日本周辺海域の資源探査体制を強化

JOGMEC 2013年08月07日 18時33分
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 JOGMEC(本部:東京都港区、理事長:河野博文)は、日本周辺海域に分布する海底鉱物資源の権益を確実に保全するため、(独)産業技術総合研究所(AIST)と協同で有望海域を絞り込み探査候補地を特定する「資源探査タスクフォース」を新たに設置しました。

 海底鉱物資源で資源量の推定に至っている鉱床は、沖縄周辺等の一部の海底熱水鉱床に限られていますが、他海域でも効率よく有望海域を絞り込み探査候補地を特定することにより、資源量把握の段階に至る新鉱床の存在が期待されます。

 資源探査タスクフォースでは、日本周辺海域の海底熱水鉱床、コバルトリッチクラスト、マンガン団塊、レアアース泥等の海底鉱物資源に係る地質構造・海底地質、地形解析、物理探査データおよび鉱床成因場の解明を行い、資源ポテンシャル評価の総合的な解析を展開します。

 第1回会議は8月2日(金)にJOGMEC本部で開催され、予察的に期待した複数海域について、双方の技術者・研究者が具体的な取組方針等の議論を行いました。

 今後は、双方が過年度に蓄積した探査・研究手法や豊富なデータを基に総合的な解析を行い、関係機関や有識者とも連携の上、9月下旬頃を目途に有望海域を絞り込み、探査候補地を特定することを目指します。長期的には特定した探査候補地での探査計画などの検討も行っていく予定です。

1.背景
 日本は、世界第6位の広大な領海・排他的経済水域等を有し、その中には海底熱水鉱床、コバルトリッチクラスト、マンガン団塊、レアアース泥等が確認されています。日本の排他的経済水域等に分布する海洋鉱物資源については、我が国固有の資源権益として確実に把握、保全することが重要です。しかし、これらの海底鉱物資源のうち、資源量(鉱石の量)を推定する段階に至っている鉱床は、まだ一部の海域の海底熱水鉱床に限られています(参考1)。更に資源量を把握する段階に至る鉱床を見出すには、いかに効率よく有望海域を絞り込み探査候補地を特定し、資源ポテンシャル評価を行うかにかかってきます。

 JOGMECは、日本周辺海域に分布する海底鉱物資源の権益を確実に保全するため、AISTと協同で有望海域を絞り込み探査候補地を特定する「資源探査タスクフォース」を新たに設置しました。

2.資源探査タスクフォースの目標
 資源探査タスクフォースは、海洋鉱物資源の資源ポテンシャル評価・概略資源量評価を推進するJOGMECと、広域地質データベースの構築・海底地質図の整備を推進するAIST(参考2)が協同で総合的に以下の解析を展開することにより、有望海域を絞り込み探査候補地を特定することを目標としています。

【地質構造・海底地質解】
 広い地域の地質構造史の解明のみならず、音波探査による層序区分・層厚・断層解釈等を用いて平面的・3次元的な地質構造・海底地質を解析し、地質構造と海底鉱物資源の関連について解明することを目指します。

【地形解析】
 カルデラや火山等からなる凹地・凸地・傾斜地が示す地形的・地質的特徴について、広い地域の異常ないし狭い地域の微地形異常を捉え、海底鉱物資源生成の場との関連について解明することを目指します。

【物理探査データ解析】
 探査海域で行われた重力探査・磁気探査・電磁探査・海水化学分析・音響調査による詳細地形解析やプルームの情報を整備し、断面的・平面的・3次元的に解析し、海底鉱物資源と異常域との関連を解明し、分布域を特定することを目指します。

【鉱床成因場解析】
 鉱石や母岩の地球化学的特徴、鉱床近傍の分布が期待される変質帯の特定、鉱石の放射化年代測定・鉱石母岩の微化石鑑定を用いた鉱床生成年代を特定し、資源ポテンシャルの解明に必要な鉱床成因場を解明することを目指します。

【資源ポテンシャル評価】
 地質構造・海底地質・地形異常・地球物理化学・鉱床生成場から得られた知見を、総合的に解析し、海底鉱物資源のポテンシャルについて評価し、開発可能な有望海域を絞り込みます。

3.推進体制
 資源探査タスクフォースは、JOGMECとAISTの技術者・研究者で構成し、海底鉱物資源の探査候補地を特定するため、双方が過年度までに蓄積した探査・研究手法や豊富なデータ(地質構造・海底地質・地形解析・地球物理・地球化学・海底観察・掘削結果等)を基に総合的な解析を行います。
 陸上の3段階方式(参考3)で実施主体の経験を有するJOGMECが中心となり、AISTと協同で実施し、関係機関や有識者とも連携のもと、これまで体系的な探査が行われていなかった海域も含め、有望海域の絞り込みを行います。

4.対象海域
 有望海域を絞り込む範囲は、海底熱水鉱床、コバルトリッチクラスト、マンガン団塊、レアアース泥等の海底鉱物資源について、過年度に蓄積したデータから予察的に期待される九州パラオ海嶺・大東海嶺・沖大東海嶺・小笠原海台、伊豆小笠原海域、沖縄海域を対象としています。

5.今後の活動
 今後は、複数回の技術会議や意見交換を行い、9月下旬頃を目途に有望海域を絞り込み、探査候補地を特定することを目指します。長期的には特定した探査候補地での探査計画などの検討も行っていく予定です。

参考1:2013年3月27日付JOGMECニュースリリース「沖縄海域に大規模な海底熱水鉱床を確認」
リンク

参考2:AISTの成果の一例について
2012年12月12日付 産業技術総合研究所プレスリリース「沖縄県久米島西方海域に新たな海底熱水活動域を発見」
リンク

参考3:かつて国内での陸上探査の方式として、複雑な地質構造を解明するために広い地域にわたる調査から、狭い地域の探鉱まで絞り込む3段階方式「広域調査→精密調査→企業探鉱」で実施し、関係機関や有識者とも連携のもと、国及び国の機関がリスクを担いました。秋田県・青森県にまたがる北鹿地域での多数の黒鉱鉱床の発見や、鹿児島県での菱刈金鉱床の発見などが挙げられます。


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