パワーオフモード搭載 スイッチング電源用PWM制御ICを開発

パナソニック 2012年08月29日 09時08分
From PR TIMES



パナソニック株式会社デバイス社は、薄型テレビやパソコン、事務機器などの電源用に、待機時消費電力[1]ゼロ※1実現に貢献する、AC-DCスイッチング電源[2]用PWM制御[3]IC(品番:MIP006)を開発しました。2012年10月より量産を開始します。また今回開発した技術を展開し、電源用制御ICシリーズとして商品化をしていきます。

【効 果】
本製品を使用することにより、消費電力200Wクラスまでの電子機器の待機時消費電力ゼロ※1に貢献するとともに、例えば省電力モードなどの軽負荷時でも業界トップレベル※2の低消費電力化を実現できます。また、ノートパソコンなどバッテリ搭載機器のピークシフト機能へ応用することにより、高効率な節電機能を実現可能です。

【特 長】
本製品は以下の特長を有しております。
1. 制御ICの待機時消費電流を当社従来比約94%※3削減したパワーオフモードを搭載することで、交流100V入力時の待機時消費電力3mW(0.003W)以下を達成し、電子機器の待機時消費電力ゼロ※1実現に貢献可能

コンセントに接続された電子機器が電源オフになっている場合に、PWM制御ICのパワーオフモードの消費電流を当社従来品※3の200uAから12uAまで大幅に削減しました。交流100Vを入力した時のスイッチング電源の待機時消費電力3mW以下を実現しており、電子機器の待機時消費電力ゼロ※1に貢献することが可能となりました。

2. 電子機器の通常動作時に加えて、高効率化が難しい入力電力0.5Wの軽負荷時[4]に、業界トップレベル※2の電源効率80%以上※4を実現することにより、電子機器の例えば省電力モード時のさらなる低消費電力化が可能

従来当社では、電子機器の通常動作時の効率80%以上を達成していました。さらに強化される、世界の環境規制に対応する必要があり、特に高出力電源で高効率化が難しい、入力電力0.5Wの軽負荷時の電源効率80%以上※4を達成しました。それにより、電子機器の低消費電力化が可能になります。また、本製品は0.5Wから200Wクラスまでこの制御ICひとつで対応可能になるため、サブ電源を使用する必要がなくなり、シンプルな電源構成が可能になります。

3. 省エネ対応の電子機器の電源に必要な機能を内蔵することにより、外付け部品点数を最大20%削減※5可能になり、電源の設計容易化と小型化を実現可能

省エネ対応の電子機器の電源回路には、省エネ機能を実現するために、外付け部品を多数付加する必要があります。それら外付け部品のうち、消費電力削減や高効率化にも効果があるXコンデンサ放電機能を内蔵し、電源端子定格高耐圧化技術を実現することで、外付け部品点数を最大20%削減※5可能です。これにより、電源設計を容易に行うことが可能となり、電源の小型化が可能となりました。

【内 容】
本製品は以下の技術によって実現しました。
1. パワーオフモード時に動作が必要な本制御ICのモード制御回路以外の全回路を停止させることにより、低消費電力を実現する内部電源制御技術

本制御ICは電子機器からの信号によってパワーオフモードへ移行すると、スイッチング動作を停止し、電子機器への電力供給をゼロにします。また、パワーオフモード時でも動作する必要があるパワーオフモード制御回路の消費電流を最小限に抑える為に、パワーオフモード制御回路以外の回路への電流を全て遮断することで、待機時消費電力を大幅に削減することが可能となりました。

2. 間欠発振時に問題となるトランス音鳴り[5]の抑制と軽負荷時の高効率化を両立する新間欠発振制御技術

間欠発振時のトランス音鳴りを抑制するために間欠発振の周波数に揺らぎを持たせることで音鳴りを抑制する技術を確立しました。この技術を確立したことで、軽負荷時の間欠発振動作時の1パルスで流せる電流を大きくし、発振パルス数を低減できる新間欠発振制御方式を採用することが可能になりました。その結果、軽負荷時のスイッチング損失を低減でき、従来の間欠発振制御と比較してさらなる軽負荷時の高効率化が可能となりました。

3. コンセントからプラグを抜いた時の感電を防止する、Xコンデンサ[6]放電機能内蔵技術と、制御ICの動作電圧の範囲を広げるための電源端子定格高耐圧化技術

コンセントからプラグを抜いた時、コンセントに直接つながるXコンデンサには電荷がたまっており、そのままプラグを触ると感電する可能性があるため、たまった電荷を放電する必要があります。コンセントからプラグが抜かれたことを検出し、Xコンデンサを放電する機能を制御ICに内蔵することで、従来必要であったXコンデンサ放電用抵抗を削除することが可能となりました。また、制御ICの電源端子(VCC端子)の定格電圧45Vを実現することで、VCC端子電圧の変動が大きい電源にも外付け部品なしで対応でき、電源設計容易化と小型化が可能になります。

【従来例】
近年、節電に対する社会的要請や欧州のErP指令[7]などの省電力に対する要求が年々厳しくなり、待機時消費電力の削減が求められています。さらには、通常動作時や、高効率化が難しい軽負荷時においても高い電源効率が求められ、従来の制御ICでは対応が難しくなっていました。これらの課題に対して、電源のさらなる省エネに貢献できるスイッチング電源用制御ICが求められていました。

【実用化】
量産開始:2012年10月
サンプル価格:数量応談

※1 国際規格 IEC 62301に基づく 実測値0.005W未満。  
※2 電源として。2012年8月28日現在、当社調べ。  
※3 当社従来品MIP2D2との比較。  
※4 入力AC100V、出力DC12V時。  
※5 一般的な電源と比較した場合。

【用語の説明】
[1]待機時消費電力
コンセントに接続された電子機器が電源オフの状態で消費する電力のことです。電子機器への電力供給不要時にスイッチング電源で消費される電力を示します。

[2]スイッチング電源
入力された電力(または電圧)を所望する出力電力(または電圧)に変換するためにスイッチング素子(パワーMOSFET)を用いた電源装置(コンバータ)のことです。

[3]PWM制御 (Pulse Width Modulation :パルス幅変調)
スイッチング電源のスイッチ素子をオン・オフ動作させる周波数を一定とし、オン期間であるパルス幅を可変とすることで、出力電圧を安定させる制御方式のことです。

[4]軽負荷時
電子機器の省エネモード時など、電源の出力端子に接続された負荷(例えばマイコン)への電力供給が通常動作状態と比べて小さい状態のことです。

[5]トランス音鳴り
軽負荷時には間欠発振動作によってスイッチング周波数が可聴領域まで低下し、トランスから音が発生する場合があります。

[6]Xコンデンサ
電子機器から発生するノイズは他の機器に影響を与える可能性があるため、各国で規制されています。したがってスイッチング電源から発生する比較的大きいノイズを抑制するために、スイッチング電源の入力側にはラインフィルタやXコンデンサが配置されています。また、このXコンデンサは、コンセントからプラグを抜いた際に蓄積された電荷によって感電の恐れがあるため、各国の安全規格によって電荷の放電も義務付けられています。

[7]ErP指令 (Ecodesign requirements for energy-related products :エコデザイン指令)
環境配慮設計を義務付けたEUの規制のことで、先に制定されたEuP指令(Ecodesign requirements for energy-using products)から対象範囲を拡大して改正されたものです。その中でもLot6は家庭用およびオフィス用電子機器の待機時消費電力に適用されます。   

【照会先】
デバイス社 経営企画グループ 広報・調査チーム
TEL : 06-6904-4732
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