オープンソースへの移行--コスト削減を望むのは時期尚早

Matt Hines(CNET News.com)2004年04月06日 10時53分

 調査会社のThe Yankee Groupが米国時間4月5日に発表した調査結果によると、企業がUnixやWindowsからオープンソースソフトへ移行した場合、UnixやWindowsのシステムをそのままアップグレードするよりも、割高になる場合があるという。

 この調査は、世界各国の企業で働く1000人のIT管理者や企業幹部を対象にYankee Groupが実施したものだが、同社はこのレポートで、Linuxやこれに対応するアプリケーションには、導入に関する金銭面の問題を帳消しにするほどの技術的なメリットがまだないと結論づけている。同社では、ユーザー数が5000人以下の企業では、UnixやMicrosoft WindowsといったシステムよりもLinuxの方がコストを削減できるとしている。

 このレポートを作成した同社アナリストのLaura DiDioは、「Linuxを導入している多くの人がこれを非常に気に入っていることは明らかだが、しかし大々的なシステムの移行を大企業に持ちかけても、大半の場合には膨大な初期コストを考えなくてはならず、なぜ移行すべきなのかと経営者から尋ねられてしまう場合が多い」と述べている。

 DiDioによると、オープンソースソフトへの移行にかかる費用の多くは、ITアーキテクチャの移行にかかるものだという。しかし、セキュリティ面の脅威の増加や経験豊かなLinux管理者の不足から、多くの経営者がこうした移行を考え直している。なお、セキュリティ面で不安が少ないのは、これまでLinuxの大きなメリットの1つとなっていた。

 もう1つユーザーの間で懸念されているのが、Linux対応のアプリケーションがUnixやWindowsと比べて少ない点だ。

 「Microsoftを叩くだけという場合も含めて、誰もがLinux戦略を持っている。だが、経営者はLinuxへ移行することで、自社の全システムを交換するにあたって生じるコストやさまざまな問題を正当化するだけのメリットが得られるのかを疑問視している」(DiDio)

 今回の調査結果を受けて、Linuxベンダー各社は、顧客がLinuxに移行することで相当なコスト削減を実現している場合が多いと述べている。Linux販売最大手のRed Hatでは、移行を実施した顧客からはコスト削減の機会を得たと聞いていると、同社広報担当のLeigh Dayは語った。同氏によると、顧客はIntelベースの低価格システムなど、ハードウェアも一段と低価格なものに変更できるという。

 だが、MicrosoftがLinux導入を検討している多くの顧客に食い込んでいると、DiDioは述べている。たとえば、同社はセキュリティの脅威への対策を改善しており、Linuxの競合製品よりも賠償責任の範囲を広げるなど、エンドユーザーに納得させるために自社製品の保証内容も見直している。

 Linux推進派は、オープンソースソフトを利用することで長い間に大きなコスト節減ができると主張するだろうが、企業の経営者は自社のニーズを満たせるほど現在のLinux市場が成熟しているかについて、まだ確信が持てないでいるとDiDioは述べた。

 「たくさんのエンドユーザーが、既知の製品を利用してその問題に対処するほうが、未知の製品を使って問題に突き当たるよりも、おそらくまだましだと感じている。ユーザーはLinuxが選択肢--とりわけMicrosoft製品にとって代わるものとして存在していることを非常に歓迎しているが、しかし市場の成熟度や利用できるアプリケーションの数(の少なさ)が大きな懸念となっている」( DiDio)

 なお、Yankee Groupでは、この調査をSunbelt Softwareと共同で実施したこと、ならびにこの調査のスポンサーとなった外部企業はないことを明らかにしている。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向け に編集したものです。

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