産総研、複数の異なる形式の映像を同時表示する新方式ディスプレイを開発

 独立行政法人 産業技術総合研究所(産総研、吉川弘之理事長)人間福祉医工学研究部門(斎田真也部門長)の森川 治主任研究員と、情報技術研究部門(坂上勝彦部門長)の戸田賢二主任研究員らは9月15日、複数の異なる形式の映像を1つの画面に同時に表示する新方式「仮想プロジェクタ・スクリーン方式(VPS方式:Virtual Projectors and a Screen)」の表示装置の試作に成功したと発表した。

 今回試作に成功したVPS方式の表示装置「VPSディスプレー」は、1つの画面に複数の異なる形式の映像を同時に表示でき、それぞれの映像は互いに影響することなく、自由な大きさや位置に表示することが可能。

 これまで、複数の映像を1画面に同時表示する場合は、コンピュータや専用の装置で入力映像信号を合成するか、表示装置側の画面分割機能やピクチャinピクチャなどの機能(入力数、入出力形式が限定される)を使うしか方法がなかった。

 今回開発した映像の新表示方式は、スクリーンに、プロジェクタを使って複数の映像を投影する状況を電子的に模倣したもの。

 「VPSディスプレー」は、(1)複数台の仮想プロジェクタ、(2)仮想プロジェクタに対応するレイヤー構造をもった仮想スクリーン、(3)仮想スクリーンの内容を実際に表示する表示部――の3つから構成される。

 主な特徴は、(1)テレビ、デジカメ、パソコンなど異なる形式の映像も同時に表示可能、(2)VPSディスプレーに入力機器(映像)を接続するだけで表示でき、映像の追加・削除も容易なため、誰でもが手軽に使用可能、(3)将来、VPSディスプレーが普及し、放送局側で近・遠距離別の素材映像を放送することで、立体映像を家庭で視聴することも可能――など。

 仮想プロジェクタは入力映像信号ごとに用意されており、それぞれの映像は互いに影響することなく、自由に大きさや位置を変更することができる。映像の重なり部分はユーザーの指定する優先順位で表示したり、色など特定の条件で透明化するなどの処理も可能。

 今後は、仮想プロジェクタの扱う入力映像信号の多様化とともに、実現コスト削減の観点から回路の最適化を行い、製品化を念頭においたVPSディスプレーの開発を行う予定。

産業技術総合研究所

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]