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ノークリサーチQuarterly Report 2012年秋版(Vol 020)

株式会社ノークリサーチでは中堅・中小市場における第20回目のIT投資実態調査を行った。

景気回復には時間を要する、業態の拡大/転換などによる収益拡大を支援するIT活用提案を模索すべき
▼IT投資DIは再びマイナス値へ、収益の減少や国内政治の変化を見越して慎重な姿勢に
▼いずれの年商帯においても「景気の不透明さ」がIT投資の大きな抑制要因となっている
▼現状維持志向を打破するためには業態の拡大や転換を促す新たなIT活用提案も必要

PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2012年12月10日

ノークリサーチQuarterly Report 2012年秋版(Vol 020)
2012年秋の中堅・中小企業のIT投資指標

調査設計/分析/執筆: 岩上由高


株式会社ノークリサーチ(本社〒120-0034 東京都足立区千住1-4-1 東京芸術センター1705:代表伊嶋謙ニ03-5244-6691URL:http//www.norkresearch.co.jp)では中堅・中小市場における第20回目のIT投資実態調査を行った。本リリースはその結果速報をまとめたものである。
調査対象企業: 年商500億円未満の国内民間企業1000社の経営層および管理職
調査対象地域: 日本全国
調査対象業種: 組立製造業/加工製造業/建設業/流通業/卸売業/小売業/IT関連サービス業/一般サービス業/その他
調査実施時期: 2012年11月中旬


景気回復には時間を要する、業態の拡大/転換などによる収益拡大を支援するIT活用提案を模索すべき
▼IT投資DIは再びマイナス値へ、収益の減少や国内政治の変化を見越して慎重な姿勢に
▼いずれの年商帯においても「景気の不透明さ」がIT投資の大きな抑制要因となっている
▼現状維持志向を打破するためには業態の拡大や転換を促す新たなIT活用提案も必要


▼IT投資DIは再びマイナス値へ、収益の減少や国内政治の変化を見越して慎重な姿勢に
以下のグラフは年商500億円未満の中堅・中小企業全体におけるIT投資DIと経常利益DIの変化をプロットしたものである。
[IT投資DIの定義]
今四半期以降のIT投資予算額が前四半期と比べてどれだけ増減するかを尋ね、「増える」と「減る」の差によって算出した「IT投資意欲指数」例えば、2012年11月時点でのIT投資DIは2012年11月~2013年1月までのIT投資意向を示した「先行指数」となる。(当該四半期のIT投資増減の「実績値」ではなく、投資意向を反映した「見込み値」である点に注意)
[経常利益DIの定義]
前回調査時点と今回調査時点を比較した場合の経常利益変化を尋ね、「増えた」と「減った」の差によって算出した「経常利益増減指数」例えば、2012年11月時点での値は2012年8月時点と比較した場合の経常利益増減の実績値となる。
2012年8月時点でのIT投資DIは15四半期ぶりのプラス値(1.2)であったが、2012年11月にはマイナス7.1ポイントの大幅な減少となり、2012年2月時点と同水準のマイナス値(-5.9)となった。IT投資DI値は2011年11月から徐々に改善が見られたものの、2012年5月時点から経常利益DI値が下降を続けている状況などを受けて今回調査の2012年11月で再び下落したものと考えられる。
今回の調査は衆院解散が宣言された11月14日の直後に実施している。そのため、中堅・中小企業にとっては政治や経済の動向が予想しづらく、ITに限らず投資意向全般が低下しやすい状況にあったと考えられる。次回調査(2013年2月)の結果は総選挙の結果を踏まえた中堅・中小企業の期待もしくは不安が織り込まれた重要な指標になるものと予想される。


▼いずれの年商帯においても「景気の不透明さ」がIT投資の大きな抑制要因となっている
以下のグラフは経常利益DIおよびIT投資DIの変化を年商別にプロットしたものである。
経常利益DIの変化を2012年8月時点と2012年11月時点で比較すると、年商5億円未満ではマイナス5.0ポイント、年商5億円以上~50億円未満ではマイナス3.0ポイント、年商50億円以上~100億円未満ではマイナス7.0ポイント、年商100億円以上~300億円未満ではマイナス1.0ポイント、年商300億円以上~500億円未満ではプラス1.5ポイントとなった。年商300億円以上~500億円未満の中堅上位企業を除くと、いずれも前回調査時点と比べてマイナスとなっている。
経常利益が減少した理由としては、いずれの年商帯においても「自社の販売や受注における数量が減少または横ばい状態である」が5割前後と最も多く、「自社の販売や受注における単価が下降または横ばい状態である」が3割前後でそれに続いている。販売の数量/単価の双方で伸び悩んでいる状況がうかがえる。2012年8月以降での影響が懸念されていた「日中関係の悪化」については中堅企業全般(年商50億円以上~500億円未満)の1割弱が経常利益の減少要因として挙げるに留まっている。ただし、中長期的な海外展開施策への影響は避けられず、今後も動向を注視していく必要がある。
中堅上位企業(年商300億円以上~500億円未満)において経常利益が増加した理由としては「自社の販売や受注における数量が減少または横ばい状態である」が5割強と最も多く挙げられているが、「人件費などの固定費削減施策の成果が出てきている」が3割強と二番目に多く挙げられている点に注意する必要がある。
全般的に企業および消費者の生産/消費が伸び悩む状況が続いており、総選挙後の新体制で中堅・中小企業が期待を持てる施策が打ち出せるか?が大きな焦点となってくる。
IT投資DIの変化を2012年8月時点と2012年11月時点で比較すると、年商5億円未満ではプラス5.0ポイント、年商5億円以上~50億円未満ではマイナス8.5ポイント、年商50億円以上~100億円未満でマイナス13.0ポイント、年商100億円以上~300億円未満ではマイナス16.0ポイント、年商300億円以上~500億円未満ではマイナス3.0ポイントとなっている。
年商5億円未満においては他の年商帯で見られた2012年5月から2012年8月にかけてのIT投資DI値の改善が遅れて生じたものと考えられる。IT投資を増やす理由では「業務効率を改善し、収益を向上させるためのシステム投資が必要」が6割強、「現状を維持するため、ハードウェアやソフトウェアの更新が必要」が3割弱、「取引先や顧客のニーズ変化に追随するためシステム投資が必要」が2割強となっている。ただし他年商の下落傾向を受けて、次回調査(2013年2月)では再び減少に転じる可能性もある。
年商5億円以上~500億円未満の中堅・中小企業全般では、IT投資を減少させる理由として「予定/計画しているIT投資はあるが、景気が不透明なため延期中である」が前回調査時点から増えている。同項目を挙げる割合は年商5億円以上~50億円未満の中小企業層と年商50億円以上~100億円未満の中堅下位企業層では2割強だが、年商100億円以上~300億円未満の中堅中位企業層では3割強、年商300億円以上~500億円未満の中堅上位企業層では5割強に達している。2013年以降の景気対策の成否が中堅・中小企業全般の投資意識に大きく影響するものと予想される。


▼現状維持志向を打破するためには業態の拡大や転換を促す新たなIT活用提案も必要
次頁のグラフは経常利益DIの変化を業種別にプロットしたものである。業種毎の傾向は以下の通り。
組立製造業:
2012年8月時点と2012年11月時点を比較すると、経常利益DIはマイナス7.9ポイント、IT投資DIはマイナス16.2ポイントといずれも大きく下落している。経常利益の減少理由としては「自社の販売や受注における数量が減少または横ばい状態である」が6割強と最も多いが、「日中関係の悪化」も約16%と他業種と比べて多く挙げられている。裾野の広い自動車産業に関しては中国における新車販売台数の減少が大きく、それが中堅・中小の組立製造業全般にも影響していると考えられる。IT投資減少の理由については「現状を維持する以外、特にITに対して投資をする必要はない」が6割弱に達しており、前回調査と比べても大きく増えている。「日中関係の悪化」も含めた現状の様々な課題がIT活用だけで解決できるものではないことが背景にあると考えられる。
加工製造業:
2012年8月時点と2012年11月時点を比較すると、経常利益DIはマイナス12.2ポイント、IT投資DIはマイナス20.2ポイントと組立製造業よりもさらに大きな下落幅となっている。経常利益の減少理由としては「原材料や燃料/電力のコスト負担が増加している」が25%と他業種と比べても高い値となっている。収益が圧迫されている状況であるため、IT投資の減少理由においても、「IT投資の必要性は感じているが、それだけの資金余力がない」が4割弱と最も多く挙げられている。
流通業(運輸業):
2012年8月時点と2012年11月時点を比較すると、経常利益DIはマイナス29.1ポイント、IT投資DIはマイナス0.4ポイントとなっている。経常利益の減少理由では「自社の販売や受注における数量が減少または横ばい状態である」(46%)、「日本国内の需要はまだ回復していない」(27%)といった項目が多く挙げられている。経常利益DIの変化に比べると、IT投資DIの減少幅は小さくなっている。これはIT投資の減少理由として「予定/計画しているIT投資はあるが、景気が不透明なため延期中である」「予定/計画しているIT投資があったが、景気が不透明なため中止をした」といった理由が挙げられていることからもわかるようにIT活用によって収益改善に取り組もうとする意識が潜在的にはあることに起因すると考えられる。
建設業:
2012年8月時点と2012年11月時点を比較すると、経常利益DIはプラス10.8ポイント、IT投資DIはマイナス3.1ポイントとなっている。経常利益の増加理由では「自社の販売や受注における数量が増加してきている」(60%)、「東日本大震災やタイ洪水などの自然災害による影響」(20%)が多く挙げられており、復興需要がようやく中堅・中小の建設業にも及んできた状況と考えられる。
IT投資の減少幅は製造業と比べると小さいが、IT投資理由として「現状を維持するため、ハードウェアやソフトウェアの更新が必要」が多く挙げられている点に注意する必要がある。復興需要は今後もしばらく継続すると予想されるが、その間に現状維持だけでないIT活用提案を行っておくことが重要である。
卸売業:
2012年8月時点と2012年11月時点を比較すると、経常利益DIはマイナス1.1ポイント、IT投資DIはマイナス2.4ポイントとなっている。経常利益の減少理由では「自社の販売や受注における数量が減少または横ばい状態である」(52%)、「自社の販売や受注における単価が下降または横ばい状態である」(36%)が多く、IT投資の減少理由では「現状を維持する以外、特にITに対して投資をする必要はない」(53%)が最も多い。経常利益が伸び悩み、その結果IT活用についても現状維持志向が強まるといったマイナスの連鎖に陥る可能性がある。ITを活用した業態の拡大/転換など、より抜本的なIT活用提案が求められてくる可能性がある。
小売業:
2012年8月時点と2012年11月時点を比較すると、経常利益DIはマイナス13.0ポイント、IT投資DIはマイナス6.2ポイントとやや大きな下落となっている。経常利益の減少理由およびIT投資の減少理由の傾向は卸売業に類似しているが、IT投資の減少理由において「現状を維持する以外、特にITに対して投資をする必要はない」を挙げる割合は79%と非常に高い。売上や在庫の管理などといった業務効率だけでなく、商圏の拡大や既存顧客の単価向上などに直結するIT活用提案が求められてくる。
IT関連サービス業:
2012年8月時点と2012年11月時点を比較すると、経常利益DIはプラス6.2ポイント、IT投資DIはプラス5.8ポイントと全業種の中で唯一二つのDI値がともにプラスとなっている。だが経常利益の増加要因としては、前四半期までの一般企業におけるIT投資DI改善傾向の結果が時間差を伴って現れていることに加えて、「人件費などの固定費削減施策の成果が出てきている」(34%)といった経営面の施策に負うところが大きい点に注意が必要である。IT投資増加理由としては「取引先や顧客のニーズ変化に追随するためのシステム投資が必要」(29%)が他業種と比べて高く、本業であるIT関連における最新技術への追随が不可欠となっているものと考えられる。
サービス業:
2012年8月時点と2012年11月時点を比較すると、経常利益DIはマイナス0.3ポイント、IT投資DIはマイナス5.7ポイントとなっている。経常利益の減少は比較的軽微であり、経常利益増加理由に「自社の販売や受注における数量が増加してきている」を挙げる割合は5割弱と小売業と比べても多い。だが、経常利益減少理由で「日本国内の需要はまだ回復していない」(46%)も多く、業態や個々の企業によって明暗が分かれる状況となっている。IT投資に関しては卸売業や小売業と同様に現状維持志向が強いため、業態の拡大/転換、顧客となる企業における業種の横展開、一般消費者における顧客年齢層の新たな開拓などを支援するIT活用提案が求められてくると考えられる。


以下のグラフは経常利益DIの変化を業種別にプロットしたものである。業種毎の傾向については前頁に詳細を記載している。
以下のグラフはIT投資DIの変化を業種別にプロットしたものである。業種毎の傾向については前頁に詳細を記載している。


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