中堅・中小企業の業務システム購入先のサービス/サポート評価調査報告

株式会社ノークリサーチは、2012年の中堅・中小企業における業務システム 購入先のサービス/サポートに関する最新の評価調査結果を発表した。

「トータルソリューション/ワンストップソリューション」には4つの意味合いがある
自社の強みが4つのどれに当たるのか?をわかりやすく明示することが大切
▼大塚商会が2011年からさらにシェアを伸ばし、主要な業務システム購入先で首位を堅持
▼「提案から保守までの一貫性」の観点では提案/販売時でのSEと営業の情報共有が重要
▼「業種/業態に固有の対応」では営業/SEのスキル向上とテンプレート充実の双方が必要
▼「ビジネスとITの結合」の観点において初期段階での経営視点を踏まえた提案が不可欠
▼「幅広い商材」を提供するには各商材の保守/サポートにおける窓口の体制強化が必要

PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2012年9月26日

中堅・中小企業の業務システム購入先のサービス/サポート評価調査報告

調査設計/分析/執筆: 岩上由高


株式会社ノークリサーチ(本社〒120-0034 東京都足立区千住1-4-1 東京芸術センター1705:代表伊嶋謙ニ
03-5244-6691 URL:http//www.norkresearch.co.jp)は、2012年の中堅・中小企業における業務システム
購入先のサービス/サポートに関する最新の評価調査結果を発表した。
本リリースは『2012年版中堅・中小企業の業務システム購入先のサービス/サポート評価レポート』のダイジェストである。


「トータルソリューション/ワンストップソリューション」には4つの意味合いがある
自社の強みが4つのどれに当たるのか?をわかりやすく明示することが大切
▼大塚商会が2011年からさらにシェアを伸ばし、主要な業務システム購入先で首位を堅持
▼「提案から保守までの一貫性」の観点では提案/販売時でのSEと営業の情報共有が重要
▼「業種/業態に固有の対応」では営業/SEのスキル向上とテンプレート充実の双方が必要
▼「ビジネスとITの結合」の観点において初期段階での経営視点を踏まえた提案が不可欠
▼「幅広い商材」を提供するには各商材の保守/サポートにおける窓口の体制強化が必要


対象企業: 日本全国/全業種の500億円未満の中堅・中小企業
対象職責: 以下のいずれかの権限を持つ社員
「情報システムの導入や運用/管理の作業を担当している」
「情報システムに関する製品/サービスの選定または決裁の権限を有している」
調査実施時期: 2012年8月
有効回答件数: 1400社(有効回答件数)
※調査対象の詳しい情報については右記URLを参照リンク


▼大塚商会が2011年からさらにシェアを伸ばし、主要な業務システム購入先で首位を堅持
以下のグラフは年商500億円未満の中堅・中小企業1400社に対して、業務システムの購入先としても最も主要な1社(3年間の累計金額が最も高かったもの)はどこかを尋ねた結果である。ここでの「業務システム」とは基幹系システム、情報系システム、運用管理系システム、分析/出力系システム、顧客管理系システム、各種のハードウェア、事務機器(複合機など)、インターネット接続サービス、ハウジングおよびホスティング、IT運用/保守アウトソーシング、業務アウトソーシング、クラウドといったIT活用全般に関連する商材を全て含む。以下ではこうした業務システムの購入先/委託先となるIT企業をユーザ企業がどのように評価しているかについて詳しく分析を行っている。
前頁の設問における選択肢では中堅・中小企業が業務システムの購入先として挙げられる可能性のあるIT企業を60社以上に渡ってピックアップしている。グラフにはそのうちの上位16社をプロットし、それ以外は「その他」に含めている。
前頁のグラフの結果を見ると、大塚商会が13.3%と唯一10%を越えるシェアとなっていることがわかる。同社はここ数年間の同調査結果でシェア首位を堅持している。2011年の同調査におけるシェアは9.4%であったので、2011年から2012年にかけてさらにシェアを高めていることになる。
以下のグラフは年商500億円未満の中堅・中小企業に対し、過去三年以内に業務システムの委託/購入を行った業者(複数回答可)を尋ねた結果である。つまり、何らかの形で業務システムの購入先となっているIT企業を全て列挙した結果ということになる。(60社以上の選択肢のうち、上位35社をプロットし、それ以外は「その他」に含めている)「最も主要な業務システムの購入先」を尋ねた前頁の結果と同様に大塚商会、NTTデータ、リコーの3社が上位に位置している。これら3社の複数回答設問におけるシェア数値は前頁よりも以下の結果の方が高い値を示している。特に、大塚商会は「その他」の値を上回っており、中堅・中小企業の幅広い企業層に対し、様々なIT商材を提供していることがわかる。
大塚商会とリコーは共に中堅・中小企業に幅広い顧客層を持つIT企業として広く認知されている。NTTデータは大企業向けのシステムインテグレーションが中核業務ではあるが、一方で「達人シリーズ」(税理士/会計士に広く支持されているソフトウェアおよびサービス)や経営支援サービス「BizMARE」といった中小企業やSOHO/零細企業を対象としたIT商材も提供している。
そのため、年商500億円未満の幅広い企業を対象とした社数ベースでの設問においては上位に挙げられる結果となっている。

?「トータルソリューション/ワンストップソリューション」には4つの意味合いがある
自社の強みが4つのどれに当たるのか?をわかりやすく明示することが大切
中堅・中小企業におけるIT活用を支援する取り組みとして、「トータルソリューション」ないしは「ワンストップソリューション」といったキーワードが使われることも多い。しかし言葉は同じであっても、その中身は業務システムの購入先であるIT企業によって少しずつ異なっている。
重要なのはユーザ企業側が望んでいる「トータル」や「ワンストップ」の意味合いと、IT企業側が得意とする内容がきちんと一致していることだ。ところが、これらのキーワードが独り歩きしてしまい、「提供できる商材は限られているけれども、顧客の求める機能は忠実に実現することが得意なシステムインテグレータ」がハードウェアからサービスまで何でも提供できるかのように紹介されてしまったり、逆に「幅広い商材を扱っているが、顧客の求めに応じたプログラム改変は行えない販社」が個別のシステム構築/運用を行えるシステムインテグレータのように認知されてしまうといった場面も見受けられる。
「トータルソリューション」や「ワンストップソリューション」に含まれる意味合いは、大きく分けて以下の4通りに整理できる。
「提案から保守までの一貫性」
導入提案、システム構築、保守/サポートといった時間の流れにおいて、特定のIT企業が責任を持って一貫した対応を行う
「業種/業態に固有の対応」
業種や業態に固有の制度やニーズに精通しており、どのような業種/業態であっても的確かつ迅速に対応することができる
「ビジネスとITの結合」
経営層、業務を遂行する現場、ITを管理/運用する担当者などの異なる視点からのニーズをとりまとめて両立/協調させる
「幅広い商材の提供」
ハードウェア、ソフトウェア、サービスといった様々なIT関連商材を一つの窓口で販売/サポートする
ユーザ企業側としては「自社の求めるトータルソリューションやワンストップソリューションは上記4つのうちのどれなのか?」をまず明確にしておく必要がある(上記4つのうち、2つ以上が当てはまる場合ももちろんある)。
一方、業務システムの購入先となるIT企業側としては自社が訴求しているトータルソリューションやワンストップソリューションが上記4つのどれに該当するのか?をユーザ企業に対してわかりやすく伝える必要がある(これについても上記の4つのうち、2つ以上が当てはまる場合がある)。
次頁以降に掲載した各グラフは上記4つの観点のそれぞれに関して、ユーザ企業が「最も主要な業務システム購入先」をどのように評価しているか?を示したものである。
これらのグラフは、ユーザ企業にとっては自社のニーズに合致した業務システム購入先を選択する際の参考情報となり、IT企業にとっては自社が訴求ないしは注力しているポイントがユーザ企業からはどのように評価されているのか?を知るためのフィードバックになるものと考えられる。


▼「提案から保守までの一貫性」の観点では提案/販売時でのSEと営業の情報共有が重要
以下のグラフは冒頭に挙げた「業務システムの主要な購入先」毎に様々な評価項目を尋ねた結果のうち、「提案の初期段階から技術のわかるSEが同席するため、システム面での話し合いが迅速である」(提案/販売時の評価)(※1)と「提案時の営業やSEが運用/サポート段階でも引き続いて自社を担当してくれる」(保守/サポート時の評価)(※2)において「満足度が高い」と回答したユーザ企業の割合をプロットしたものである。
これは「提案から保守までの一貫性」という観点での「トータルソリューション」や「ワンストップソリューション」をユーザ企業が評価した結果と見ることができる。
全般的に※2よりも※1の評価が低くなっている点を踏まえると、今後は提案/販売時での一貫性(営業とSEの情報共有)が強化すべきポイントであるといえる。


▼「業種/業態に固有の対応」では営業/SEのスキル向上とテンプレート充実の双方が必要
以下のグラフは冒頭に挙げた「業務システムの主要な購入先」毎に様々な評価項目を尋ねた結果のうち、「自社の業務/業態に関連したスキルを持った営業やSEが担当するため、自社業務の説明がしやすい」(提案/販売時の評価)(※1)および「業種/業態に即したテンプレートが充実しており、個別カスタマイズの必要があまりない」(システム構築力の評価)(※2)において、「満足度が高い」と回答した結果をプロットしたものである。
これは「業種/業態に固有の対応」といった観点からの「トータルソリューション」や「ワンストップソリューション」をユーザ企業が評価した結果と見ることができる。
※1は営業やSEのスキルといった「ヒト」の観点での業種/業態への対応力、※2はテンプレートといった「モノ」の観点での業種/業態への対応力を評価した結果といえる。業種/業態に固有の制度やニーズは常に変化し、さらにその上にユーザ企業に固有の制約や事情も絡んでくる。
そうした点を踏まえると、「ヒト」と「モノ」の双方でバランス良く高い評価を得ている状態が理想といえる。


▼「ビジネスとITの結合」の観点において初期段階での経営視点を踏まえた提案が不可欠
以下のグラフは冒頭に挙げた「業務システムの主要な購入先」毎に様々な評価項目を尋ねた結果のうち、「中長期的な経営視点を持った戦略立案のコンサルティングをしてくれる」(提案/販売時の評価)(※1)および「運用/サポート段階でも営業やSEが自社を訪問し、課題や要件のヒアリングを行ってくれる」(保守/サポート時の評価)(※2)において、「満足度が高い」と回答した結果をプロットしたものである。
これは「ビジネスとIT」といった観点からの「トータルソリューション」や「ワンストップソリューション」をユーザ企業が評価した結果と見ることができる。
※1はIT投資を行う前の段階での上流工程に関する評価に相当する。一方、※2はIT投資を行った後に継続的な改善を行えるかどうかに関連した評価項目である。中堅・中小企業は経済環境や大企業の動向に影響を受けやすい面もある。
そのため業務システムの購入先となるIT企業としては、初期段階で経営視点を含めたIT活用提案を行うことに加えて、運用/サポートの段階においても継続的な改善提案を行っていくことが求められてくる。
ただし、初期段階で場当たり的なIT投資を行ってしまったのでは運用/サポートの段階でそれを抜本的に改善することが難しくなってしまう。そうした観点では※1の評価が十分高い上で、※2の評価も高いという状態が理想といえる。


▼「幅広い商材」を提供するには各商材の保守/サポートにおける窓口の体制強化が必要
以下のグラフは冒頭に挙げた「業務システムの主要な購入先」毎に様々な評価項目を尋ねた結果のうち、「幅広い商材を持っており、どんなことでも窓口を一本化して対応してもらえる」(提案/販売時の評価)(※1)および「取り扱える商材が広いため、保守/サポートの窓口も一元化できる」(保守/サポート時の評価)(※2)において、「満足度が高い」と回答した結果をプロットしたものである。
これは「幅広い商材の提供」といった観点からの「トータルソリューション」や「ワンストップソリューション」をユーザ企業が評価した結果と見ることができる。
※1は「どれだけ幅広いIT商材を提案/販売できるか?」の評価に該当し、※2は「どれだけ幅広いIT商材の保守/サポート窓口を担えるか?」の評価に該当する。提案や販売の時点では数多くの商材を扱えるが、導入後のトラブル対応や質問応対は他社に完全に任せてしまうといった状態では中堅・中小企業の信頼を中長期的に得ることは難しい。
特に中堅・中小企業においてはトラブル発生時の一次切り分けをユーザ企業側が的確に行うことが難しいなどの理由で保守/サポートの手間が思った以上にかかることが多い。※2でユーザ企業の評価を得られるだけの体制を構築した上で※1の評価を上げられるように商材の幅を広げていくといった取り組みが求められてくる。


本リリースの元となっている「2012年版中堅・中小企業の業務システム購入先のサービス/サポート評価レポート」の詳細は右記のURLを参照リンク

当調査データに関するお問い合わせ
株式会社ノークリサーチ担当:岩上由高
東京都足立区千住1-4-1東京芸術センター1705
TEL 03-5244-6691 FAX 03-5244-6692
inform@norkresearch.co.jp
www.norkresearch.co.jp

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