政府の支援を追い風に海外進出への第一歩を踏み出せ! ベンチャー企業52社を世界へ派遣する『飛躍 Next Enterprise』の全貌に迫る

CNET Japan Ad Special2017年08月21日 14時00分

 言語や文化の壁を超えるボーダーレスなイノベーションが次々と巨大市場を生み出し、ビジネスのグローバル展開が企業の成長や経済発展にとって重要なテーマとなっている現代。これから新たな技術や製品で市場の創出に挑むベンチャー企業にとって、海外へ挑戦するチャンスをどのように生み出していくかを考えることは、もはや避けて通ることのできない大きな課題だ。しかしながら、海外のベンチャー企業にとってボーダーレスなビジネスの創出は“当然のこと”であり、“まずは国内で成功を”とスモールスタートを考える日本のベンチャー企業とは意識に大きな差があるのが現実だ。

 ただ、いざ海外に挑戦する糸口を探ろうとする日本のベンチャー企業にとって、その道筋がなかなか見えにくいという課題があるのは確かだ。海外の起業家・投資家やビジネスパートナーと交流したくても、その機会をどのように作れば良いのかさえ、なかなか分からない。このような現状に対して、経済産業省は、世界を目指すベンチャー企業を選抜し、海外へと派遣することでグローバル展開に挑戦するチャンスを創出することを目的としたプロジェクト『飛躍 Next Enterprise』(グローバル・ベンチャー・エコシステム連携強化事業)を展開している。政府が主導するこのプロジェクトによって、ベンチャー企業にはどのようなオポチュニティが待っているのか。このほど開催された今年度の公募説明会の模様を基に、その全貌に迫る。

“国費を投入してベンチャー企業を支援する”
~ 経済産業省が覚悟を見せる背景とは

 『飛躍 Next Enterprise』は、一言で表現すると日本のベンチャー企業にとって海外展開へと繋がる“架け橋”となることを目指したプロジェクトだ。主宰する経済産業省に加え、70ヵ所を超える海外事務所を持つ日本貿易振興機構(JETRO)と3,000社以上のベンチャー企業をサポートしてきたトーマツベンチャーサポート(TVS)の2社が参画し、海外展開を目指すベンチャー企業をサポートするという。

 具体的には、高い技術力や優れたビジネスアイデアを持つベンチャー企業を選抜し、シリコンバレーをはじめ海外に存在するイノベーション創出のエコシステムが突出した拠点に派遣。そこで現地におけるビジネスの知見を蓄積したり、現地のキープレイヤーと人脈を構築したり、世界的なコンベンションに製品やサービスを出展して現地のフィードバックを受けながら、世界の課題解決に寄与するビジネスのグローバル展開に向けたヒントを探っていく。海外への挑戦を視野に入れているベンチャー企業にとって、大きな“第一歩”を提供するのがこのプロジェクトの最大の特長だ。

 企業を海外へ派遣するプロジェクトを、なぜ政府が主導して行っていくのか。経済産業省 経済産業政策局 新規産業室の新規事業調整官である石井芳明氏は、その狙いについて3つのポイントを挙げて説明した。

 ひとつは、プロジェクトに参加するベンチャー企業の成長を促進するという点だ。新たなビジネスを創出するベンチャー企業が大きな成長を遂げれば、そこに雇用とイノベーションが生まれて国が更に豊かになる。つまり、国がベンチャー企業の成長を支援することは、日本経済を成長させることと同義なのだ。


『飛躍 Next Enterprise』を推進する背景を語る経済産業省の石井芳明氏

 石井氏は「成長にとってグローバル展開が重要なポイントだが、現状は日本市場だけを見ているベンチャー企業が多い。最初からグローバルを目指してスピードを持って事業をスタートアップさせるベンチャー企業をもっと増やすべきではないか。このプロジェクトに参加して海外のキーパーソンと繋がってもらうことによって、成長するベンチャー企業を生み出していきたい」とベンチャー支援に対する姿勢を示した。

 次に挙げたのは、日本の技術力やビジネスアイデアで再び世界をリードする存在を目指すという点だ。「インターネットのプラットフォームの覇権を争う時代は海外企業が強みを発揮してきたが、ビッグデータ、IoT、人工知能といったネットとリアルを繋ぐ“第4次産業革命”の領域では、日本が世界をリードするチャンスがあるのではないか」と石井氏は語る。実際、海外の政府機関やベンチャーキャピタルから日本のベンチャー企業やモノづくりの現状に高い関心を示しているのだという。「日本ならではのリアルの技術やモノづくり、ビジネスモデルの丁寧な作り込みに対するニーズが高まっているのではないか」と石井氏。世界が日本のベンチャー企業のグローバル進出を待ち望んでいるのだと言えるだろう。

 そして石井氏が最後に挙げたのが、ベンチャー企業の成功モデルを作り、起業への関心を高めていくということだ。石井氏によると、いま日本でベンチャー企業の起業に興味を持つ人は非常に少ないのだという。「日本国民の7割は無関心で、チャレンジする人は“少し変わった人”。こうした現状を変えていかなければならない。起業に関心を持つ3割のうち実際に起業を実現する人の割合は米国などと大きな差はなく、“やる気になれば事業を興せる”という環境は整いつつある」(石井氏)。チャレンジすれば実現できる環境があるものの、チャレンジする人がそもそも少ない。この現状を打破する必要があるのだ。

 「補助金や支援制度を打ち出すだけではあまりインパクトがなく、政策の中から実際にグローバルで成功したベンチャー企業を生み出していくことが重要だと考えている。“ベンチャーってすごい”と多くの人に感じてもらえるようなロールモデルを作りたい」と石井氏は意気込みを語った。「『飛躍 Next Enterprise』は税金を投入して推進するプロジェクトであり、成果を収めなければならない。私たちも心してプロジェクトに臨み、またJETROもTVSも力を入れてこのプロジェクトを推進していく。ぜひ多くのベンチャー企業にチャレンジしてほしい」(石井氏)。

派遣先の地域特性を活かしたプログラムで、海外展開の足掛かりを生み出す

 『飛躍 Next Enterprise』では、ベンチャー起業の事業フェイズや海外展開ニーズに応じて3つのグループを分類し、5つの派遣コースに全部で52社ものベンチャー起業を派遣する。公募はウェブサイトを通じて行われ、9月15日まで応募を受け付ける予定だ。プログラムは11月にキックオフを行い、来年3月までに各コースで海外への派遣が行われる。では具体的に、それぞれのコースにはどのようなオポチュニティがあるのだろうか。

1)シリコンバレー派遣コース

 最も多い20社の派遣を予定している米国シリコンバレー派遣コースでは、北米への展開を視野に入れているIoT分野、医療関連分野のベンチャー企業を中心に募集する(推奨テーマとは異なる事業領域のベンチャー企業も応募可能)。海外展開に必要な知見を蓄積するために設けられた“マストプログラム”として、現地市場の状況や現地の公的支援について学ぶ機会や現地法人設立やビジネス展開に必要な法制度を学ぶ機会、現地インキュベータに関して学ぶ機会などが提供される。またニーズに応じて教育プログラムへの参加機会や、政府ならではのコネクションを活用した現地アクセラレータへの訪問機会や投資家・現地企業へのピッチ機会なども“オプションプログラム”で提供される。もちろん、独自にアポイントをとってビジネス機会を拡げることも可能だ。

2)シンガポール派遣コース

 アジアのビジネスセンターとして成長が著しいシンガポールは、政府主導で規制緩和や優遇税制などのベンチャー支援などによるエコシステムの構築が進んでいる点がシリコンバレーとは大きく異なる。シリコンバレー派遣コースではIoT分野、医療関連分野のベンチャー企業を中心に募集(推奨テーマとは異なる事業領域のベンチャー企業も応募可能)し、シンガポール政府が主導する支援などを活用してアジア展開を加速させる足掛かりを生み出していくのが狙いだ。シリコンバレー派遣コースと同様に、海外展開に必要な知見を学ぶ機会を設けるほか、現地投資家や企業とのネットワークづくりを推進していく。

3)欧州(ヘルシンキ・ベルリン)派遣コース

 サービス・アプリケーション・ハードウェアなどモノづくりに携わるベンチャー企業を対象とした欧州(ヘルシンキ・ベルリン)派遣コースでは、フィンランドのヘルシンキで開催される世界的なスタートアップイベント「SLUSH」に自社の商品やサービスを出展するほか、ドイツのベルリンで開催される「Disrupt Berlin」を視察。現地関係者やベンチャー企業とネットワーキングをすることによって、欧州を代表するベンチャーエコシステムからのフィードバックを自社のビジネスに活かすことができる。また、“21世紀のルネサンスはベルリンから始まる”と言われるほど成長が著しいベルリンでは、Googleが出資して立ち上げたコワーキングスペース「Factory」を訪問し、現地のベンチャーエコシステムを体験する。

4)オースティン派遣コース

 米国オースティンに派遣するコースでは、IoT製品やウェアラブルデバイスなどデザイン性の高いハードウェアの開発を目指しているベンチャー企業を対象に、北米最大級のインタラクティブイベント「サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)」への出展に挑戦する。現地のメディア関係者や起業家・投資家、同じようにモノづくりに携わるエンジニアとネットワーキングを構築することで、製品に対するフィードバックを受けたり、北米展開を目指すためのコネクションづくりを進めることが狙いだ。

5)イスラエル派遣コース

 イスラエルは現在、“スタートアップネイション”と評されるほど産官学が連携して国家を挙げてイノベーション創出にエコシステムに取り組んでいる国だ。産官学のエコシステムを活用した製品の研究開発に挑みたい企業を対象としたイスラエル派遣コースでは、こうしたエコシステムを体感することでイスラエルにおけるイノベーション創出の原動力や姿勢を学び、また企業や研究機関などとの交流によりネットワーキングを生み出していくことを目的としている。なおこのコースではイスラエル政府が推進する「ヤング・リーダーズ・プログラム」を活用することで、滞在期間中の航空券や滞在費などの経費はすべて政府が負担する。

 なお、すべてのコースに共通して応募できるのは日本国内に活動拠点を有したベンチャー企業の経営者や役員、事業責任者で、海外展開のための技術・製品・サービス(プロトタイプを含む)を有していること。また、海外展開を継続して行うための組織・体制が整っておりプログラムへの参加にあたっては研修・メンタリング・商談などにおいて英語による対応ができることが条件となる。応募企業の審査にあたっては、海外展開を予定している事業の実現可能性や持続可能性、将来性、独自性、技術力などを基準に判断。加えて、応募者の熱意や能力、成長性なども判断基準になる。“我こそは”という情熱を持ち先進的なプロダクトづくりに挑戦しているベンチャー企業の経営者にとっては、海外展開への第一歩を踏み出す大きなチャンスだと言えるだろう。

「飛躍Next Enterprise」への申し込みはこちらから!(9/15締切)

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