米ノベルが独SuSEを買収、米IBMはノベルに5000万ドル出資へ

 Linux世界の勢力図が劇的に変化しようとしている。

 米Microsoftを長年の仇とする米Novellは、独SuSE Linuxを2億1000万ドルの現金で買収する契約を結んだ。一方Linuxオペレーティングシステム(OS)を支持する企業のなかでも最も強力な米IBMは、Novellに5000万ドルの出資を行なう。

 4日(米国時間)発表されたこれらの契約により、Linuxディストリビュータ第2位のSuSEは、第1位の米Red Hatに対する競争力を増大させ、またNovellはMicrosoftとの抗争で新たな局面を切り拓く可能性がある。

 Novellは今年8月にも、デスクトップLinuxソフトウェアの専門企業米Ximianを買収しており、SuSEの買収は、同社にとって2つめのLinux会社買収になる。XimianはNovellに、デスクトップコンピュータ向けのLinux用ソフトウェアをもたらしたが、SuSEの最も得意とするのはサーバ向けのLinux、つまりウェブサイトのホスティングや電子メール送信といったタスクを処理するネットワークに接続したマシンを動かすOSである。

 「Novellは、もともと強みを発揮していた分野からなかなか手を広げることができずにいたが、Ximianとそして今回のSuSEの買収で、同社がRed Hatの強力なライバルの地位を確立したのは間違いない」と米Illuminataのアナリスト、Gordon Haffは述べている。

 Novellは、こうした大きな変化に際して問題を抱えることもあったが、「IBMがこの件に関わり、SuSEがどうなるかに明らかに大きな関心を寄せていることから、Novellは正しい方向に進んでいけるだろう」と、Haffは付け加えた。

 いっぽう、NovellとSuSEの間にある文化的・地理的距離は、なかなか克服できないだろう、とRedMonkのアナリスト、James Governerは指摘する。「ドイツと米国の企業の統合は、ビジネスにおいて最も難しい問題の1つだ。DaimlerChryslerを見てみれば分かる」(Governer)

 投資家たちは、Novellの動きを歓迎している。同社の株価は4日午前の取引で、2.50ドル(41%)上昇し8.55ドルとなった。

 今回発表となった買収は、Novellの第1会計年度末である1月に完了する見込みだ。Novellによると、その時点でIBMの投資も効力を持つという。IBMはNovellの優先株5000万ドル分を購入する計画だ。

 さらにIBMとNovellは、IBMの4つのサーバシリーズ全てをサポートするようSuSEとの契約拡張を交渉している。また両社は、マーケティングやサポートを共同で行なう計画もあると話している。

 今回の動きにより、Linuxの世界の様相は、一挙に劇的な変化を遂げることになる。

  • Linux市場におけるSuSEの提携関係と多大な影響力が、Novellの販売ネットワークや顧客基盤や金と結びつく。7月31日の時点で、Novellは7億3900万ドル相当の現金および有価証券を所有している。
  • Novellは、10年前に同社のサーバ用OS、NetWareがWindowsに敗退した時の教訓を学び、再びMicrosoftと対決するチャンスが得られるだろう。今度はデスクトップコンピュータ用のOSも販売できるようになる。Microsoftはすでに、Linuxを最大のライバルとして、狙いを定めている。
  • Unixを所有している米SCO Groupが、IBMとLinuxディストリビュータ最大手のRed Hatを相手取って起こした訴訟に、この買収が影響を及ぼす可能性がある。Novellは、かつてのUnix所有権のうち、かなりの部分を現在も保有しており、現在ではLinuxにも強力な利害を持っているのだ。一方SuSEは、かつてSCOと結んでいた提携によって、SCOの訴訟を免れると考えているが、SCO側ではSuSEのこの主張を否定している。
  • ドイツの企業であるSuSEが、世界最大のハイテク市場であり、Red Hatの拠点でもある米国内の顧客にアクセスしやすくなるため、Red Hatには競争圧力がかかるだろう。
  • SuSEはOSディストリビュータから、より高レベルのサーバソフトウェアの販売会社に移行し、Novellはソフトウェア基盤をNetWareからLinuxに移行するといった両社の製品計画の変更が、急ピッチで進む可能性がある。

 NovellはSuSE買収に行き着いたかもしれないが、SuSEの買収先候補は同社だけではなかった。RedMonkのGovernorによると、SuSEは米Sun Microsystemに自社の買収を持ちかけたが、Sunはこの申し出を断ったという。

 NovellとSuSEの契約は若干変更される見込みだが、この先も概ね変わりはないだろう、とNovellは述べている。

 Novell広報担当のBruce Lowryによると、同社のバイスチェアマン、Chris Stoneと最高技術責任者(CTO)Alan Nugentが、Linux事業を監督するという。

 SuSEの最高経営責任者(CEO)Richard Seibtの新たな役割については、まだはっきりしていないが、Lowryによると、SeibtはNovellに留まる意向を示しているという。「多くのSuSE幹部は会社に留まり、Novellの経営チームの一部としてSuSE Linux事業を続けていくと、我々は考えている」(Lowry)

 SuSEの開発部門はドイツに残るが、NovellはSuSEとNovellの技術を相互交流させる計画だとLowryは述べている。Novellは今後も、SuSEブランドを維持していく。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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