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マーサー 「グローバル金融サービス役員報酬サーベイ (2013)」を発表

・ 2014年、報酬に関する規制強化に伴って、これまで進捗を見せていた報酬、業績、およびリスクの連携強化のモメンタムが損なわれるおそれ
・ 銀行および保険会社は総報酬水準を維持、「クリエイティブな代替報酬手段」の模索と基本報酬の増額を視野に
・ 欧州の銀行各社は、報酬規制によってEU圏外の人材獲得競争において不利な状況に

マーサーの直近のレポート「グローバル金融サービス役員報酬サーベイ」によると、最近の報酬規制変更がこれまでの「ペイ・フォー・パフォーマンス」(業績給)という報酬コンセプトの維持を困難にし、国際金融セクターは必ずしも公平な競争環境ではない状況が続く可能性がある、との結果が示された。欧州の銀行各社は北米や新興市場の競合各社と比べ、規制へのより厳しい対応が求められるため、この規制強化は懸念材料となっている。マーサーは、欧州、北米、および新興市場の銀行・保険会社を含めた78の金融機関に対して「グローバル金融サービス役員報酬サーベイ」を実施し、その回答結果を分析した。金融サービスセクターにおける報酬、またより広い業界の上級幹部に対する報酬は、「Say on Pay(株主の役員報酬に対する発言権)」」や「賞与の上限設定」(”Say on Pay” and Bonus Caps を参照)など、世界各国で検討されている多くの規制強化の動きの主要テーマであり、特に欧州において大きな影響を及ぼしている。

マーサーのシニアパートナーであるヴィッキー・エリオットは以下のように述べている。「本サーベイは、厳しさを増す監督に対してグローバル企業がどのように対応しているか、という点に関するインサイトを提供することを目的として実施されました。『賞与の上限設定 (bonus caps) 』への最も端的な対応としては、基本報酬の増額が挙げられます。各社はまた、人材のリテンション(引き留め)策のために、報酬水準を維持するための他の様々な方法も検討しています。しかし、賞与に代表される変動報酬を減額すれば、業績と報酬の連動性を弱めることになります。業績と連動する報酬の額が少なければ、ビジネスのリスク対象期間と連動して繰り延べられる報酬の金額も減少します。これは、金融安定理事会(FSB)が金融危機後に進めてきた諸原則に相反します。リスクを管理するためにも、銀行やその他の金融機関における報酬は、複数年にわたる業績と結びつけられるべきです」。

本調査の結果で最も印象的だったもののひとつに、多くの企業(68%)が固定・変動報酬の比率に未だ上限を設定しておらず、資本請求指令(CRD Ⅳ)の最終化目前であるにもかかわらず、多くは検討課題にも載せていないと回答したことが挙げられる。欧州の企業では、他の地域に比べて、固定・変動報酬比率の上限設定に関する検討をより入念に行っていたという結果が示されたが、各社にとってはこのような比率を設定することだけでも重要な変更であり、それらを実現するには大きな困難を伴うという状況を示している。


報酬規制による影響に対する見解
今回の報酬規制により不公平な競争環境が生み出されたと76%の企業が回答しており、競争上の便益を受けると述べたのはわずか22%だった。報酬の上限規制は企業の「ペイ・フォー・パフォーマンス」の実現を困難にすると63%が回答しており、賞与上限の水準に関わらず、総報酬水準を維持すると考えている企業は53%だった。そして当然のことながら、75%の企業がクリエイティブな代替報酬手段の検討を視野に入れていた。また興味深いことに、70%の企業が、報酬からそれ以外の総合的な就業環境の向上提案(例:フレックスタイムの導入、人材育成、キャリア開発)に焦点がシフトしていくだろうと回答している。

マーサーのパートナー・英国リワード部門リーダーであるマーク・クインは、「(基本報酬の増額により)増加する固定報酬と繰延報酬の増大のため、新たな人材獲得にかかるコストは上昇しています。したがって、多くの企業は(点をとった)既存の人材のリテンションおよび育成により力を入れています」とコメントしている。

役員報酬に関する今後の変更欧州
EUは、役員報酬に対する規制強化を行っている。欧州の各社は2013年の資本請求指令(CRD Ⅳ)の変更への対策を始めているが、最も影響のある変更は2014業績年度に対するものであろう。回答企業は、影響を受ける対象者の基本報酬および諸手当等の増額により対応していく模様である。回答企業はまた、繰延報酬に関する権利確定期間 (vesting period) を5年に延長する、および/もしくは、資本請求指令(CRD Ⅳ)が許容する変動報酬の25%を上限としたより長期に権利確定する報酬に対するディスカウントを有効活用するために、新たな長期インセンティブ・プログラムを導入する可能性がある。また経営層に関しては、純粋な短期インセンティブの繰延プログラムだけではなく、より長期的な視野を持った長期インセンティブを導入することが重要だ、との認識も一定数存在する。この種のインセンティブは、企業の長期的な成功により一貫してフォーカスするということの一助となるだろう。仮に賞与が全く支払われない、あるいは年間に支払われる賞与の額が大幅に引き下げられた場合には、長期間に繰り延べられる報酬の原資がなくなってしまうことになる。

北米
米国の規制当局は、報酬がFSB原則 (FSB principles) に則って支払われているということを確実にするため、大手金融機関と協働して「紋切型」の解決策に抵抗している。(FSB原則における)「重大なリスク・テイカー」と見なされる北米企業のEU拠点には同様の規制が適用されるにもかかわらず、同規制により自社が受ける影響は欧州企業よりも小さいと、北米企業は予想している。欧州と同様に、資本請求指令(CRD Ⅳ)の規制により影響を受ける対象者の基本報酬、諸手当等の報酬項目を引き上げる、という回答が主であった。マーサーは、米系の銀行が自社のグローバル・インセンティブ・プログラムにおいて、上限支給額のレンジを引き下げ、インセンティブ・プランのレバレッジを低下させている事例を確認している。

新興市場
アジアでは原則に則った役員報酬規制が主流であり、具体的な指導よりもむしろガイドラインが提示されていることが一般的である。北米と同じく、回答企業は規制から受ける影響はそれほど大きくないと予測している。2013年に基本報酬の昇給以上の措置を想定している企業はほとんどないということは注目に値する。成功報酬型インセンティブ・プログラムを用いることに注目が集まっている新興市場では、2014年にはより活発な動きが予想される。

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付記:
マーサーの「グローバル金融サービス役員報酬サーベイ」(GFSECSS-Global Financial Services Executive Compensation Snapshot Survey))は、短期(年間)インセンティブの現在のアプローチ、世界各国の規制状況の観点からの変動報酬の変更や変動報酬制度の仕組み、業績変動に伴う、権利確定した報酬の減額 (‘malus’ adjustments) や支払われた報酬の返還 (claw-back) に関する規制・ガイドラインの状況、業績評価指標の採用状況、「重大なリスク・テイカー (material risk takers) 」の特徴、報酬機能の仕組の詳細等に関するインサイトを提供しています。
詳細レポートをご希望の方は、pr.japan@mercer.comへお問い合わせください。

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