2013年中堅・中小企業における「CRM」の利用実態とユーザ評価

ノークリサーチは2013年の国内中堅・中小市場における「CRM」の利用実態およびユーザ評価に関する調査を実施し、その分析結果を発表した。

<「システム/サービス連携」と「モバイル活用シナリオ」が僅差のシェア争いを左右する>
■導入社数シェアは僅差で変動しやすい状況、2013年はセールスフォース・ドットコムが首位
■スマートデバイス活用では顧客や消費者が所有する端末も含めた利用シーン策定が重要
■他システム連携を重視する傾向が強く、PaaSやシステム開発基盤との連携の訴求が有効
■ SaaS形態についてはソーシャルサービス連携などのコスト削減以外のメリット訴求が大切

PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2013年10月2日

2013年中堅・中小企業における「CRM」の利用実態とユーザ評価

調査設計/分析/執筆: 岩上由高


ノークリサーチ(本社〒120-0034 東京都足立区千住1-4-1東京芸術センター1705:代表:伊嶋謙ニ TEL:03-5244-6691URL:http//www.norkresearch.co.jp)は2013年の国内中堅・中小市場における「CRM」の利用実態およびユーザ評価に関する調査を実施し、その分析結果を発表した。本リリースは「2013年版中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」の「CRM」カテゴリに関するサンプルおよびダイジェストである。


<「システム/サービス連携」と「モバイル活用シナリオ」が僅差のシェア争いを左右する>
■導入社数シェアは僅差で変動しやすい状況、2013年はセールスフォース・ドットコムが首位
■スマートデバイス活用では顧客や消費者が所有する端末も含めた利用シーン策定が重要
■他システム連携を重視する傾向が強く、PaaSやシステム開発基盤との連携の訴求が有効
■ SaaS形態についてはソーシャルサービス連携などのコスト削減以外のメリット訴求が大切


対象企業: 日本全国/全業種の500億円未満の中堅・中小企業
対象職責: 以下のいずれかの権限を持つ社員
「情報システムの導入や運用/管理の作業を担当している」
「情報システムに関する製品/サービスの選定または決裁の権限を有している」
調査実施時期: 2013年7月
有効回答件数: 1400社(有効回答件数) ※調査対象の詳しい情報については右記URLを参照 リンク


■導入社数シェアは僅差で変動しやすい状況、2013年はセールスフォース・ドットコムが首位
以下のグラフは年商500億円未満かつCRMを導入済みの中堅・中小企業に対し、「導入済みの製品/サービスのうち最も主要なもの」を尋ねた結果(導入社数ベースのシェア)である。
※ここでの「CRM」の定義および調査実施に選択肢として挙げた製品/サービスの一覧は本リリースの末尾を参照
CRMは多様な製品/サービスがシェアを少しずつ分け合う状態が続いており、シェアの順位が頻繁に変動しやすい分野でもある。社数ベースでの導入シェア1位~3位は2012年には「SMILEシリーズ」「Salesforce CRM / Sales Cloud / Service Cloud」「顧客創造日報シリーズ」の順となっていた。これが2013年には「Salesforce CRM / Sales Cloud / Service Cloud」「Microsoft Dynamics CRM」「弥生顧客」の順となっている。シェア上位となる製品/サービスは大きく変わっているが、各製品/サービスのシェア数値そのものが小さく、また互いの差もわずかであるため、製品/サービスの勢力図そのものが大きく変化したわけではない点に注意する必要がある。
本リリースは「2013年中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」のCRMカテゴリに関するサンプルおよびダイジェストという位置付けとなっている。以下では、上記レポートを「本レポート」と略記する。


■スマートデバイス活用では顧客や消費者が所有する端末も含めた利用シーン策定が重要
以下のグラフは「導入済みの製品/サービスのうち最も主要なもの」の端末環境を尋ねた結果である。
「スマートフォン」については2012年では9.5%、2013年では10.3%、「タブレット型端末」については2012年では8.4%、2013年では8.5%といずれも微増となった。CRMにおいては営業部門社員が社外での営業活動時にスマートデバイスから利用するといった「社内人材による利用」に加え、一般消費者にクーポンなどの販促情報を配布してフィードバックを得るなどといった「不特定多数による利用」もある。SFAを起点としたCRM活用においては前者、カスタマサポートを起点としたCRM活用では後者の活用シナリオと比較的結び付きやすい。さらに、カメラ/GPS/各種センサなどスマートデバイスの持つ「デバイス機能」を活用した新たな顧客サービスは従来のCRMの枠内に収まらない形で発展する兆しを見せてきている。「CRM」とスマートデバイスとの関係については、従来のCRM定義に固執しない観点からの実態把握と今後の展望に関する分析も必要になると考えられる。(この点は「中堅・中小企業におけるスマートフォン/タブレットの活用実態と展望レポート」でカバーする)


■他システム連携を重視する傾向が強く、PaaSやシステム開発基盤との連携の訴求が有効
以下のグラフはCRMの活用における今後の指針または重視事項を尋ねた結果である。
CRMは営業支援であれば販売管理システムとの連携(売上情報のやりとりなど)、案件管理であればスケジューラとの連携、顧客サポートであればメールとの連携といったように他の業務システムとの連携が必要となる場面が多い。そのため上記のグラフにおいてもシステム連携に関係する項目が多く挙げられていることがわかる。また、一時的なイベントやプロモーションで利用するシステムの基盤としても利用しやすいことから、「自社内で作成/運用する管理アプリケーションのベースとしての役割」を挙げる割合も3割弱存在していることがわかる。
売上改善という明確な投資対効果を課した状態でのCRM導入は難易度が高くなりやすい。そのため、CRMとしての活用に加えて、社内で一時的に活用するシステムの基盤としての役割も担わせることによって導入の敷居を下げるといった提案も考えられる。ただし、その場合はプログラミングを伴わずにフィールドの追加などが可能であり、本体に影響を与えずに簡易なロジックを追加できるような仕組みが必要となってくる。例えば「Salesforce CRM / Sales Cloud / Service Cloud」においてはPaaSである「Force.com」と組み合わせた活用も少なくない。PaaSのようなシステム開発基盤との併用は他システムとの連携という観点でも優位に働く。これはクラウド環境における例であるが、社内設置型のシステムにおいてもシステム開発基盤とCRMをうまく融合ないしは協調させるという取り組みを検討する価値があるものと考えられる。


■ SaaS形態についてはソーシャルサービス連携などのコスト削減以外のメリット訴求が大切
本レポートでは以下の8つの項目に関して、ユーザ企業に満足度/不満度を「大変満足」「まあまあ満足」「どちらでもない」「多少不満」「大変不満」「この項目は製品/サービスの評価に関係ない」の選択肢として尋ね、それらの結果を以下に示したポイント換算方法にて集計している。
「導入時の初期費用は妥当か」
個別カスタマイズやシステム構築/運用の作業を含まない製品/サービスのみの導入費用に関する評価
「導入後の保守/サポート費用は妥当か」
個別カスタマイズやシステム構築/運用の作業を含まない製品/サービスのみの維持費用に関する評価
「バージョンアップ時の費用負担は妥当か」
個別カスタマイズやシステム構築/運用の作業を含まない製品/サービスのみのバージョンアップ費用に関する評価
「機能が足りているか」
個別カスタマイズや他製品との組み合わせは除き、製品/サービス本体が持つ機能を対象とした場合の評価
「自社の要件に合致しているか」
個別カスタマイズやシステム構築/運用を含まない製品/サービス本体が持つ要件適合性を対象とした場合の評価
「他システムとの連携手段が整っているか」
データのインポート/エクスポートの手段が製品/サービス本体に備わっているかに関する評価
「プログラミングによる機能の追加/変更(カスタマイズ)がしやすいか」
プログラミングの追加/変更に必要なツールやドキュメントが揃っており、追加/変更した部分がバージョンアップ時に競合を起こさないか?といった観点における評価
「設定変更などプログラミングを伴わない形での機能の追加/変更がしやすいか」
製品/サービス本体が備える設定項目を変えることで機能変更ができる、または製品/サービス自身が入出力画面やデータ項目を追加/変更できるツールを備えているかといった観点における評価

【評価ポイント算出方法】
評価結果を「大変不満:-5ポイント」「多少不満:-3ポイント」「どちらでもない:0ポイント」「まあまあ満足:3ポイント」「大変満足:5ポイント」と重み付けし、ある評価項目「項目a」について、製品/サービスAの「大変不満」という回答件数 = H1、「多少不満」という回答件数 = H2、「どちらでもない」という回答件数 = H3、「まあまあ満足」という回答件数 = H4、「大変満足」という回答件数 = H1と定義した場合に、以下の計算式によって算出している。
Aの項目aに関する評価ポイント = ( H1×(-5) + H2×(-3) + H3×0 + H4×3 + H5×5) ÷ Aの項目aに関する回答件数合計(ただし各製品/サービスの利用件数自体が少ない場合には、その点に留意が必要である)

以下のグラフは「導入時の初期費用は妥当か」に関する評価項目について、社数ベースのシェア上位に位置する製品/サービスのユーザ企業による評価結果をプロットしたものである。(ただしCRMは導入件数自体が少ないため、ユーザ企業の一つの参考意見として留めておく必要がある)
SaaS形態においては初期導入時におけるライセンス費用が月額/年額利用という形で按分されるため、「導入時の初期仕様は妥当か」の評価は高くなると考えやすい。だが、以下のグラフが示すようにSaaS形態の評価が必ずしも高いわけではない点に注意する必要がある。依然として、ユーザ企業がSaaS形態のコスト削減効果に高い期待を抱いていることが大きな要因の一つと考えられる。ユーザ企業に対しては負荷やデータ量が急増した時でも対処が可能な点や各種のソーシャルサービスとの連携、PaaSとの併用といったコスト削減以外のメリットを総合的に訴求することが引き続き重要である。


■調査実施時に選択肢として挙げた製品/サービス一覧
本調査ではCRMを「営業支援システム(SFA)も含めた顧客情報を管理するアプリケーション」と定義している。導入社数シェア設問に掲載した選択肢は下記の通りである。これらの選択肢は過去の調査結果に基づいて、自由回答で多く挙げられたものは選択肢として新たに取り上げ、逆に一定期間以上シェア数値がないものは割愛するといった形で年毎に調整を行っている。

Oracle Fusion CRM 日本オラクル
Oracle Siebel CRM/Oracle CRM On Demand 日本オラクル
RightNowシリーズ 日本オラクル
SAP CRM SAPジャパン
Vantive 三井物産
BroadVision ブロードビジョン
eMplex エンプレックス
COMPANY CRMシリーズ ワークスアプリケーションズ
eセールスマネージャー ソフトブレーン
Microsoft Dynamics CRM 日本マイクロソフト
inspirXシリーズ バーチャレクス・コンサルティング
SMILE α 顧客管理 OSK(大塚商会)
SMILE ie CRM/SFA OSK(大塚商会)
SMILE BS CRM OSK(大塚商会)
顧客奉行21 OBC
PCA顧客 ピー・シー・エー
弥生顧客 弥生
顧客大臣NX/NX ERP 応研
顧客創造日報シリーズ NIコンサルティング
サイボウズメールワイズ(サイボウズ製グループウェアは除く) サイボウズ
サイボウズドットセールス(サイボウズ製グループウェアは除く) サイボウズ
desknet’s CAMS ネオジャパン
desknet’s SSS ネオジャパン
T-SQUARE 東芝ソリューション
BIG顧客管理シリーズ イリイ
リンクナレッジ 三三
コラボスCRM コラボス
コムチュアCRMセレクト コムチュア
戦略箱ADVANCED インフォファーム
ひびきSALES ドリーム・アーツ
ウェブハロー アシスト
BizBase アズベイス
NC営業サポートくん ニッセイコム
CIRCULATE CRM JFEシステムズ
ワンズ営業日報 ワンズファクトリー
Salesforce CRM / Sales Cloud / Service Cloud セールスフォース・ドットコム
Desk.com セールスフォース・ドットコム
GRIDY SFA / ナレッジスイート ブランドダイアログ
上記以外のパッケージ製品またはサービスグループウェアに付属する機能を利用
ERPを構成する機能モジュールの一つとして利用
独自開発システム(オープンソースをベースとしたもの)業務システム自体がオープンソースとなっている場合に相当
独自開発システム(ベースとなるものがない完全なスクラッチ開発)オープンソースのデータベースやアプリケーションサーバをベースに業務システム部分をゼロから構築した場合も含む


本リリースの元となっている「2013年版中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」の詳細は下記URLを参照
リンク

本データの無断引用・転載を禁じます。引用・転載をご希望の場合は下記をご参照の上、担当窓口にお問い合わせください。
引用・転載のポリシー: リンク

当調査データに関するお問い合わせ
株式会社 ノークリサーチ 担当:岩上 由高
東京都足立区千住1-4-1東京芸術センター1705
TEL 03-5244-6691 FAX 03-5244-6692
inform@norkresearch.co.jp
www.norkresearch.co.jp

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お問い合わせにつきましては発表元企業までお願いいたします。

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