターの長濱嘉孝教授らの研究グループは、魚の性の可塑性(性転換)に関する研究で、雌雄異体(本来は性転換しない)の脊椎動物において、成熟した卵巣を精巣に換えることに世界で初めて成功しました。本研究の成果は英国Nature Groupのオープンアクセス科学雑誌『Scientific Reports』10月7日号に掲載されました。

■発表雑誌■
雑誌名:Scientific Reports
論文名:Estrogen oversees the maintenance of the female genetic program in terminally
differentiated gonochorists
著者名:一般財団法人沖縄美ら島財団 中村將参与、愛媛大学南予水産研究センター 長濱嘉孝教授、他
掲載日:2013年10月7日(英国日付)

■ポイント■
●成熟したティラピアとメダカの雌に女性ホルモンの生成を抑える阻害剤を長期に渡り投与したところ、卵巣中に精子を作る精巣が現れ、精巣に置き換わることを確認した。
●少なくとも硬骨魚類の卵巣中には、卵にも精巣にもなれる生殖幹細胞が一生存在するものと考えられる。
●女性ホルモンが低下すると生殖幹細胞が精子形成へと進行するものと考えられる。


<研究の背景>
 これまで雌雄異体の脊椎動物では成熟した卵巣を精巣へと転換させることは不可能と考えられてきました。魚には雌から雄へ、雄から雌へ性転換する種類が一部存在しますが、一生性が決まっている魚種を人為的に性転換させた事例はありませんでした。
 中村参与らの研究グループは、このような魚の性決定のしくみを10年以上にわたり研究してきました。魚の性決定のしくみを明らかにすることは、魚を繁殖させたり、養殖したりする場合の雌雄の産み分けにおいて重要であるからです。

<研究成果の概要>
 研究は、ティラピアとメダカを用いて実施しました。成熟した2種の雌に女性ホルモンの生成を抑えるアロマターゼ阻害剤(AI)を1日2~3回、餌に加えて長期間投与し、体内で作られている女性ホルモンを出来なくしました。すると卵巣中に精巣が現れ、ティラピアでおよそ6ヶ月、メダカで2ヶ月後に精巣に置き換わることを確認しました。これは、雌雄異体の脊椎動物の成熟個体を性転換させることに成功した初めての例です。
 さらに、雌から雄へ転換した精巣は機能し、子供を作る精子を産出することも分かりました。精巣中の精子は運動性を有して卵と受精し、産まれてきた子供は全て雌でした。
 このことから、少なくとも硬骨魚の卵巣中には卵にも精子にもなれる生殖幹細胞が一生存在するものと考えられます。また、成熟卵巣の維持には女性ホルモンが不可欠であり、卵巣での女性ホルモンが著しく低下すると生殖幹細胞が精子形成へと進行するものと考えられます。

<今後の展望>
 ティラピアとメダカ以外の魚種においても現在確認が進んでおり、多くの魚で雌を雄に換えることは可能であるとする研究成果も出ています。また、今回の研究成果は、魚類以上の高等な脊椎動物についても卵巣から精巣へ転換できる可能性を示唆しており、国内外の研究者から関心が寄せられています。
 これらの研究が今後も進めば、卵や卵巣を食用とする魚や、雌よりも雄の体が大きく利用価値のある魚などの養殖技術に応用できるほか、希少種の保存にも貢献できると期待しています。

※本研究は独立行政法人科学技術振興機構による戦略的創造研究推進事業発展研究(SORST)の支援を受けて行っています。


■研究者プロフィール■
中村將(なかむら まさる):
1971年北海道大学水産学部増殖学科卒業、1978年同大学水産学博士学位取得。2000年琉球大学教授(熱帯生物圏研究センター)、2006年に同センターのセンター長に就任。2012年琉球大学名誉教授、(財)海洋博覧会記念公園管理財団(現在は一般財団法人 沖縄美ら島財団に名称変更)参与に就任。

長濱嘉孝(ながはま よしたか):
1966年北海道大学水産学部増殖学科卒業、1971年同大学院博士課程修了。1972年カリフォルニア大学バークレー校動物学科博士研究員。1974年ブリティッシュコロンビア大学動物学科博士研究員。1977年生物科学総合研究機構基礎生物学研究所助教授、1986年教授。2004年自然科学研究機構基礎生物学研究所副所長、2008年特任教授。2011年愛媛大学社会連携推進機構南予水産研究センター教授。



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