モノもらったら明示を--口コミマーケティングのガイドラインを業界団体が策定

鳴海淳義(編集部)2010年03月12日 16時37分

 口コミ(Word of Mouth:WOM)マーケティング業界の健全な発展を目指すWOM マーケティング協議会は3月12日、口コミマーケティングを実施する際のガイドラインを策定した。協議会に加盟している団体、個人に適用される。

 このガイドラインは口コミマーケティングにおける依頼者と被依頼者の関係を消費者に明示することを推奨するもの。具体的には以下の2つの原則がある。

  1. 関係性明示の原則
    WOMマーケティング事業者は、どのような関係性において、WOMマーケティングが成立しているかについて、消費者が理解できるようにしなければならない。関係性とは、原則として金銭、物品、サービスの提供とする。
  2. 社会啓発の原則
    WOMマーケティング事業者は1.が実現するように必要な啓発活動を行うとする。

 口コミマーケティングの代表的な事例に、ブログ事業者がブロガーに物品を提供し、任意で物品を紹介するように依頼するというものがある。このケースで今回のガイドラインを遵守するのであれば、ブログ事業者はブロガーに依頼する際に「物品の提供を受けているとブログに明記すること」を伝え、ブロガーは自身のブログで商品を紹介する際に「事業者から商品をもらって記事を書いていること」を表記しなければならない。これはブログ事業者から提供されるものが、金品でもサービスでも同じことだ。

 口コミという言葉からは、特にTwitterやブログ、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)など個人がコンテンツを作成するネットメディアが連想されるが、WOM マーケティング協議会のガイドラインは企業が運営するメディアも対象とする。

 たとえば企業が運営するニュースサイトの書評コーナーで、出版社から提供を受けた書籍を紹介している場合、今回のガイドラインを遵守するのであれば、紹介している本が出版社から提供されたものであることを読者にわかりやすく明示する必要がある。

 もちろんネットメディア以外に、テレビや雑誌、新聞、ラジオなどのマスコミ媒体も対象となる。テレビ番組や新聞記事でも、出版社から献本を得て書籍を紹介する際は、「出版社から献本してもらって紹介していること」を消費者に対して明らかにすべきだという。

 なお、WOM マーケティング協議会が制定したガイドラインに罰則規定はない。従うかどうかはクチコミを仕掛ける事業者と依頼を受けるメディアに任せられる。

 WOM マーケティング協議会の基本理念に、「WOMマーケティングに関わるあらゆる人、組織は、正直に、良心に基づいて行動しなければならない」という項目がある。協議会のガイドラインプロジェリーダーである藤代裕之氏は、「クチコミマーケティングは消費者がいなければ成り立たない活動。積極的にガイドラインを守ってくれると信じている」と述べる。

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