2012年中堅・中小企業におけるコラボレーション/顧客管理のクラウドサービス活用実態調査報告

ノークリサーチは2012年の国内中堅・中小企業におけるコラボレーション/顧客管理の分野におけるクラウドサービスの活用実態に関する調査を実施し、その分析結果を発表した。

<ユーザ企業はコスト削減以外の効果を徐々に認識、課題解決提示と啓蒙に注力すべき時>
■「既存アプリケーション+付加価値」によってサイボウズがクラウドにおいてもシェア首位
■社外アクセス、迅速なシステム構築、セキュリティ強化がコスト削減に代わる導入効果
■クラウド導入を予定/検討しているユーザ企業にとっては「社内人材不足」が大きな障壁
■既存アプリケーションへの「慣れ」やセキュリティへの「不安」を解消/啓蒙することが重要

PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2012年9月12日

2012年中堅・中小企業におけるコラボレーション/顧客管理のクラウドサービス活用実態調査報告
調査設計/分析/執筆: 岩上由高


ノークリサーチ(本社〒120-0034 東京都足立区千住1-4-1東京芸術センター1705:代表:伊嶋謙ニTEL:03-5244-6691URL:http//www.norkresearch.co.jp)は2012年の国内中堅・中小企業におけるコラボレーション/顧客管理の分野におけるクラウドサービスの活用実態に関する調査を実施し、その分析結果を発表した。
本リリースは「2012年版SaaS/クラウド市場の実態と中期予測レポート」のダイジェストである。


<ユーザ企業はコスト削減以外の効果を徐々に認識、課題解決提示と啓蒙に注力すべき時>
■「既存アプリケーション+付加価値」によってサイボウズがクラウドにおいてもシェア首位
■社外アクセス、迅速なシステム構築、セキュリティ強化がコスト削減に代わる導入効果
■クラウド導入を予定/検討しているユーザ企業にとっては「社内人材不足」が大きな障壁
■既存アプリケーションへの「慣れ」やセキュリティへの「不安」を解消/啓蒙することが重要


対象企業: 日本全国/全業種の500億円未満の中堅・中小企業
対象職責: 企業経営もしくはITインフラの導入/選定/運用作業に関わる社員
調査実施時期: 2012年6月初旬
有効回答件数: 1000社
※調査対象の詳しい情報については右記URLを参照リンク


■「既存アプリケーション+付加価値」によってサイボウズがクラウドにおいてもシェア首位
以下のグラフは年商500億円未満の中堅・中小企業に対して、メールやグループウェアといった「コラボレーション」およびSFAやCRMといった「顧客管理」の分野において、導入/利用をしているまたは導入/利用を予定しているクラウドサービスを尋ねた結果のうち、主要な選択肢を取り上げたものである。(調査実施時に掲載した全ての選択肢は本リリースの末尾に記載)
「コラボレーションや顧客管理の分野ではクラウドを活用しない」という回答は66.2%に達しているが、逆にいえば4割弱のユーザ企業はコラボレーションおよび顧客管理の分野でクラウド活用に意欲を示していることになる。次頁以降では下記に挙げたクラウドサービスのうちで比較的シェアの高いものの状況や、コラボレーション/顧客管理におけるクラウド活用の様々な実態について集計/分析した結果のダイジェストを掲載している。
前頁のグラフを見ると、サイボウズが提供する「cybozu.com」が唯一10%を越えて最も高いシェアとなっている。同サービスは「サイボウズOffice」「サイボウズガルーン」といったパッケージ版と同じアプリケーションをクラウド形態で提供するものだ。
「コラボレーション」分野は以前からASP形態も存在していたため、クラウドに馴染みやすいといわれることも多い。確かに技術的な観点からは個別カスタマイズも少なく、Web化も進んでいるためクラウドへの移行は基幹系システムなどと比較すると容易であると捉えられやすい。だが、メールやグループウェアは個々の社員が毎日利用するものであるため、他のアプリケーションへと変更する際は「慣れ」が大きな障壁となりやすい。また、毎朝の一斉ログイン時における負荷などがそれほど問題にならない程度の社員数であれば、社内で無難に稼働しているシステムを月額課金のクラウドサービスに変える必要性が生じない。
だが逆に言えば、パッケージ版と同じアプリケーションが利用可能であることに加え、簡易な独自アプリケーションをクラウド上で作成できる仕組みなどの付加価値(「cybozu.com」では「kintone」がそれに該当する。「kintone」に関する詳細は「基盤サービス」に関連するリリースで述べる)が加われば、新規の導入および既存パッケージからの移行の双方からのクラウド活用を訴求できる可能性が出てくる。「cybozu.com」が比較的短期に導入件数を伸ばしている背景の一つにはこうした要因もあるものと考えられる。
「cybozu.com」の後には「Google Apps for Business」および「Office365」が続いている。「Office365」もサービス開始からまだ間もないことを踏まえると、短期間で導入企業を獲得しているクラウドサービスといえる。同サービスについても「Exchange Online」など手元の使い勝手がパッケージの場合と大きく変わらない一方、「Office Web Apps」などの付加価値を訴求している点が導入件数を伸ばしている要因の一つになっていると考えられる。
※本リリースの元となる「2012年版SaaS/クラウド市場の実態と中期予測レポート」では年層別、従業員数別業種別などでのクラウドサービス導入シェアといった詳細データが掲載されている


■社外アクセス、迅速なシステム構築、セキュリティ強化がコスト削減に代わる導入効果
以下のグラフは年商500億円未満の中堅・中小企業に対し、「コラボレーション/顧客管理」のクラウドサービスにおける導入効果を尋ねた結果である。導入状況に応じて、以下のように分類をしている。
既に導入/利用している(導入前): 導入/利用済みのユーザ企業に対し、導入前に期待していた効果を尋ねた結果
既に導入/利用している(導入後): 導入/利用済みのユーザ企業に対し、導入後に実際に得られた効果を尋ねた結果
導入/利用の予定がある: 導入/利用を予定しているユーザ企業に対し、期待する効果を尋ねた結果
導入/利用を検討している: 導入/利用を検討しているユーザ企業に対し、期待する効果を尋ねた結果
前頁のグラフについて、まず全体を見ると「社外からもアクセスすることができる」「システムを素早く構築できる」「セキュリティを強化することができる」といった項目が多く挙げられ、「ハードウェアの維持費用を削減できる」や「ソフトウェアの維持費用を削減できる」といった項目を上回っている。コスト削減効果を過剰に期待したことの反動もあって、中堅・中小のユーザ企業はクラウド活用に対して慎重になっている傾向にある。だが、そうした状況下においてクラウド活用を実践/検討するユーザ企業はコスト削減以外の導入効果を意識していることがわかる。ただし「既に導入/利用している(導入前)」と「既に導入/利用している(導入後)」を比較すると、ほぼ横ばいもしくは前者に比べて後者の値が低くなっている項目が目立つ点に注意する必要がある。さらに「導入/利用の予定がある」と比較すると、導入/利用を行った後の方が低い値となっている項目も少なくない。このことから、既に「コラボレーション/顧客管理」のクラウドサービスを導入/利用しているユーザ企業においては概ね期待した効果が得られているものの、導入/利用をこれから予定しているユーザ企業が期待する効果を実現するまでには至っていないことがわかる。
特に、「災害への対策になる」については「導入/利用の予定がある」が31.0%であるのに対し、「既に導入/利用している(導入前)」では12.7%まで下がっている。災害対策は「もしもの時の備え」であるため、単独では投資対効果という面でユーザ企業の納得を得にくい面がある。「社外からもアクセスすることができる」「システムを素早く構築できる」「セキュリティを強化することができる」などといった平常時にも得られる効果を併せて訴求することが重要と考えられる。


■クラウド導入を予定/検討しているユーザ企業にとっては「社内人材不足」が大きな障壁
以下のグラフは年商500億円未満の中堅・中小企業のうち「コラボレーション/顧客管理」のクラウドサービスを導入/利用しているまたは導入/利用を予定/検討しているユーザ企業に対して、「コラボレーション/顧客管理」のクラウドサービスの課題を尋ねた結果を導入状況別に集計したものである。
まず全体を見ると、「運用管理の人的作業負担が減らない」や「クラウド移行を主導する社内人材がいない」といったように社内人材に起因する課題が最も多く挙げられ、その後に「システム構成やバージョンを自社で制御できない」といったシステム運用面での課題が続いている。また、「利用中のアプリケーションを変えたくない」も上位に位置しており、既に述べた「慣れ」に起因する障壁も大きく影響していることがわかる。
「既に導入/利用している」と比べた場合、「導入/利用の予定がある」や「導入/利用を検討している」においては「運用管理の人的作業負担が減らない」や「クラウド移行を主導する社内人材がいない」といった課題が多く挙げられている。導入や運用においてユーザ企業を支援する取り組みの強化が求められているといえる。
また、「外部からの攻撃にさらされる危険がある」という項目も同様の傾向を示している点に注意する必要がある。「コラボレーション/顧客管理」のクラウドサービスに期待される導入効果においては「セキュリティを強化することができる」も多く挙げられている。つまり、セキュリティに関しては、データセンタなどの専用設備に預けることによる期待と社外からもアクセス可能となることでの不安が混在している。この点についてはVPN経由でのアクセスといったネットワーク関連の対策をクラウドサービスと併せて提供することが有効と考えられる。


■既存アプリケーションへの「慣れ」やセキュリティへの「不安」を解消/啓蒙することが重要
以下のグラフは「コラボレーション/顧客管理」のクラウドサービスを利用しないと回答した年商500億円未満の中堅・中小企業に対し、その理由を尋ねた結果である。
「クラウドによってもたらされるメリットはいずれも必要性がない」が最も多く、そこから20ポイント程度値を下げて「十分なコスト削減効果が得られない」が続いている。つまり、コスト削減に過剰な期待を抱いていた状態を脱し、現在はクラウドサービスが持つコスト削減以外のメリット(先に述べた「社外からもアクセスすることができる」、「システムを素早く構築できる」、「セキュリティを強化することができる」などの項目)を認識した上で、それらのメリットが自社にとって必要か?を判断するようになってきたといえる。
その他の項目としては
・「初期投資の負担が大きい」や「クラウド移行作業にかかる費用負担が大きい」といった導入段階における負担
・「社外にデータを置くことが不安である」といったセキュリティに関連する不安
・「利用中のアプリケーションを変えたくない」といった「慣れ」に起因する障壁
といった点が挙げられている。
これらを総合すると、コラボレーションや顧客管理におけるクラウドサービス活用を訴求する際には『既存アプリケーションをあまり変更せず、データ保全やネットワーク保護といったセキュリティ面での不安を払拭する十分な説明とインフラ整備を行い、導入/移行に際しての支援サービスや支援ツールを充実させる』といった取組みが有効であると考えられる。
調査実施時に「既に導入/利用している、またはそれらを予定/検討しているコラボーレションおよび顧客管理のクラウドサービス」における選択肢として挙げたクラウドサービスは以下の通りである。これらの選択肢はパッケージやクラウドなどを全て含んだ網羅的なアプリケーション調査において比較的多くの回答が見られたものや、取材調査などを通じて動きが活発であると判断されたものを含めるという方針に基づいて選定されている。
本リリース冒頭のグラフは導入状況を尋ねた設問の回答を集計し、回答件数が多かったものに絞った結果を集計したものである。回答件数が少なかったものは冒頭のグラフでは「その他」に含めている。


<<メール、グループウェアなど>>
cybozu.com(サイボウズOffice、サイボウズガルーンなど)[サイボウズ]
サイボウズ社以外によるサイボウズ製品のSaaS
プライベートクラウドfor Lotus Notes[日立ソリューションズ、SCSKなど]
上記以外によるLotus Notes/DominoのSaaS
Lotus Live(IBM SmarterCloud for Social Business)[日本IBM]
Applitus(「desknet's」シリーズも含む)[ネオジャパン]
ネオジャパン社以外によるネオジャパン製品のSaaS
Office365(Exchange Onlineなども含む)[日本マイクロソフト]
日本マイクロソフト社以外による日本マイクロソフト製品のSaaS
Google Apps for Business[グーグル]
Bizメール[NTTコミュニケーションズ]
「GRIDY」シリーズ[ブランドダイアログ]
BIGLOBEクラウドメール[NECビッグローブ]
Mail Luck![NTTPCコミュニケーションズ]
FSSaaBIS[富士ソフト]
その他のメールやグループウェアのSaaS

<<SFA、CRMなど>>
Salesforce(SalesCloud/ServiceCloud/Chatter)[セールスフォース・ドットコム]
Microsoft Dynamics CRM[日本マイクロソフト]
Oracle CRM on Demand[日本オラクル]
RightNow CX[ライトナウテクノロジーズ]
CRMate[富士通]
その他のSFAやCRMのSaaS
<<その他>>
コラボレーションや顧客管理の分野ではクラウドを活用しない


本リリースの元となっている「2012年版SaaS/クラウド市場の実態と中期予測レポート」の詳細は下記URL
を参照リンク
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株式会社ノークリサーチ担当:岩上由高
東京都足立区千住1-4-1東京芸術センター1705
TEL 03-5244-6691 FAX 03-5244-6692
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