2008年中堅・中小企業のグループウェア利用シェアと評価調査報告

ノークリサーチは2008年の国内中堅・中小企業のグループウェア導入状況に関する実態調査を実施し、その分析結果を発表した。

<対照的な戦略を進めるサイボウズと日本IBMの二強>
-サイボウズ製品が利用シェア、利用予定シェア、評価で三冠獲得
-サイボウズガルーンでの大規模案件進出スピードは比較的緩やか
-日本IBMはアプライアンスやSaaSで中堅・中小企業への切り込みを狙う

-中堅・中小ではサイボウズのシンプルさが依然として高く評価される

2007年に引き続き、「サイボウズOffice」と「サイボウズガルーン」を合計した利用シェアでサイボウズが首位となった。ただし「サイボウズOffice」単体での利用シェアは22.0%、「サイボウズガルーン」単体は4.3%であるため、単体製品の利用シェアでは依然として「Lotus Notes/Domino」が首位となっている。利用予定シェアとパッケージ評価においてもサイボウズ製品が首位を獲得しており、シンプルな機能を求める中堅・中小企業のニーズを的確に捉えているといえる。一方、「Lotus Notes/Domino」は製品評価では順位を下げており「Microsoft Exchange」や「desknet’s/iOffice」よりも低い評価となっている。「Lotus Notes/Domino」はグループウェアに分類される製品ではあるが、アプリケーション開発環境としての側面も持っている。ユーザが「Lotus Notes/Domino」上で独自のアプリケーションを開発する際には開発工数が短縮できる反面、スクラッチ開発と比較した際の制約事項も多くなる。その結果厳しい評価を受けるケースも増えるため、相対的に評価が下がっているものと推測される。

-SIで大規模へ進出するサイボウズとアプライアンス&SaaSで切り込む日本IBM

年商50億円を境にして「サイボウズOffice/ガルーン」と「Lotus Notes/Domino」の利用シェア首位が入れ替わっているが、利用予定ではサイボウズ製品の堅調さが表れている。グループウェアはパッケージ化率が96.7%に達しており、非常に成熟した市場であるため、各ベンダは自社製品がアプローチできていない年商帯への進出に力を注いでいる。

サイボウズは「サイボウズガルーン」でユーザ数3000人を超える大規模案件への直販でのアプローチを強化している。大手企業への導入などで実績を上げつつあるが、2007年と比較しての導入数の伸びは9.3%に留まっており、「LotusNotes/Domino」の20.5%、「Microsoft Exchange」の21.9%と比較すると緩やかである。同社として経験の少ない大規模案件でのインテグレーションノウハウ蓄積と直販への移行による既存パートナーとの棲み分けが課題となる。

日本IBMはアプライアンス製品である「Lotus Foundation」でサイボウズが得意とする従業員数500人未満の企業帯へのアプローチを開始している。さらにコードネーム「Bluehouse」と呼ばれるインスタントメッセージングやWeb会議のSaaS型ソリューションも合わせて計画すると共に、「Lotus Notes/Domino」自身のSaaS形態での提供も発表している。グループウェアは今後大きな成長率が見込めるアプリケーションではないが、ユニファイドコミュニケーションとの融合には高いニーズが期待される。日本IBMのこうした動きはアプライアンスやSaaSといった導入・運用コストの軽減だけでなく、ユニファイドコミュニケーションという新要素を加えた訴求策と見ることができる。アプライアンス販売でのチャネル開拓と既に存在する各種SaaSソリューションとの差別化を如何にユーザにわかりやすく訴求できるかが課題となる。

シェア過半数を堅持する二社がそれぞれ新しい試みによって自社がまだカバーしていない年商帯への訴求を強めている。この新しい施策が成功するかどうかによって、二社のどちらが今後のトップシェアを握れるかが決まってくる。

対象企業年商5億円から500億円を目安とした民間企業
対象地域全国
対象の選定弊社所有の企業データベースから抽出する
サンプル数中堅・中小企業約7,000社対象(有効回収票1,765件)
調査期間2008年6月~9月

当調査データに関するお問い合わせ
株式会社ノークリサーチ担当:岩上由高
東京都足立区千住1-4-1東京芸術センター1705
TEL 03-5244-6691 FAX 03-5244-6692
inform@norkresearch.co.jp
www.norkresearch.co.jp

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