これが未来のテーブルか?--MS、テーブル型PC「Microsoft Surface」を公開

文:Ina Fried(CNET News.com) 翻訳校正:緒方亮、藤原聡美、長谷睦2007年05月31日 00時31分

 Microsoftが、密かに進めてきたプロジェクトの成果を披露した。一見したところ、昔懐かしいテーブル型のアーケードゲーム機「Ms. Pac Man」の2007年版のように見える。だが、仮にこのマシンでパックマンを遊ぶとしたら、指をちょいと動かすだけで、ヒロインを追いかけてくるモンスターどもを跳ね飛ばしてしまえるはずだ。

 Microsoftは米国時間5月29日、製作に5年を費やし、ハードウェアとソフトウェアの両方を自社で開発した「Microsoft Surface」(開発コード名:「Milan」)の全貌を明らかにした。Surfaceでは、テーブル型のマシンの天板にPCの画面が投影され、マウスやキーボードを用いることなく操作できる。指先で軽く触れるだけで何でもでき、SFスリラー映画「マイノリティ・リポート」に登場した技術の一端を垣間見せてくれるマシンだ。同社では、これが未来の「サーフェスコンピュータ」の第1号になると期待を寄せている。

 絵を描きたいと思ったら、絵筆を取るか、バーチャルな絵の具に指を浸せばいい。写真の共有も直感的にできる。たくさんの写真を並べ替えたり、共有したりする操作はいたって簡単だ。また、サイズを変更したい時は、2本の指で引き離す動作をする。指をクルクル回せば、画像が回転する。さらに、複数の人間が1台のSurfaceを同時に使ってやりとりすることも可能だ。

 Microsoftでサーフェスコンピューティング事業の運営を担当するPete Thompson氏は、「これはとても親しみやすいPCだ。触ってみたくなるにちがいない」と語る。Thomspon氏は携帯電話事業者であるT-Mobile USAの幹部を務めた経歴を持つ。

 一般消費者も2007年中にはSurfaceに実際に触れられそうだが、この製品をすぐに買えるという人は、ほとんどいないだろう。

 というのも、複数のユーザーが同時に指で操作するために必要なコンポーネントは非常に高価で、価格は1万ドル近くにもなるからだ。したがって、Microsoftも最初から一般家庭に売り込もうとはしていない。3〜5年のうちには一般の人にも手が届くようにしたいとしながらも、当面はホテルのロビー、レストラン、カジノなど、大勢の顧客をもてなす公共の場所にSurfaceを提供することを目指している。

 初のユーザーになるのは4社で、携帯電話端末の販売店でこのマシンを利用するT-Mobile、SheratonやWestinなどのブランドを持つホテル経営のStarwood Hotels and Resorts Worldwide、カジノ経営のHarrah's Entertainment、およびスロットマシンメーカーのIGTだ。Thompson氏によると、2007年11月には各社でSurfaceが稼働を始めるはずだという。

 こうした発売方法は、プラズマディスプレイでハイテク業界が採用した方法に近いと、Thompson氏は説明する。家庭向けとしてはまだ値段が高かった時代、プラズマディスプレイは見本市のブースで長い間利用されていた。

 Sheratonのバイスプレジデントを務めるHoyt Harper氏は、このようなMicrosoftの戦略を、非常に巧みだと評している。多くの宿泊客がSheratonのロビーでSurfaceを目にする可能性があり、その結果、この製品が広く消費者向けに販売された時には、そうした宿泊客が購入する確率も高まるだろうというのだ。「Microsoftがわれわれを選んだ理由の1つに、その点があると思う」とHarper氏は話している。

 Harper氏によると、Sheratonではホテルのロビーについて、どこかへ行く途中に立ち寄る場所ではなく、人々がロビーそのものを目当てにやって来るような場所に変えようと取り組んでおり、その目的にMicrosoftのSurfaceはまさにぴったりの製品だという。そう考えれば、Surfaceの高い価格も十分に見合うとのことだ。

 「宿泊客のロビー体験を大きく変える可能性を秘めた製品を、利用しないでいられるだろうか?」とHarper氏は語る。Sheratonでは、まず3台のSurfaceを、ニューヨーク、ボストン、およびシカゴにある各ホテルに導入する予定だ。2台はロビーに、1台はクラブのラウンジに設置されることになっている。利用者の行列ができるかもしれないが、それは望ましいことだとHarper氏は言う。

 「そうなるのなら、うれしい悲鳴だ」とHarper氏は話している。

 Surface導入にあたり検討すべきポイントとしては、コスト以外にも、耐久性の問題がある。Harrah'sの最高情報責任者(CIO)であるTim Stanley氏は、ラスベガス大通りに面した同社のカジノ店への設置を開始する前に、長持ちするものかどうか、マシンの作りを確かめたいとしている。

 たとえば、ラスベガスのナイトクラブ「Pure」への設置を考えた場合、「客がテーブルに上がって踊り始めるかもしれない。そうしたことに耐えられるのかという問題がある」とStanley氏は話す。

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