iPhone 3G、「いかなる状況でもキャンセルしない」は民法上問題--消費者団体が申し入れ

永井美智子(編集部)2008年11月07日 17時58分

 消費者団体の特定非営利活動法人 消費者機構日本は、ソフトバンクモバイルに対し、iPhone 3Gの契約時に「いかなる状況においてもキャンセルできません」とした文言は無効だとの申入書を10月28日に提出したことを明らかにした。

 消費者機構日本は、消費者からiPhone 3Gが自宅で圏外となるため、解約を申し入れたけれども受け入れられなかったといった情報を受けたという。そこでソフトバンクモバイルの契約書などを検討した結果、問題があると判断した。

ご購入に当たっての留意点
iPhone 3Gご契約に際してのご注意事項(2)
iPhone 3Gご契約に際してのご注意事項 消費者機構日本が示した、iPhone 3G契約時に購入者に対して渡される注意事項。いずれもキャンセルできないという文言が明記されている(※それぞれの画像をクリックすると拡大して表示します)

 ソフトバンクモバイルは、iPhone 3Gを販売する際、いくつかの注意事項を契約者に渡し、署名するよう求めている。その際に渡す「ご購入に当たっての留意点」という書類には、「本製品はいかなる状況におきましても、キャンセルできませんのでご了承ください。」、「iPhone 3Gご契約に際してのご注意事項(2)」という書類には、「キャンセルは受付いたしませんので、ご注意ください」と記載している。また、販売店が配布している「iPhone 3Gご契約に際してのご注意事項」には、「契約後いかなる事由におきましてもキャンセル・返品は出来ませんのでご了承ください。」と書かれている。

 これに対して消費者機構日本は、この文言を削除すること、製品に隠れた瑕疵(かし)がある場合や、民法によって無効となる場合、消費者契約法で取り消しできる場合には、キャンセルが可能なことを契約書に明示するよう求めている。

 また、第3世代携帯電話端末で電波を受信できる場所であるにもかかわらず、iPhone 3Gでは受信できない場合や受信が不安定な場合は、契約前に消費者がその旨を確認した場合を除いて、iPhone 3G自体に瑕疵があるとして契約を解約できるようにすることも求めた。

「iPhone自体の受信機能に瑕疵がある」

 消費者機構日本が根拠として挙げたのは2点。1つは、民法上、未成年者の契約や詐欺などによる契約は無効となる。もう1つは民法第570条と消費者契約法第10条の規定だ。民法第570条では、商品に隠れた瑕疵があって、契約目的を達成できない場合は消費者が契約を解除する権利を持つとしている。また、消費者契約法第10条では、消費者の利益を一方的に害する条項は無効となると規定している。これらのことから、キャンセルできないという文言を削除すべきと消費者機構日本は主張している。

 また、消費者機構日本は実際に寄せられた情報の内容についても明らかにした。8月25日、iPhone 3Gの購入者から、圏外となって通話ができなかったり、ネットにつながりにくいという情報提供があったという。インターネットに接続しても突然アクセスが途切れたり、長時間メールが送信できなかったり、メールを受信しようにもサーバが混んでいると「宛て先不明」で送信者に戻ってきたりした。購入3日後に解約を申し出たけれども24回の分割払いにしているので残金を一括で支払わないと解約できないと言われたとのこと。また、9月4日にも、自宅周辺のサービスエリアの電波状態はほとんど全域で5段階評価の5だと販売店で確認していたにもかかわらず、自宅やその周辺でほとんど圏外となるので解約を申し出たが断られたという情報提供があったとした。

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