慢性腎臓病(CKD)と高血圧、その関係とは?

NPO法人 腎臓サポート協会 2013年04月18日 11時29分
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腎臓病に伴う合併症のひとつに「高血圧」があります。また、その高血圧がさらに腎臓病の悪化させる要因ともなります。
腎臓病と高血圧の関係について、東京慈恵会医科大学附属柏病院 腎臓・高血圧内科 診療部長 小倉 誠 先生に詳しく解説していただきました。


◆CKDと高血圧
CKD(慢性腎臓病)を治療していく上で、切っても切り離せないものに、「高血圧」があります。
CKDの3大原因は、糖尿病性腎症・慢性糸球体腎炎・腎硬化症です。このうち、腎硬化症は、長期にわたる高血圧が動脈硬化を引き起こし、腎臓の血流が低下し、腎機能が悪化していく病態です。糖尿病性腎症や慢性糸球体腎炎は、初期には必ずしも高血圧を伴いませんが、腎機能の悪化に伴い多くは高血圧を合併し、合併した高血圧が、更に腎機能を悪化させるという悪循環を引き起こします。また、腎不全が進行して透析を行っている患者さんの多くも、動脈硬化の影響や体内の水分・塩分過剰などの原因で、ほとんどの方が高血圧を合併しています。

◆なぜ高血圧を治療するのか?
高血圧を治療して、適正な血圧に維持することは、どのような効果があるでしょうか?
その1つは、腎機能の低下を防ぐことです。CKDの原因が何であれ、血圧をコントロールすることが腎機能低下を防ぐのに有効であることが、多くの研究で証明されています。
2つめは、心血管疾患(狭心症・心筋梗塞・脳梗塞など)の発症を予防することです。
CKDの患者さんは、健常の方よりも、明かに心血管疾患を起こしやすいことがわかっているので、命にかかわるような、これらの疾患を発症しないように、血圧をコントロールする必要があります。


◆血圧の目標値は?
透析を行っていない(保存期)CKD患者さんについては、血圧を130/80以下にすることが治療目標とされています。血液透析患者さんについては、週初めの透析前の血圧を140/90未満とすることが推奨されています。しかし、血液透析患者さんは、体内の水分の増減による血圧の変動が大きいことや、透析中に逆に低血圧になるリスクもあることから、一律に正常上限を決めるのは難しい場合もあります。保存期・透析期のいずれの患者さんにおいても、血圧の評価には、診察室や透析室で測定する血圧だけでなく、ご自宅で測定する「家庭血圧」の評価が大事です。


◆高血圧の治療は?
どのようなCKDの患者さんにとっても、塩分制限がもっとも重要です。その目標は、1日6g未満です。透析患者さんは、塩分を控えることが、水分を控えることにつながり、透析間の体重増加を抑制することができ、適正なドライウエイトを維持することが可能で、それが血圧のコントロールにかかわってきます。塩分制限のみでは血圧がコントロールできない場合は、各種の降圧薬を使って、先に述べた目標血圧に近づけるように努力します。

※この記事は、会報誌『そらまめ通信 Vol.67「診察室から」』からの抜粋です。


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