2013年中堅・中小企業における「生産管理」の利用実態とユーザ評価

ノークリサーチは2013年の国内中堅・中小市場における「生産管理」の利用実態とユーザ評価に関する調査を実施し、その分析結果を発表した。

<重点事項は原価管理の精緻化、争点はスクラッチ開発や小規模ベンダが持つシェアの獲得>
■シェア上位3製品に変動はないが、小規模ベンダ製品が併用される領域は今後の注目点
■生産スケジューラによる効率化よりも、環境変化に即応できる原価管理の精緻化が重要
■パッケージが初期費用面の差別化を図るべきなのはオープンソースよりもスクラッチ開発

PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2013年9月18日

2013年中堅・中小企業における「生産管理」の利用実態とユーザ評価

調査設計/分析/執筆: 岩上由高


ノークリサーチ(本社〒120-0034 東京都足立区千住1-4-1東京芸術センター1705:代表:伊嶋謙ニ TEL:03-5244-6691URL:http//www.norkresearch.co.jp)は2013年の国内中堅・中小市場における「生産管理」の利用実態とユーザ評価に関する調査を実施し、その分析結果を発表した。本リリースは「2013年版中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」の「生産管理」カテゴリに関するサンプルおよびダイジェストである。


<重点事項は原価管理の精緻化、争点はスクラッチ開発や小規模ベンダが持つシェアの獲得>
■シェア上位3製品に変動はないが、小規模ベンダ製品が併用される領域は今後の注目点
■生産スケジューラによる効率化よりも、環境変化に即応できる原価管理の精緻化が重要
■パッケージが初期費用面の差別化を図るべきなのはオープンソースよりもスクラッチ開発


対象企業: 日本全国/全業種の500億円未満の中堅・中小企業
対象職責: 以下のいずれかの権限を持つ社員
「情報システムの導入や運用/管理の作業を担当している」
「情報システムに関する製品/サービスの選定または決裁の権限を有している」
調査実施時期: 2013年7月
有効回答件数: 1400社(有効回答件数) ※調査対象の詳しい情報については右記URLを参照 リンク


■シェア上位3製品に変動はないが、小規模ベンダ製品が併用される領域は今後の注目点
以下のグラフは年商500億円未満かつ生産管理を導入済みの中堅・中小企業に対して、「導入済みの製品/サービスのうち最も主要なもの」を尋ねた結果(導入社数ベースのシェア)である。
※「生産管理」の定義および調査実施に選択肢として挙げた製品/サービスの一覧は本リリースの末頁を参照
シェアの1位~3位は「GLOVIA smart製造(PRONES/MES/PROFOURSなど)」、「EXPLANNER/Jシリーズ」、「生産革新シリーズその他」で2012年の順位と変化はない。ただし、これら3製品の合計シェアは2012年では39.8%であったのに対し、2013年は35.2%とやや減少している。そのため、多数の製品/サービスでシェアを分け合う状態が進行しつつある可能性が考えられる。次頁以降では生産管理カテゴリにおける導入社数ベースでのシェアやユーザ企業による評価について詳しく述べている。
本リリースは「2013年中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」の生産管理カテゴリに関するサンプルおよびダイジェストという位置付けとなっている。以下では、上記レポートを「本レポート」と略記する。
以下のグラフは「導入済みの製品/サービス(いくつでも)」を尋ねた結果である。主要な製品/サービスを1つ回答する前頁の結果と比べてもシェア1位~3位の順位には違いが見られない。4位~5位についても、「OBIC7生産管理システム」と「SCAW生産管理システム/型番管理システム」は4位と5位で順位が入れ替わっているが、その差はごくわずかである。
一方で、複数の製品/サービスを回答する結果では「TECHS」のようにシェア上位と比べてやや規模の小さいベンダの製品/サービスが上位に入ってくる傾向が見られる。こうした小規模ベンダの製品/サービスが併用されている部分も今後のシェア獲得においては重要な焦点になると考えられる。


■生産スケジューラによる効率化よりも、環境変化に即応できる原価管理の精緻化が重要
以下のグラフは生産管理システムの活用における今後の指針または重視事項を尋ねた結果である。
2012年の結果と同様に「より精度の高い原価管理の実現」が最も多く挙げられており、収益を改善するための原価管理の精緻化が引き続いて中堅・中小企業における生産管理システムの最も大きな課題であることが確認できる。
一方、「生産スケジューラ(APS)の採用」は2012年の30.6%から2013年には19.7%に減少している。生産スケジューラは製造プロセスがある程度安定した状態において、そのプロセス遂行を効率化する際に効果を発揮するものといえる。だが、中堅・中小の製造業では製造プロセス自体が完全にシステム化されていないケースもある。さらに円安に起因する原材料や燃料の価格上昇によって、工場の操業時間を深夜にシフトして電気料金の節約に努めるといった不規則な対応を迫られる場面もある。
こうした点を踏まえると、中堅・中小企業においては生産スケジューラによる効率化よりも、様々な環境変化を踏まえた上での原価管理の精緻化に対するニーズが高い状態が今後もしばらくは続くものと予想される。


■パッケージが初期費用面の差別化を図るべきなのはオープンソースよりもスクラッチ開発
本レポートでは以下の8つの項目に関して、ユーザ企業に満足度/不満度を「大変満足」「まあまあ満足」「どちらでもない」「多少不満」「大変不満」「この項目は製品/サービスの評価に関係ない」の選択肢として尋ね、それらの結果を以下に示したポイント換算方法にて集計している。
「導入時の初期費用は妥当か」
個別カスタマイズやシステム構築/運用の作業を含まない製品/サービスのみの導入費用に関する評価
「導入後の保守/サポート費用は妥当か」
個別カスタマイズやシステム構築/運用の作業を含まない製品/サービスのみの維持費用に関する評価
「バージョンアップ時の費用負担は妥当か」
個別カスタマイズやシステム構築/運用の作業を含まない製品/サービスのみのバージョンアップ費用に関する評価
「機能が足りているか」
個別カスタマイズや他製品との組み合わせは除き、製品/サービス本体が持つ機能を対象とした場合の評価
「自社の要件に合致しているか」
個別カスタマイズやシステム構築/運用を含まない製品/サービス本体が持つ要件適合性を対象とした場合の評価
「他システムとの連携手段が整っているか」
データのインポート/エクスポートの手段が製品/サービス本体に備わっているかに関する評価
「プログラミングによる機能の追加/変更(カスタマイズ)がしやすいか」
プログラミングの追加/変更に必要なツールやドキュメントが揃っており、追加/変更した部分がバージョンアップ時に競合を起こさないか?といった観点における評価
「設定変更などプログラミングを伴わない形での機能の追加/変更がしやすいか」
製品/サービス本体が備える設定項目を変えることで機能変更ができる、または製品/サービス自身が入出力画面やデータ項目を追加/変更できるツールを備えているかといった観点における評価

【評価ポイント算出方法】
評価結果を「大変不満:-5ポイント」「多少不満:-3ポイント」「どちらでもない:0ポイント」「まあまあ満足:3ポイント」「大変満足:5ポイント」と重み付けし、ある評価項目「項目a」について、製品/サービスAの「大変不満」という回答件数 = H1、「多少不満」という回答件数 = H2、「どちらでもない」という回答件数 = H3、「まあまあ満足」という回答件数 = H4、「大変満足」という回答件数 = H1と定義した場合に、以下の計算式によって算出している。
Aの項目aに関する評価ポイント = ( H1×(-5) + H2×(-3) + H3×0 + H4×3 + H5×5) ÷ Aの項目aに関する回答件数合計(ただし各製品/サービスの利用件数自体が少ない場合には、その点に留意が必要である)


以下のグラフは「導入時の初期費用は妥当か」に関する社数ベースシェア上位の製品/サービスにおける評価ポイント算出結果である。
パッケージおよび「独自開発システム(完全なスクラッチ開発)」ではプラスの評価値となっている一方、「独自開発システム(オープンソースをベースとしたもの)」の評価値はマイナスとなっている。オープンソースによる独自開発が全体に占める割合そのものも低いことから、オープンソースをベースとした生産管理システムについては成熟度があまり高くない可能性が高いと考えられる。パッケージを開発/販売する側としては「独自開発システム(完全なスクラッチ開発」)と比べた場合のコスト面での優位性においてどれだけ差を付けられるか?が独自開発からパッケージへの遷移を加速する上でも重要なポイントとなってくる。

調査実施時に選択肢として挙げた製品/サービス一覧

本調査では本調査では生産管理システムを「製造業における部品表や製造工程の管理などを主に担うアプリケーション」と定義している。導入社数シェア設問に掲載した選択肢は下記の通りである。これらの選択肢は過去の調査結果に基づいて、自由回答の中から多く挙げられたものは選択肢として新たに取り上げ、逆に一定期間以上シェア数値がないものは割愛するといった形で年毎に調整を行っている。

MCFrame 東洋ビジネスエンジニアリング
GLOVIA smart製造(PRONES/MES/PROFOURSなど) 富士通
EXPLANNER/Jシリーズ NEC
SCAW生産管理システム/型番管理システム NTTデータビジネスシステムズ
OBIC7生産管理システム オービック
Factory-ONE電脳工場 エクス
glovia G2,(glovia.comを含む) グロービアインターナショナル
FutureStage(旧:TENSUITE for Fabrication) 日立システムズ
Quick SEIBAN/KAKOU/BLEND OSK(大塚商会)
CoRE-Chain OSK(大塚商会)
生産革新 Ryu-jin、遉(さすが) OSK(大塚商会)
生産革新 Fu-jin/Raijin/Blendjin OSK(大塚商会)
R-PiCS リードレックス
CSMoRE Global メイソンシステム
MAPS システム技研
TPiCS ティーピクス研究所
TECHS テクノア
NewRRR 生産管理 電算システム
GEMPLANET/WEBSKY 日立製作所
AToMsQube クオリカ
rBOM 大興電子通信
GUI-PACK/生産管理(iSeries Siteを含む) 日本IBM
NC生産くん ニッセイコム
UNIMEX 日本ユニテック
AMMIC アミック
ERPを構成する機能モジュールの一つとして利用
上記以外のパッケージ製品またはサービス
独自開発システム(オープンソースをベースとしたもの)業務システム自体がオープンソースとなっている場合に相当
独自開発システム(ベースとなるものがない完全なスクラッチ開発)オープンソースのデータベースやアプリケーションサーバをベースに業務システム部分をゼロから構築した場合も含む


本リリースの元となっている「2013年版中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」の詳細は下記URLを参照
リンク

本データの無断引用・転載を禁じます。引用・転載をご希望の場合は下記をご参照の上、担当窓口にお問い合わせください。
引用・転載のポリシー: リンク


当調査データに関するお問い合わせ
株式会社 ノークリサーチ 担当:岩上 由高
東京都足立区千住1-4-1東京芸術センター1705
TEL 03-5244-6691 FAX 03-5244-6692
inform@norkresearch.co.jp
www.norkresearch.co.jp

本プレスリリースは発表元企業よりご投稿いただいた情報を掲載しております。
お問い合わせにつきましては発表元企業までお願いいたします。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]