史上初、ル・マン参戦大学チームのマシン開発を支えるPro/ENGINEER(R)

24時間耐久レースに挑む東海大学ル・マンプロジェクト Pro/ENGINEERの機能を駆使し、レーシングマシンの最適設計を実現

【2008年6月11日】PTC(本社:米国マサチューセッツ州、Nasdaq: PMTC、社長兼CEO:リチャード・ハリソン)の日本法人PTCジャパン株式会社(本社:東京都新宿区、社長:井上公夫)は、ル・マン24時間耐久レースに初参戦する東海大学チームのレーシングマシン開発において、PTCの3次元CAD/CAM/CAEソフトウェア、Pro/ENGINEERが最適化設計に大きな成果を挙げたことを発表しました。

今年6月に開催されるル・マンは、F1モナコグランプリやインディ500などに並ぶ「世界3大レース」のひとつで、他のグランプリ・レースとは異なり、そのコース及びレース距離におけるマシンの信頼性と燃費の良さを重視するものです。1923年に始まるその長い歴史の中でも大学生チームによる参戦は今回が史上初、完走を果たせば優勝に匹敵する快挙となります。

今回、参戦への正式承認を得た東海大学チームは、2001年より参戦用車輛開発に取り組み、2005年にスタディカーを製作、その走行データをもとに改良を重ねて完成させたのが今回の参戦マシンです。エアロダイナミクスを考慮したスタイリングからパワートレイン設計、設計シミュレーション、アセンブリにいたるまで、マシン完成にPro/ENGINEERが重要な役割を果たしました。

同プロジェクトでチーフエンジニアを務めた江藤雄吾氏(東海大学工学研究科機械工学専攻修士2年)は、「マシン開発にPro/ENGINEERは不可欠」と述べています。「たとえば、ボディフレームや排気管で込み入ったスペースにインタークーラーの冷却パイプを通す場合など、Pro/ENGINEERがなければ最適な配置ができません。また、スタイリングやレイアウトの変更で急な修正を求められた場合も、形状をパラメトリックに変更できるため非常に有効です」

このほかにもPro/ENGINEERのパラメトリックな特長が、エキゾーストマニホールドの設計でも役に立っています。「エキゾーストマニホールドの近くにはサブフレームが通っており、上にはボディーカウルが来る。そこにウェイストゲートとターボチャージャーを配置し、管の長さを調整しなければならないのですが、これは通常かなり骨の折れる仕事です。しかしPro/ENGINEERでは、マニホールドの集合部の座標をボディから参照させ、簡単に位置決めができる。干渉を避けながら、二つの部分の設計をコンカレントに進めていけるわけです」と述べています。

ル・マンプロジェクトを指揮し、プロジェクト成功への原動力ともいえる存在である林義正教授(東海大学総合科学技術研究所教授)は、ル・マン参戦車輛開発におけるPro/ENGINEERの存在の大きさを次のように語っています。「Pro/ENGINEERはものづくりに対してとても素直なツールで、エンジニアがこうあるべきと思い描いたように設計ができます。ツールの開発思想がエンジニアの思考に近いので使いやすく、しかも解析など主要機能がすべて揃っています。今回、私たちのチームがル・マンに参戦できたのはPro/ENGINEERのおかげです」

「ものづくりというのは、結果がすべての世界。途中のプロセスでどんなに苦労しても、最終的に結果が出せなければ評価はゼロ。その意味で、エンジニアは結果を出さなければいけないし、またその結果に責任を負わなければいけない。そういう厳しさを通じて、魂のこもったものづくりが何であるかを学生に学びとってほしい、と思っています。今回、ル・マン参戦マシンが完成したということは、ひとつの大きな結果で、学生たちの努力も褒めてやりたいが、Pro/ENGINEERなしでは、とてもここまで来ることはできなかったでしょう」

自動車エンジンには材料力学、熱力学、機械力学、流体力学と工学の基礎知識がすべて詰まっており、この総合的なシステムを学生が設計したことは、それだけで大きな教育的成果といえますが、エンジンばかりでなく参戦車輛のすべてを学生が手掛けたところが、このプロジェクトの最大の特徴です。世界から寄せられる多数のエントリーのなかでも特に今回、東海大学チームの参戦が正式認可された理由のひとつには、この点への評価が大きかったのではないかと考えられます。

今回のプロジェクトについて、PTCプロダクトマネジメント部門シニアバイスプレジデントのマイケル・キャンベル(Michael Campbell)は次のように述べています。「Pro/ENGINEERには複数の要件をパラメータとして取り込み、最適な形状を自動生成するPro/ENGINEER Behavioral Modeling(R)など、設計最適化の最新技術が搭載されているほか、スタイリング、設計シミュレーション、加工などにフォーカスしたモジュールも揃っています。パワートレイン設計では多くの実績もあり、今回のル・マン参戦車輛の完成は、自動車開発におけるPro/ENGINEERの有効性を物語るケースといえるでしょう。また、学生がこれだけの車輛を作り上げたということは、ユーザフレンドリーで直感的なPro/ENGINEERの操作性の良さを証明しています」

またPTCジャパン社長の井上公夫は「東海大学工学部動力機械工学科の皆さんによりPro/ENGINEERで開発されたレーシングマシンがいよいよル・マンのトラックを走ります。これはそれだけで大きな成果です。Pro/ENGINEERの教育機関向けパッケージは、すでに多くの教室で活用されており、今後もこうした教育支援を通じ、日本のものづくりの人材の育成にお役に立てればと思います」と述べています。

今年のル・マン24時間耐久レースは、例年通りフランス、ル・マン市近郊のサルテサーキットで、予選が6月11日、12日、本戦が14日、15日に行われる予定です。東海大学チームは5月に国内と海外で最終テスト走行を重ね、完走に向けた最終調整を終え、レースに臨みます。


*東海大学ル・マン参戦レーシングカーの画像およびPro/ENGINEER設計スクリーンショットは、以下URLにてご覧いただけます。

東海大学ル・マン参戦レーシングカー:
Pro/ENGINEERで設計された東海大学ル・マン参戦レーシングカー
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Pro/ENGINEER設計スクリーンショット:
エンジン全体モデル
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車両後部レイアウト: エンジンおよびトランスミッション
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機器配置検討モデル
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吸排気検討モデル
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排気管設計検討
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東海大学ル・マンプロジェクトについて
工学教育に本格的なものづくりの実践を取り入れ、しかも学生が夢を持って自律的に取り組めるプロジェクトとして、林義正教授の指導の下2001年より開始。株式会社YGKからの協力を得て2005年にスタディカーを製作。今年7年越しのマシンが完成すると同時にル・マン参戦が正式に決まる。卒業生をあわせ総勢150名の学生の夢を載せたマシンは、この6月、フランス、ル・マン24時間耐久レースに参戦する。
ル・マンプロジェクトWebサイト: リンク

PTCの学校教育分野向けプログラムについて
PTCの学校教育分野向けプログラムは、次世代の技術分野における成功を支援する、教育者向けのソリューションです。PTCは中等教育から大学教育にいたる世界中の教育者にソフトウェアを提供することで、最良の製品開発における教育を学生に提供しています。学校教育分野向けプログラムは、伸び続ける設計者志望の学生数に備え、批判的思考法や多次元的な問題解決のスキルを向上させる近年の技術リテラシーの傾向に準じたプログラムです。

PTCについて
PTC(Nasdaq: PMTC)は米国マサチューセッツ州に本社を置くソフトウェア企業。製品ライフサイクル管理(PLM)、コンテンツ管理、エンタープライズ・パブリッシングなどのソフトウェアソリューションを世界50,000社以上の企業に提供。そのソフトウェア製品とサービスは製造業をはじめとして、出版、サービス、ライフサイエンス、公共機関など多彩な産業分野で成果を上げる。米国NASDAQ上場、S&P Midcap 400、Russell 2000に指標登録される。

PTCジャパンについて
米PTCの日本法人(本社:東京都新宿区、社長:井上公夫)。コラボレーション環境に対応した機械系高機能3次元CAD/CAM/CAE「Pro/ENGINEER」、PLMソリューション製品群「Windchill」、エンタープライズ・パブリッシング・ソリューション「Arbortext」を販売、併せて製品開発業務プロセス改革コンサルティング・製品教育サービスを提供。1992年3月設立。国内4事業拠点。Webサイト: リンク

*PTCの社名、ロゴマークおよびPro/ENGINEER、Behavioral Modeling、Windchill、Arbortext などすべてのPTC製品の名称およびロゴマークは、PTC(米国および他国の子会社を含む)の商標または登録商標です。

以上

関連情報
http://www.ptc.com
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