インテルの「空飛ぶセールスマン」

文:Michael Kanellos(CNET News.com)
編集校正:坂和敏(編集部)
2006年01月18日 18時41分

 Anand Chandrasekherには「いいタイミングで、いい場所に居合わせる」才能がある。

 1990年代には、ChandrasekherはPentiumチップをワークステーションに搭載する取り組みの陣頭指揮をとっていた。数年のうちに、Intelは取るに足らない新参者から、市場を支配するリーダーへと成長した。また、ラップトップの売れ行きが急拡大したときには、同氏はノートPC部門の責任者を務めていた。Centrinoが成功を収めたのも、彼が責任者の地位にあった時代である。

 同氏の現在の肩書きは、Intelのセールス&マーケティング担当シニアバイスプレジデントだ。このポジションは、現CEOのPaul Otelliniが以前務めていた役職でもある。Intelはここ数年、新しい市場に参入することでビジネスを拡大してきたが、現在はPCの新しい使い方を発見し、大量のアップグレードを促進することにエネルギーの大半を注いでいる。Macworld ExpoでIntel Macが華やかなデビューを飾る直前に、ChandrasekherはCNET.News.comのインタビューに応じ、Viivプラットフォーム、世界市場、そしてテレビへの進出計画を語った。

--Intelはチップを単体で売るのではなく、複数の製品をまとめたパッケージの形で販売する「プラットフォーム戦略」を推進しています。この戦略の歴史を簡単に説明していただけますか。

 当社がプラットフォーム戦略を掲げたのは、「Centrino」(チップセット、プロセッサ、Wi-Fiチップで構成されたパッケージ)以降だと考えられていますが、実際はそうではありません。この戦略に着手したのは4、5年前--つまり、Centrinoよりも前のことでした。Pentium 4のマーケティングには非常に苦労しました。販促キャンペーンはもちろん、Pentium 4に関するすべてのメッセージには、速度やPCの古い使い方に関する文章が踊っていました。

 クロックスピードの点からすれば、Pentium 4は確かに速度の壁を打ち破るものでした。しかし、市場は明らかに速度以上のものを求めるようになっていました。Intelにとって、Pentium 4は警告でした。この警告は、PCの新しい使い方や用途を先読みすることが、Intelのビジネスには不可欠であることを告げていました。

 Centrinoの成功は経営陣、特に「今こそ会社を変革し、プラットフォームに照準を合わせなければならない」と主張していたPaul(Otellini)に、十分な自信を与えるものとなりました。

--今後はどのような市場に参入するつもりですか。Oplus Technologiesを買収したところを見ると、候補のひとつはテレビでしょうか。

 おそらく、テレビが次の標的になると思います。次世代の子どもたちにとってのテレビは、あなたや私が親しんできたテレビとは違います。テレビの概念は劇的に変化するでしょう。今日の住宅には複数のパイプが入り込んでいます。データを取り込むためのパイプ、音声を取り込むためのパイプ、そしてコンテンツを取り込むためのパイプです。近い将来--具体的な時期は議論の余地がありますが、近い将来には、これらの3つのパイプは実質的に1つのパイプに統合されることになるでしょう。

 3つのパイプが融合するのに合わせて、家の中にある各種の画面も変化していくことでしょう。PCの画面を、コンテンツやコミュニケーションに利用できない理由はありません。同様に、テレビの画面は音声や動画、データのやり取りに利用されるようになるでしょう。そのためには、機器内部のインテリジェンスの量も変えていかなければなりません。

 先日、私は友人の家でクリケットの試合を観ていました。インド対スリランカ戦でした。この試合はインターネットで配信されていたので、われわれはPCを使って、試合の映像を取り込みました。ComcastやDishといった大手放送サービスは、この試合を放映しておらず、インターネットサービスプロバイダーだけが、この試合を放映していたので、われわれはPCを使って試合の映像を取り込み、さらにそれをテレビに映して観たのです。

--プラットフォームを売り込むというアプローチは、市場によってどう違うのでしょうか。たとえば企業を対象としたものにはどのようなものがありますか。

 当社はさまざまな方法で管理性の向上に取り組んでいます。そのうち、家庭を対象としたものが「Viiv」、モバイル環境を対象としたものが「Centrino」です。企業に関しては、IT管理者の作業に着目しました。最初に目を向けたのは、Intel自体のIT部門です。IntelのIT予算のうち、競争力の向上や生産性の改善につながる「イノベーション」に割り当てられているものは約11%にすぎません。残りの89%はシステムを円滑に運用するためのインフラの管理に費やされています。この発見をもとに、「AMT」(「Active Management Technology」:デスクトップを遠隔から管理する技術)、「LaGrande」(セキュリティ技術)、仮想化技術などが誕生しました。

 デスクトップ分野では、まもなくその最初の成果が登場するでしょう。モバイル分野、それからサーバ分野でも、高速化技術「IOAT(input/output acceleration technology)」を採用した製品が登場する予定です。

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